La Vita e Bella / 佐野元春 The Coyote Band

祝日を利用して、チェンソーマンの第1部を一気読みした。漫画に詳しいタイプではないので、話題作であるというだけでアニメを見て、原作も読んでみようと思った流れだ。
確かに面白い。誰が誰だかよく分からなくなりながら、第1部の全11巻をあっという間に読んだ。
全く個人的な感覚で言うと、何か80年代的な雰囲気があった。マスな世界では浮かれた世の中に対して、斜に構えて、退廃的で無気力に見えるけどどこか奥底には熱いものを秘めている感じ(80年代的には、そのムーブも実はマイナー気取ったメジャーなわけだけど)。
目的に向かって情熱を傾けるわけじゃないし、何が目的かも分かってないけど、過程で色々葛藤しながら、確実に前に進んでいる感じ。そこにグッとくる。
漫画を全く読まないおじさんの、お門違いな感想です。

で、読み終わったあと、何気なくSpotifyを開いたら、佐野元春の最新ライブ音源が公開されていた。
佐野元春がめちゃくちゃ好きというタイプではないけど、ここ最近は以前より意識して聴いてみようという気になっている。おじさんになったからだと思う。
そこで聴こえてきた”La Vita e Bella”という曲。初めて聴いたけど、ものすごく心に埋まってきた。それは、チェンソーマンを読んだ後だからだと思う。

「君が愛しい 理由はない」

サビのこのフレーズ。詳しくないくせに「ああ、佐野元春だな」と思ってしまった。
チェンソーマンみたいな感情を揺さぶられる作品を見た後に、佐野さん的な言葉が沁みてしまうのは、簡単な言葉で言えば「歌詞がクサい」からだと思う。
でも、佐野さんのボーカルや佇まい(今が一番カッコいいと思う)がクールを装って、無茶苦茶熱くて、ドラマチックに聞こえる。映画的な満足感があるのです。

何もない荒野に佐野さんの音楽だけが流れたときのサントラとして相応しい感じったら無いだろう。
こういうクサい歌詞を書けてサラッと歌える人、なかなか居ないよなと思いながら、この曲を何度も聴いている。
そして祝日を、良い気持ちで終えている。


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