高齢者の経口ステロイドと感染症リスク~考え方とアプローチ~

高齢者の薬物療法において、経口ステロイドを長期的に服用されているケースを見かけます。プレドニゾロンで言えば5~10mgの低(中)用量を何年も服用している。その服用理由はリウマチ、あるいはリウマチ性多発筋痛症Polymyalgia rheumatica(PMR)であったり、COPD、気管支喘息、癌など様々です。

長期寝たきり患者では残された余命もそう多くはなく、こうした疾患への積極的なステロイド療法のリスク/ベネフィットについて、熟慮せざるを得ないケースは多々あります。例えば、尿路感染症を繰り返しているケースなどです。

広く知られているようにステロイド製剤は感染症リスクを増加させます。有効な抗菌剤の存在しない感染症,全身の真菌症の患者では原則禁忌になっていることからも、医療従事者としては感染症を繰り返す終末期患者(がん患者でなくとも)に対する経口ステロイド製剤の投与をどう考えていけばよいか、悩むこともあるでしょう。

とはいえ、ステロイドで感染症リスクはどの程度高まるのでしょうか。いくら感染症リスクが高まるからと言って、ステロイド治療を中止することによりもたらされるリスク(治療疾患の再燃、ステロイド中止による急性副腎不全)も軽視できないわけです。

本稿では、経口ステロイドによる感染症リスクについてまとめ、ステロイドの減量方法について整理します。

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