中村朱里

文字を書いています。アイリスNEO『魔法使いの婚約者』、FLOSCOMICコミカライズ…

中村朱里

文字を書いています。アイリスNEO『魔法使いの婚約者』、FLOSCOMICコミカライズ全4巻(かづか将来先生)、ゼロサムオンラインにて続編コミカライズ(はいいろ先生)連載中。一迅社文庫アイリス『わけあり侯爵夫人は日陰者』『災厄令嬢の不条理な事情』『あだしの屋敷の手伝い花嫁』。

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中村朱里とはなんぞや?

◇目次 ■ごあいさつはじめまして、中村朱里(なかむら しゅり)と申します。 2015年に小説家になろう様と一迅社様のタイアップで開催された『第1回アイリス恋愛ファンタジー大賞』にて、『魔法使いの婚約者』という作品で金賞を受賞し、物書きデビューしました。 その後も細々と書籍という形になったりならなかったりしつつ、女性向け恋愛ファンタジーを書き続けています。 ハッピーエンドが好きです。そしてふたりはいつまでもしあわせにくらしました、で終わってほしい物語。そんなお話を書き続け、今に

    • ことばにできないラブレター(3)

      筆者すら忘れたころに書き始めるこちらのコーナー。 今回はとあるアクセサリーブランドについて語らせていただきたい。 アクセサリーというよりもジュエリーと呼ぶべきかもしれないが、厳密な違いを私は理解していないため、ここではいったんアクセサリーと呼ばせていただこう。 そのブランドの名前は『yukunia』様。ユクーニャ、と、読む。 出会いは個人的に大好きな某セレクトショップ様での店頭だった。 もともとそのセレクトショップ様のネットショップで存在は知っていたのだけれど、実際に手

      • 商業8周年ありがとうございます!期間限定SS公開!!

        2015年11月4日に、中村朱里は『魔法使いの婚約者』という作品で、商業デビューを果たしました。 本日は2023年11月5日。…………アッ8周年過ぎてる!?と気付き、突発ですが、2023年9月名古屋コミティアにて無料配布したショートストーリーを、3日~7日間ほど(未定。いきなり消えると思います)期間限定公開させていただけたらと。 期間限定といいつつなんやかんやずっと公開しておくかもしれません…。 内容としましては、『魔法使いの婚約者14 だからふたりは、これからも。』を読

        • 2022年クリスマス企画

          X(旧Twitter)にてときどき呟く『魔法使いの婚約者』現代パロディ略して現パロ(仮)ですが、2022年のクリスマスにひたすらエディの動向を本人視点で呟いておりました。そのまとめです。 *** 完全に寝過ごした。ホワイトクリスマスイブだ。 “彼女”と過ごしたいと思っていて、なんとか誘おうとしたのに、結局今日になってしまった。 彼女、もといフィリミナは、今日は実家の古書店の手伝いだという。クリスマスプレゼントの駆け込み客が多いのだとか。 今頃開店準備に追われているのだろう

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        中村朱里とはなんぞや?

          『魔法使いの婚約者』とはなんぞや?

          ■ごあいさつ中村朱里の代表作として挙げられるのが『魔法使いの婚約者』という作品ですが、あっちこっちそっちどっちに多岐にわたって番外編を書いていたり、コミカライズしていただいたりと、なかなか現状が解りにくくなっているため、そのまとめとしてこちらのページを作りました。 『魔法使いの婚約者とはなんぞや?』と思ったときのガイドにしていただけましたら幸いです。 ■小説家になろう版『魔法使いの婚約者』すべてはここから始まった。 小説家になろう様におけるこちらのページにて公開中。 『魔法

          『魔法使いの婚約者』とはなんぞや?

          夏を連れていくひと(単発SS)

           祭り囃子が夜をどこか遠くでにぎやかすのを聞きながら、ぎゅうと唇をかみしめる。  なんとか守り抜いた、金魚すくいの成果をそっと目線の高さまで持ち上げた。透明なビニールの向こうでひるがえる鮮やかな朱色が少しだけ心をなぐさめてくれる。  友達とはぐれて途方に暮れていたところに同級生の男子達と偶然出会ったは不運だった。さんざん追いかけまわされて逃げ惑ううちに、祭りの喧騒が遠い神社のこの森の中へと迷い込んでしまった。  神社の神様はきつねなのだという。祭りの主役のおきつねさまは、夏の

          夏を連れていくひと(単発SS)

          ことばにできないラブレター(2)

          気付けば前回のこのテーマの記事から一ヶ月以上経過していた。 誰だ週一更新を目指すとかほざいていた奴は(わたしです)。 そんな悲喜交々を踏まえつつ第二弾、今回はお世話になっているこけしちゃんについて語らせていただきたい。 こけし。そう、あの日本が誇る民芸品のこけしである。 その中でも私がコツコツ数年前から集めているのは、K先生(仮)が作られている、cokets.というこけしちゃん達だ。 cokets.はオシャレでかわいい。cawaiiとはこういうことさ、と歌いたくなるかわい

          ことばにできないラブレター(2)

          ことばにできないラブレター(1)

          唐突ではあるが、今後たま~~~~にラブレターをつづっていこうと思う。 私の人生には大切なものがわりとたくさんあって、それらに対しての感情はタイトル通り『ことばにできない』ものではあるのだけれど、まあそれでもそれなりに何かしら残していきたいと思い立ったためである。 本日は記念すべき第一弾ということで、おねこさまについて語りたい。 ねこ。おぉねこ。ねこよねこ。いとしいいとしいおねこさまよ。 私が愛してやまない猫は4匹いるが、その中でともに暮らしているのは『たぬ』と『まる』であ

          ことばにできないラブレター(1)

          包装紙でブックカバーを作る話

          紙の本が好きだ。 世の中はおそらく圧倒的に電子書籍を購入する流れになっていて、自宅の収納スペースを考えると私もまたそろそろ電子書籍に移行すべきであると解っていながらも、紙の本を買う。 真新しい本のさらりとした手触り、角張ったかど、鮮烈な帯、特有のインクの匂い。私は紙の本が好きなのである。新しい本、というものが好きなのだ。 古本には古本の魅力があるが、それはそれとして、真新しい本がまとうあのきらめきはなんなのだろう。そのきらめきを守るために、私は基本的にブックカバーを着せる。学

          包装紙でブックカバーを作る話

          『災厄令嬢の不条理な事情2』発売記念SS

          2022年4月20日、『災厄令嬢の不条理な事情2 使用人が私だけに甘すぎて身の危険を感じるのですが!』が発売されました! おかげさまで続刊が叶いました。本当にありがとうございます。 1巻はゼロサムオンライン様にて柴田五十鈴先生の御手によりコミカライズ連載中! 今回の2巻の電子書籍版は、2022年4月27日ごろに配信開始予定となっております。 あわせましてよろしくお願いいたします。 【あらすじ】 王太子との婚約を解消した聖爵家令嬢マリオン。彼女は恋仲となった途端、塩対応だった

          『災厄令嬢の不条理な事情2』発売記念SS

          【とある数学者にとっての未解決問題2】

          ※このお話は、中村朱里がツイッターにて時折呟いている現パロ(仮)です。 ※魔法のない現代において、エディが数学者、フィリミナが図書館司書であり、二人が幼馴染ではなく大人になってから出会ったという設定です。 ※全体的にふわっとした設定なので、深く突っ込まない方向でお読みください。 *** 【恋】 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 恋(こい)とは、特定の相手のことを好きだと感じ、大切に思ったり、一緒にいたいと思う感情。 「…………」 携帯端末

          【とある数学者にとっての未解決問題2】

          【とある数学者にとっての未解決問題1】

          ※このお話は、中村朱里がツイッターにて時折呟いている現パロ(仮)です。 ※魔法のない現代において、エディが数学者、フィリミナが図書館司書であり、二人が幼馴染ではなく大人になってから出会ったという設定です。 ※全体的にふわっとした設定なので、深く突っ込まない方向でお読みください。 *** 某大学の研究室に若くして助教授として所属する数学者、エギエディルズ・フォン・ランセントには、近頃、気になる女がいる。 一般的に言う『気になる異性』と言えば、恋だの愛だの惚れただの腫れただの

          【とある数学者にとっての未解決問題1】

          【神様にだって秘密】

          けほ、と小さな咳がもれる。喉は乾いてひりひりと痛む。鏡を見なくたって自分の顔が赤らんでいるのが解るし、なんとなく視界が歪んでいるのはまぶたが熱ぼったく涙がにじんでいるせいだ。頭がぼうっとしていまいちはっきりしない。ぽかぽかと湯上りのように熱をはらんだ身体は重く、あちこちの関節がみしみしとこれまた痛む。 これらの症状が意味するものなんてたったひとつ。すなわち風邪である。 私、フィリミナ・フォン・ランセントは、現在立派な風邪っぴきさんなのだ。 原因は解っている。昨日、にわか雨が降

          【神様にだって秘密】

          【本日は晴天なり】

          今日もいい天気だ。空にこんな風に澄んだ青が広がる日こそ、お洗濯日和と呼ぶのだろう。 心地よく頬を撫でていく春風に目を細めつつ、最後のシーツを洗濯竿に大きく広げてかける。立派な貴族夫人が自ら洗濯をするなんてありえない! とよく言われるが、私、フィリミナ・フォン・ランセントの場合、なにせ夫があの純黒の王宮筆頭魔法使いたるエギエディルズ・フォン・ランセントだ。いわゆる“使用人”という存在の募集をかけても、あの男に恐れをなして、その辺のお嬢さんやご婦人、そして青年達はランセント家別邸

          【本日は晴天なり】

          【ランウェイは歩かせない】

          そも、エギエディルズの妻であるフィリミナ・フォン・ランセントは、自らが身にまとう衣服について、重きを置いていない節がある。いいや、“節がある”どころか、完全に“置いていない”と断じてしまっても過言ではないほどに、自身の衣服に対して興味がない。 妙齢の女性らしく、必要に迫られればそれ相応に、審美眼の厳しいエギエディルズから見ても十分すぎるほど魅力的に着飾ってくれるものの、普段の姿はまあ一言で言ってしまえば『地味』。後にも先にもこの一言に尽きるのである。 そのくせ自分以外の周囲の

          【ランウェイは歩かせない】

          【夏の名残の薔薇】

          歌が、聞こえる。 ランセント家別邸における書斎にて、持ち帰ってきた仕事の一部を片付けていたエギエディルズは、流れるように言葉を紡いでいた羽ペンの動きを止めて、その書面から顔を上げた。 歌だ。かすかに。けれど確かに。この鼓膜を震わせるその声色は、エギエディルズがよく慣れ親しむものであり、同時に何よりもいとおしく思う存在のものだ。 くすくすくす。ふふふふふふ。屋敷の中に忍び込んできた風精のさざめくような笑い声もまた耳朶を揺らす。視線を巡らせば、薄く透ける翅を背負った幼い風精達が、

          【夏の名残の薔薇】