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食エッセイが好きだ

 食エッセイが好きだ。読んでいてお腹が空くな、と思う。  食べること自体は、そうでもない。どちらかといえば多分嫌いの部類だ。美味しいものを食べるのは好きなので、優先順位が著しく低い、と言った方がもしかしたら適切かもしれない。  わたしは覚えていないのだが、食事、というか食全般の優先度が低いのは昔からだったようだ。記憶がないくらいの幼少のみぎりから食への興味というものがとことん薄かったらしく、まず食事の席につこうとしない。椅子に座るまで寄り道や曲り道を繰り返し、よしんば着いた

    • 母と虐待と言葉の簒奪

      何回か言っているが、わたしが母に虐待だ!と言った次の日から母は「わたしは母に虐待されていたのだ」と言い出すようになった。それまで何度も祖母宅(母から見た実家)に泊まったり、逆に祖母に泊まってもらったり、時には愚痴を聞いてもらって、わたしの面倒を見てもらっていたのにも関わらず。素直に、ああ、良くない言葉を学習させてしまった、と思った。 もしかしたら母親には、わたしの「虐待」という言葉が、置かれていた状況の責任を他人に転嫁する便利な言葉のように見えていたのかもしれない、とも。 本

      • 器と聖域

         お菓子作りが好きだ。母がまだ家にいた頃、母の聖域である台所の中で、お菓子作りは唯一わたしも手を出せる領域だった。  両親が離婚して、母が妹と猫たちを連れて家を出て行って、そうしたら料理が好きになった。もともと苦ではなかったが、帰りの遅い父親を待って夜ご飯を一緒に食べるのが楽しくなった。祖母の味を再現できるのが楽しく、また、作れば作るほどかかる時間は短くなり、味は美味しく、見た目は綺麗になっていくのが嬉しかった。  料理が好きになって、そうしたら器も好きになった。この料理

        • ohneは「〜なしの、〜を欠いた」、dichは二人称単数duの4格、「君/君を」で、つまるところ英語のwithout you.だ。多分君なしでは生きていけない的ロマンチック文脈で使われるのだと思うのだが、先生が言っていた「お前の席ねーから」みたいなニュアンスが気に入っている。

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        食エッセイが好きだ

        • 母と虐待と言葉の簒奪

        • ohneは「〜なしの、〜を欠いた」、dichは二人称単数duの4格、「君/君を」で、つまるところ英語のwithout you.だ。多分君なしでは生きていけない的ロマンチック文脈で使われるのだと思うのだが、先生が言っていた「お前の席ねーから」みたいなニュアンスが気に入っている。

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          ふと、日記を詳細に書くことは日常生活の描写なのかも、と思った。例えば、ロフトベッドで両手が塞がっているときは死を感じる、とか。でももうなんど日記に挑戦したか忘れてしまった。

          ふと、日記を詳細に書くことは日常生活の描写なのかも、と思った。例えば、ロフトベッドで両手が塞がっているときは死を感じる、とか。でももうなんど日記に挑戦したか忘れてしまった。

          良くない人間なので、ポケモンだけ先に寝かしつけて隣で本読んだりしています 小さいとき、寝てる親の隣でわずかな光で本読んだのを思い出す まあ人間が元気じゃなくてもポケモンが元気ならいいかなとも思いますしね

          良くない人間なので、ポケモンだけ先に寝かしつけて隣で本読んだりしています 小さいとき、寝てる親の隣でわずかな光で本読んだのを思い出す まあ人間が元気じゃなくてもポケモンが元気ならいいかなとも思いますしね

          作るのは好きだが食べるのはそうでもない

           世の中の料理をする人の多くは、自分が美味しいものを食べるために作っているのだ、と気が付いたのは、割と早い時期だった気がする。  いや、違う、分かるのだ。その感覚も。  わたしも、あれが食べたいな、と思って台所に立つことは少なからずある。あれが食べたい!という抗いきれない強い衝動に突き動かされてしぶしぶと立ち上がり、冷蔵庫を覗くことは、ある。食にあまり興味があるとは言えないが、どうせ食べるならおいしいもの、今食べたいものを食べたいと思う。  そうなのだが、そうではなくて。

          作るのは好きだが食べるのはそうでもない

          ふと、twitterがないときってどうやって夜を過ごしてたっけ、と思った。思えば小学生のときからやっているのでもう思い出せないが、多分本を読んでいたんだと思う。母のお下がりの携帯で小説を書いていたような気もする。

          ふと、twitterがないときってどうやって夜を過ごしてたっけ、と思った。思えば小学生のときからやっているのでもう思い出せないが、多分本を読んでいたんだと思う。母のお下がりの携帯で小説を書いていたような気もする。

          いつから夜のことが怖くなくなったんだろう、と洗濯物を干しながら考えていた。中学生の時くらいはまだ怖かった気がするんだけどな。小さい頃、夕暮れ時に洗濯物をしまうとき、ベランダは奈落のように思えた。いまでも夜は怖いけど、人間からの加害的な怖さに恐れの対象が変わってしまった。

          いつから夜のことが怖くなくなったんだろう、と洗濯物を干しながら考えていた。中学生の時くらいはまだ怖かった気がするんだけどな。小さい頃、夕暮れ時に洗濯物をしまうとき、ベランダは奈落のように思えた。いまでも夜は怖いけど、人間からの加害的な怖さに恐れの対象が変わってしまった。

          焼きそばって、フライパンから溢れるくらいの量の具材を炒めても、麺を入れると「え?具材なんて入れました?」みたいな感じになるよね。あれはなんで?困るのでやめてほしい。少なくなるにもほどがあると思う。

          焼きそばって、フライパンから溢れるくらいの量の具材を炒めても、麺を入れると「え?具材なんて入れました?」みたいな感じになるよね。あれはなんで?困るのでやめてほしい。少なくなるにもほどがあると思う。

          二次創作やってると小説の書き方考えることが多いかなと思うんだけど、わたしは流しそうめんだなと思った。文章が流れてくるから、流れてしまわないように拾って打ち込む たまに拾い損ねてあーっ!になる。

          二次創作やってると小説の書き方考えることが多いかなと思うんだけど、わたしは流しそうめんだなと思った。文章が流れてくるから、流れてしまわないように拾って打ち込む たまに拾い損ねてあーっ!になる。

          猫カフェに行った。猫カフェの猫は当然なでさせてくれるわけだが、いくら目を瞑っても瞑り返してはくれない。初対面なのだから当たり前だ。うちの猫は触らせてくれないが目は瞑ってくれる。信頼されているのだ、私は。

          猫カフェに行った。猫カフェの猫は当然なでさせてくれるわけだが、いくら目を瞑っても瞑り返してはくれない。初対面なのだから当たり前だ。うちの猫は触らせてくれないが目は瞑ってくれる。信頼されているのだ、私は。

          読了まとめ 2023下半期

          谷川俊太郎/はるかな国からやってきた 多分いちばん有名な「生きる」、初めてちゃんと読んだかも 個人的には「ぼく」のかわいさと「知られぬ者」の「みちあふれた情熱のしかし愚かな傲慢を さびしいことを忘れた人から順々に死んでゆけ 知られぬ者ここに消ゆと」がめちゃめちゃ刺さった 香月日輪/桜大の不思議の森 この人の作品は何を読んでもやっぱりとても好きだなあ、と感じる。桜大を主人公とした同じ世界線でのSS連作で、少し不思議で怖いほのぼのとした黒沼村の生活がメインに描かれている。「

          読了まとめ 2023下半期

          読了まとめ~2023上半期

          櫛木理宇/死刑に至る病 面白かった。でも嫌だな…………割と最後の最後まで展開がひっくり返らなくて、えっ……?と思いながら読みました 心が落ち込んでる時には絶対読まない方がいい本だな、と思った 小野不由美/緑の我が家 面白かった 小野不由美、本当に分かりやすくて読みやすい文なのに怖い でも緑の我が家はホラーと言うよりはしんみりというか 人間が怖いというか いい話だったな でも何も解決してなくないですか? てか最後アパートが燃えちゃって、住民が見違えたように元気になって、でもア

          読了まとめ~2023上半期

          愛すべきチューバという楽器のこと

          緞帳が上がる いつでも上手側に存在しているぼくたちの席 吹奏楽、クラシックなどをやっている人は分かると思うけど、大抵楽器ごとにいる場所というのは決まってる。チューバは一番上手側、ひな壇には乗らない、ピアノが横にいるときもある。ほかの団体を見に行くとついチューバがよく見える上手側の席に座ってしまう。 いつだってチューバは歌う一人でも背中に大勢抱えていても 「チューバにもソロとかあるの?」あるんです。いるんです。世界的に活躍してるソリストだっているし、CDだって出てるんです。あ

          愛すべきチューバという楽器のこと

          愛は伝えたほうがいい

           人間には愛を伝えたほうがいいときがある。  一つ目は推しに相対するとき、二つ目はどうしても欲しい同人誌があるとき、三つ目はどうしても欲しい同人誌があるときだ。  十七歳の時、どうしても欲しい本があった。  どうしても、どうしても、どうしても欲しい本だったのだけれど、その時私は未成年で、その本は成人向けだった。  私はその当時、その本を出してる作家さんのことが大好きで大好きで、買えるものは全て買い集めていた。どれも、これも、素晴らしかった。全年齢だろうが成人向けだろうが関係

          愛は伝えたほうがいい