第164回 還都と驚くべき提案
治承4(1180)年10月、思わぬ源氏や寺社の反攻に、福原京では、三男宗盛が清盛に請願しました。
「父上、京に都を戻して下さい。人心を安定させるためにも」
「六月に遷都したばかりではないか」
清盛は否定しましたが、しかし清盛の心を反転させたのは、高倉上皇の病でした。
「京に戻って朕は死にたい」
そう言われるのが清盛には堪えました。
清盛は渋々息子の言う事を聞きました。亡き長男重盛が言っているのだとも思って。
「とにかくせっかく造った内裏に主上の遷幸をされてから」
清盛はばつわ