……ひとつ疑問なのだが、近頃、眼帯美少女が世間から淘汰されていないか？？？
　眼帯美少女よ、今いずこ――――――

　主にこの二つの記事で、かつて眼帯フェチについて語ってきた。
　興味がある方は、別途お読みいただくこととして、ここではとりあえず一つ目の記事の文章を抜粋しておく。それを前提に、以下一緒に考えていきましょう。
　「なぜ私も？」などと考えてはいけない。これは社会の課題だからだ。

　要約すると、医療用の眼帯をつけた美少女キャラは、無機質で痛々しいけれど、片方の目ははっきりと世界を見渡していて、そのギャップがすこ、というもの。
　海賊風の眼帯や、シール型の新品ないし残骸がただサイドテーブルに置かれていても、特に何も感じない。
　だが、医療用の真っ新な紐の付いた眼帯があると、付けている主の粛々とした日々を思わずにはいられない。

　なのだけれど。
　眼帯美少女が、令和になってからアニメ・漫画などのメジャー作品で着目されたことがあるか、いやない（反語）。
　便宜上、美少女と表現しているが、男性キャラでも同じ現象が起きている。
　それは、とりもなおさず消費者性向の所以であろう。なので、今一度、眼帯へのフェティシズムへ光を当て、人々を文筆によって啓蒙enlightenmentしようではないか。

　僕が眼帯と一言にいっても、どのようなモノを愛でているかは先述した。
　だが、それをさっそく度外視するならば、いま最も勢いのある眼帯キャラは、ホロライブVTuber「宝鐘マリン」さんだろう。

　先頃にはテレビにも出られたとか。男女いずれにも人気も高く、眼帯美少女としては筆頭だろう。さっきまでのご託は置いておいて、確かに良い。
　本人のクリエイターとしての魅力や面白さ、そしてビジュアルの良さを思えば、ここで眼帯という属性は無くても構わない。
　別に目を患っている・負傷している訳でもなく、海賊という記号に他ならないからだ。
　なので、この頃の衣装ではそもそも眼帯が外され、「オッドアイ」でいることが多い。

　眼帯でいるケースとして、このオッドアイというパターンは二次元には多々ある。マリン船長もこのパターンなので、病気などではない以上、変な話、こっち側も眼帯の付け外しを楽しめる。

　ちなみにホロライブでは「ロボ子さん」も眼帯バージョンがあったり。

　……そういえば、言うのを忘れていたが、僕は眼帯ビキニは反対派。眼帯はそれだけでいいし、付けるならば目の他には許しがたい。「医療用」を推奨しているのもこの感性ゆえ。

　眼帯キャラが減ったのは、メカクレヘアの台頭にあると僕は考えている。かつては鬼太郎ヘアと揶揄されることもあるほど、印象の強いものであったが、この頃では、寡黙・クールなキャラの髪型として、これが女性キャラならば黒髪ロングに勝るとも劣らない人気がある。
　偉そうに言っているが、僕のオリジナルキャラ「シュウスイちゃん」もまた、眼帯からメカクレになっている。

　医療用の眼帯をつけているとなると、ハンディキャップについても描き込みが必要になってくるし、中二病キャラであれば、既に小鳥遊六花という完成形へのアンサーにしかならない。
　なので、目を隠したいなら、髪を伸ばす方がシナリオ的にもキャラデザ的にも手っ取り早いのだ。

　裏を返せば、それだけ眼帯キャラには奥深さがある。いわゆる世間では、眼帯はファッションではない。それはイレギュラーなものである。
　理由は何であれ、それを付け続けるということは、良かれ悪しかれその者に強烈なアイデンティティを付与することとなる。いや、時にはもはやレッテルにも近いだろう。

　原作や製作上の期限などに縛られないVTuberであれば、個人勢も含め、眼帯は「衣装」のひとつとして、着脱が容易。
　一方でそうではない媒体では、話の主軸を付けてきた半生について、一度であれ持っていく必要がある。

　そうか……アニメにメイン級に登場する眼帯美少女は、アスカで終わったのかもしれない。
　いかなる王権でも、時流には逆らえない。だが、復古することも無いわけではない。その時が来るかは、眼帯の奥に光るものがあるかどうかにかかっている。
　確かにニッチな属性を集め、消費者へと届けられた美少女ゲーをアニメの原作にしていた時代は、眼帯もいればヤンデレもいた。
　やがて原作が漫画やラノベを主流としだすと、奇跡や背徳は、王道展開・記号へと変化し、サブカルがメイン市場へと発展するために、総花的にコンテンツが生じた。その過程で、眼帯はメカクレと化したのだ。

　だが、二次元美少女というものが既に物珍しい存在ではない今だからこそ、あるいは再び眼帯キャラをよく見かけるようになる日もそう遠くないかもしれない。
　それまでは……さようなら、全てのアイパッチヒロイン。