グルメ媒体推移

2020年2月の外食web検索マーケット推移

2月のweb検索マーケットについてまとめました。先月末くらいからコロナウィルスの影響を受け始めており、特に2月中旬以降での団体の宴会のキャンセルが非常に増えて来ています。また、Jリーグを始め、飲み会や卒業式などの大人数の集まるイベントや会合が中止となってきていること、併せて小中高の休校やテレワークの推奨によってオフィスへ来ないといった事もあり、3月の歓送迎会への影響が非常に心配されます。

2月については、これまでとちょっとイレギュラーでしたので、検索マーケット以外の部分についても記載していきたいと思います。

◎2月のTOPIC


・Google検索の『エリア+業態』系ワードのボリュームの減少幅は小さいが、大型宴会系ワード(新年会、宴会、パーティー)の検索ボリュームは、大幅減少
 ⇒2月全体としては、大型宴会系の減少が目立つが、今後少人数での来店にも影響は出そう。2月の段階では大型店舗を除くと大きな影響の出ているお店は少ない。

・影響の大きかったお店
 ・大型の宴会席を持っている和風居酒屋
  (さらに年配層に好まれていたお店は、影響大)
 ・若年層が少なく、意識高い系のお客様が多い業態
  (ビーガンや健康志向の高い層は衛生面に敏感)

・その他団体客以外で2月に影響があったお店の傾向
 ・海外からの旅行客の来るエリア
 ・受験シーズンの為、小中高大受験生が家族にいる人(30代、40代既婚者)が多いお店(受験がひと段落する2月中旬位まで影響)
 ・家族客におじいちゃん、おばあちゃん(年配層)が混じることの多いお店

・googleトレンドの検索ボリュームがあまり減少していない一方で、Googleマイビジネスへのアクセス数は大幅に減少。内訳としては、間接検索&mapからの流入が大幅に減少。
 ⇒恐らく当日の近隣検索が減っている。
  ⇒当日のフリー来店が減少している可能性が大。事前予約をしないようなフラっと立ち寄ったり、気軽に利用するお店への影響が予想されます。

・予約の減少&大型予約のキャンセルが増大 
 
運営しているコールセンターの様子を見ても予約成立の電話の減少、大型の予約のキャンセルが昨年よりも増えています。
 一方で、人気のある組人数の少ないハレ需要やデート需要のお店はあまり影響をうけておらず、昨年よりも予約が増えていたりもしています。また、繁華街へ行くことをやめた人たちが、自宅近隣のお店を使うといったケースもあるようで、20時以降での来店が増えたという住宅立地にあるお店の声もありました。(ただし、金曜日の予約には影響が出ている模様)
 ⇒普段からのお店のブランディングが出来ているお店は、影響を受けるのが遅いといった結果になっています。ただし、ターゲットが団体客、年配層だったお店は逆に今回影響が大きくなっており、客層や利用シーンのポートフォリオや来店以外でのUberやテイクアウト、通販などでの売上獲得も検討しておくことは必要かもしれません。(実際にはなかなか難しいですが。。。)

・参考日本経済新聞:在宅勤務5割、宴席自粛8割 新型コロナ対策企業調査
 2/27に日経新聞が主要企業を対象に緊急調査した簡易結果が記載されています。

1.Googleトレンド推移 宴会系ワード:歓送迎会、宴会、パーティー、飲み放題、コース(2012/1/1~2020/2/29:東京都内:フード、ドリンク)
※下記グラフ中の●は2019年2月

宴会系

・東京都内での検索ボリュームを比較すると、食事需要系を含むコースでの検索ボリュームは減少幅が小さくなっているが、宴会系ワードは『コース』を除いて大幅減少。
 (グラフの●がついている所が昨年2月、右端が今年2月)

2.コールセンター問い合わせ件数昨年比較

◎弊社のコールセンターで昨年比較の出来る都内の29店舗で比較しています。居酒屋は和風居酒屋、バルは洋風居酒屋や肉バル、イタリアンバルが含まれています。規模は大小混じっています。

電話数比較

・まずは、『キャンセル』数の前に『予約』数を見て頂くと、既に『予約』の段階で減少しています。電話予約の傾向としては、記念日需要か大人数のケースが多いので恐らく、大人数の予約の自体がまず減っています。

・次に『キャンセル』数ですが、思ったほど大きく増えているお店は少なかったです。(※キャンセル数なので、昨年比較でプラスのお店が悪くなっています。)これは、予約の減少があることから、そもそも大型の予約自体が入っていなかったという事だと思います。

・最後に『満席お断り』ですが、こちらは問い合わせがあったが、満席で断った件数です。ある意味お店の人気指標に近いものです。ですので、こちらが昨年よりも増えているお店は、昨年よりも人気店になっているといえるでしょう。

・これら3つの指標を合わせて見てみると
 ・人気店は、ほぼ影響を受けていない。
 ・キャンセル数よりも予約数の減少で影響が出ている。
 ・キャンセル数の多いお店は、団体個室のある大型店舗

  (すみません。店舗のデータは開示できないので、みなさんに見えているデータからは分からないのですが。。)

・参考までに居酒屋の一番上の大型店舗(繁華街)での予約・キャンセルの組人数の昨年比較も出しておきます。明らかに昨年と比較して予約数の減少(15名以上は0)、キャンセルも全体的に減少(特に10名以上は顕著に)となっており、他の店舗も同様な感じの傾向になっていると思います。
(下図参照)

予約キャンセル組人数分布

2.Googleトレンド推移 ワード:居酒屋、イタリアン、焼肉、バル、寿司(2012/1/1~2020/2/29:東京都内:フード、ドリンク)

【上から新宿、渋谷、池袋、新橋】グラフ中の●は2019年2月
※Googleトレンドは集計タイミングによって微妙にグラフが変わることがありますので、ご了承下さい。

Google トレンド新宿

Google トレンド渋谷)

Google トレンド池袋

Google トレンド新橋

・全般傾向としては、これまでのトレンド昨年対比で微減、池袋だけが昨年7月の新施設開業以降の上昇トレンドを維持しています。渋谷も新施設ができたことで昨年11月以降上昇トレンドだったのですが、今回横ばいになってきており、3月は減少しそうな感じです。

・2月の段階ではまだ、通常利用の検索ボリュームの減少は大きく出てきていない為、団体客以外の部分ではまだ、影響は小さかったといえそうです。ただし、今後は様々な要因が絡んできていますので、影響の拡大は懸念されます。

3.Googleトレンド推移 ワード:居酒屋、ご飯、ランチ、カフェ、レストラン(2012/1/1~2020/2/29:東京都内:フード、ドリンク)

【上から新宿、渋谷、池袋、新橋】グラフ中の●は2019年2月

Google トレンド新宿ランチ

Google トレンド渋谷ランチ

Google トレンド池袋ランチ

Google トレンド渋谷ランチ

Google トレンド新橋ランチ

※2.と比較できるようにするために居酒屋を入れています。
・全般的に食事利用系のワードは微増傾向。飲みに行くより食事を軸とした店舗の探し方が増えている。2月の段階ではウイルスの影響はほぼ出ていない状態です。

・大人数での飲み会の禁止により少人数での集まりといった部分で、お酒をあまり飲まない若者や女性の夜利用でのカフェ検索が増えて来ているのではないかと推測します。ただ、若者はインスタ等で探す傾向が高いので、30~40代の女性あたりがGoogleでカフェ検索をすることが増えていそうな感じはします。

4.その他2020年2月度検索関連TOPIC

 ・Apple Map、Look aroundをアメリカ全土でリリース
  
https://www.apple.com/jp/ios/maps/
  Googleに大きな差をつけられていますが、アメリカにおいてGoogleのStreet Viewに対抗してLook Aroundをリリースしました。
  street viewとの違いは、すでに店舗や施設がプロットされており、そこをクリックするとyelpの情報に飛ぶといったものになっています。(現状の日本でもmapに関しては、食べログに飛ぶようになっています)
  使用感は非常になめらかで、行きたいところに行けないStreet Viewとは別物といった感想。移動や画面の切り替わりもセンスを感じます。是非一度触ってみて欲しいと思います。今後の流れにはなると思うので。。。
(下記、スマホで見たLook Around)

画像13


 また、flyoverといったものもリリースしており、こちらは上空から街を3D映像で見れるといったものです。スマホで見るとジャイロセンサーと連動して動かした方向にあわせて映像もうごくといった事が出来ます。現状は電波の悪いところですとうまく稼働しませんが、5Gが普及をしていけば滑らかになり、VR空間になるのでしょう。おそらく、この俯瞰した状態(flyover)からエリアを探し、あらかたの位置が決まったらlook aroundにつなげていくのでしょう。さらにGoogleのインドアビューのような店内のバーチャル空間にもつなげていくのではないかと思います。
(実際の画面キャプチャーしたものを下記に添付します。お時間あれば実際に自身でニューヨークあたりの場所を検索してみてもらうといいと思います。電波状況がよくない為、途中映像途切れたりしますが、5Gが浸透していけば問題なくなると思います。)


 2020年には全世界に広げるといわれているので、東京はオリンピックタイミングに合わせてはリリースしてくると思います。(開催は危ぶまれていますが、、、)

 流れとしては、間違いなく文字情報から画像へ、さらに動画へとリアルの情報になってきています。

 ・ぐるなび
  業績は期初計画は上回り順調(ただし、昨年対比では落とし続けていますので、あくまでも計画は上回っただけ)。しかしながら、ネット予約が増えただけで、集客媒体として根本的なアクセス数の改善につながっていない。筆頭株主の楽天も業績不振のため、ぐるなび への流入に販促費をつかっていない。

 ・食べログ
  業績はこれまで通り好調。こちらもぐるなび同様にネット予約が順長に伸びただけで、相変わらず有料会員は減少中。業績は順調だが、各店からみた場合にアクセス数が増えず競合が増えているだけなので、新規客集客のパワーは弱まっている。また、以前と比べグルメ媒体の内容だけで意思決定をする人が減っている。特に以前は得点とコメントを確認できるのが食べログだけであったが、マイビジネスのデータが充実してきたため、そちらを見る方が増えています。

※ぐるなび、食べログの第3四半期の業績の分析に関しては別途、詳しくかいせつしておりますので、そちらに興味のある方は下記のリンク先をご参照ください。

 また、つい先日ですが日経ビジネスに『食べログを信用しますか? やらせ依頼の全文掲載』といった記事も取り上げられており、得点の信ぴょう性を疑う流れもあるので、食べログ一辺倒での集客を行っている店舗は、リスク分散をしていかなくてはいけないでしょう。具体的には食べログ以外でのナチュラルな評価やコメントをしっかりと獲得していく必要があります。

ぐるなび・食べログの現状分析 2020年度第3四半期決算(2020年2月作成)

 ・retty
       エリア×業態ワードでのSEOは強いため、ページへのアクセスは取れているが以前と比べると競合の増加や上位プランのせいで、そのままのプランだとアクセス数が減少している店舗が多いです。エリアによってバラツキはありますが、電話予約、ネット予約がそこそこ取れているお店はありますが、全体で言うと問い合わせや予約へのコンバージョン(成約率)は上がってきていないです。
 また、ぐるなび同様にgoogleマイビジネスからの予約連携が一部開始されており、そちらからの流入が増えているといった事も起きています。
 ネット予約が急激に伸びている店舗はその可能性が高いです。

5.Googleトレンド 飲食関連ワード推移(東京以外)

参考:主要エリアのGoogleトレンド推移の資料も添付しておきます。

6.新型コロナウイルスの影響で業績が下がっているときに利用できる補助金・融資支援

※表題の件を取りまとめているサイトを見つけましたので、参考までに載せておきます。使える補助金・支援は利用するようにしましょう。
  補助金ポータル : https://hojyokin-portal.jp/financing/


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