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第46回 ローズベルト大統領への接触。

アインシュタインにベルギー王太后への手紙を断られて消沈しているシラードに、車の中でウィグナーは運転しながら言いました。
「いっそのこと、ローズベルト大統領に直訴すればどうだろう?」
「そうだな。アメリカ政府に何も言わずにベルギー王太后に接触すれば、亡命者たちが何をまた勝手な事を、と言われるだろうし」
少し表情が明るくなったシラードは作戦の練り直しをする事にしました。

その頃、アレクサンダー・ザックスなる46歳のユダヤ系アメリカ人の経済学者がローズベルト大統領の所へ出入りできると聞いたシラードは、まずザックスに接触する事にしました。ザックスは事情を聞いて、
「ノーベル賞を取られた著名なアインシュタイン先生からのお手紙なら、大統領も手に取られるかもしれない。それなら渡してもいい」
と言いました。
「もう一度、アインシュタイン先生の所へ頼みに行こう!」
ウィグナーに話すシラードの表情はあくまで明るいものでした。(続く)

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