見出し画像

ラオスにいったい何があるというんですか?


梅田のブックファーストで購入。紀ノ国屋に行きたくない時はここにいく。梅田の紀ノ国屋は品揃えが素晴らしいのだが、なにしろ人が多すぎる。熱気で頭が痛くなる。そういう時はこのブックファーストに行って、サッと買って出る。

僕が村上春樹のエッセイや短編を買う時は、読みたい本が1つも浮かばなかった時である。新しい作家を発掘したいという気持ちと、入り込めない本に時間を使いたくないという気持ちを天秤にかけ、後者が勝った時だ。

村上春樹の紀行文は「遠い太鼓」以来2冊目。遠い太鼓がとても面白く、分厚いけど一瞬で読めたこともあり、信頼が厚かった。

遠い太鼓を書いた時、作者は若かった。ダンス・ダンス・ダンスを発表して数年の時だ。だから文体もダンス・ダンス・ダンスに似ているし、初期のグルーヴ感が残っている。
「ラオスにいったい…」はそれから25年後に発行。ページをめくっているとギリシャの話が目に入って、「これ遠い太鼓のコピーなんじゃ?」と思ったが、違った。ノルウェイの森を書いた時に泊まっていたホテルの写真は「遠い太鼓」に載っていなかった。
この本には10ページに1枚くらいの間隔で写真が挿し込まれる。この本を買って一番良かった点だ。結構村上春樹の顔が映っている。自慢じゃないけど、僕はネットで村上春樹の写真を見ればそれが大体西暦何年で、どこで撮られて、何の授賞式だったかが分かる。それくらい村上春樹の写真は世に出回っていない。でもこの「ラオスに…」に載っている村上春樹の写真は全部見たことがなかった。特に良かったのはアメリカ・ポートランドのレコード屋での店長との2ショット。何がいいかと言うと、若干恥ずかしそうな表情もそうだけど、手に持っているレコードがキャノンボール・アダレイの「サムシン・エルス」なところ。名盤なので本人も持っているはずだけど、やはりお土産としてこういうのは欲しくなるものだ。新しいレコードの発掘も良いけど、コレクションとして名盤の色んなバージョンを揃えたい気持ちはよく分かる。

また、この本を読んでいて共感できるのが、若い時に行った旅先を再び訪れるワクワク感だ。大人になると、こういうのが意外に人生で一番の楽しみみたいになったりする(のでしょう?)。

とにかく、この本は相当に書きやすかったに違いない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?