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校正は誰でもできる

就活では出版社志望のみんなと同じように、小説の編集を目指していた。今思うと、小説の編集ってどんな仕事なのか1つも知らずにエントリーシートを書いてた。

東京の出版社で小説の編集のアルバイトをしてみて、校正の仕事がしたいと思った。ただそれは小説に限ることで、たとえば医療用具のカタログやタウンワークの求人の校正でもよかったわけじゃない。何も知らなかったのだ。

で、僕は今の出版社で校正をやっている。というか、やらないわけにはいかない。編集部は4人だけだから、自分でミスを見つけなければ余裕で誤植したまま印刷される。

いつも校了日、つまり締め切りの日は忙しい。僕の会社では1冊の雑誌の校正を一日でやる。みんなで、朝から始めて、18時くらいまで。1冊といっても100ページもないのだが、業界誌なので文字が多く、スポンサーの名前を間違えると広告を出してくれなくなる可能性があるので、みっちり校正する。

僕は校正=プロフェッショナルな仕事というイメージをしていた。校正記号を駆使し、ゲラに細かい赤字を入れまくる。そういう職人のイメージだった。

でも実際やってみると、記号とかプロとか難しい話ではなく、ただの間違い探し。会社名や商品名が間違っていないか、資料と照らし合わせてチェックする。それだけ。誰でもできる。集中力の問題だ。

で、僕が知らなかったもう1つの校正。それが、「文章をよりよくする校正」。これは間違い探しではなく、「を」や「は」など助詞の1つを組み替えたり、タイトルを「もう少しカタカナ多めに」とバランスをとったり、「写真もうちょっと拡大」と見やすくなるようにしたり……と、記事の質を上げるためにある。これに終わりはない。完璧な文章は存在しないのだから。だから校正に時間がかかるのは当たり前なのだ。

いつも校了日は残業が確定していたが、明日の校了は定時で帰れそうだ。2日前から校正をみんなでやっているから。いつもこうすればいいのだが、今回はたまたま記事が出揃うのが早かった。他の出版社の雑誌の校了作業気になる……

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