これで終わり について

人に機嫌を取られる時の居心地の悪さは、誰とも共有することができなさそうだなとぼんやり考えていた。
機嫌が悪いのは私のせいで、誰のせいでもない。環境要因はいくらでもあるが、機嫌が悪くなるかならないかは完全に私の都合なのだ。いつでもご機嫌でいたいが、たまに機嫌がものすごく悪くなる。仕方がないと思っている。そういう時はおいしいごはんを食べて寝るしかない。これを書いた時はもう色々すっとばして曲を作って後悔させてしまえ くらいの気持ちだった。


夏の某日、しずくだうみレコーディングメンバーは新宿に集まった。台風が接近していて帰れるかわからないレベルの日だったが、もうその日以外スタジオには入れないからやるしかなかった。新宿駅の南口の軒先で、関西からはるばるやってきた樋口拓美を他のメンバーと出迎えた。去年の夏に対バンしてそこから交流があって樋口くんをオファーしたが、他のメンバーは彼とは初対面で、ぎこちない会話をしていた。

レコーディングのために作った曲と言っても過言ではないこの曲のアレンジをバンドサウンドにしたいと思い、アレンジの大枠を依頼したのは、請け負い仕事の相方である藤Snk(藤崎だからこの名前で、普段は藤崎と呼んでいる)だった。新潟在住なもんで、会う機会は1年に数回あったら多い方だが、いつだって私の少なめな言葉でやりたいことを汲んでくれる。なんならCメロの案はほぼ彼が出してくれた。できたアレンジをバンドメンバーに投げてスタジオで合わせた、というわけである。

スタジオで合わせた3日後から、埼玉の大宮のはずれで2日間レコーディングをした。樋口くんが大体おちゃらけていて、音の指揮はベースの奥田くんが取っているという感じだった。どうやって録ったかあまり覚えていない。どうやったけ、みんなたち…。
やたらマクドナルドを食べ、タピオカ(こんにゃくのやつ)を吸っていたのを書いていたらふいに思い出した。食べてばっかり。

スタジオに入った日、ぎこちない会話をしていたのに、2日目の終わりに帰る頃にはもう何年も友達やってますが??みたいなテンションになっていた。離れがたくて帰りたくないと言ったらわがまま娘が!!と言われた。これで終わりなんだな、と思った。

レコーディングをした1ヶ月後にミックスをしにまた埼玉の大宮のはずれまで行った。レコーディングの時は車で行ったが、ひとりで電車とバスを乗り継いだらなかなか長旅でさみしいし、車で行った時には気がつかなかった舗装されていない道のぬかるみにキレまくることとなった。
音のオーダーとしては、ドラムをとにかく前に出して欲しい と私は言った。それ以外はボーカルの修正くらい。するっと終わってしまった。この時もこれで終わりなんだな、と思った。

マスタリングは中村宗一郎さんのピースミュージックでやってもらったが、当然のことながら音量の調整という感じで、私はほぼやることがない。これで音源のことはほんとうに終わりだった。

でもこの後にも波乱が待っていることを私は知らなかった。
ミロクレコーズの横見くんがこの曲をやたら気に入ってくれて、ミュージックビデオを作ることになったが、とにかく大変だった。それについてはまた書くことにして、とりあえず、これで終わり。



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