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「微睡:解離」についての怪文書2 対談編

2021年1月13日に発売した、クロダセイイチさんとのコラボミニアルバム「微睡:解離」についての一人語りに続き、クロダさんと今作についてお話ししました。

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クロダセイイチ
作曲家。音楽レーベル「Human Experiment Records」代表
 Genius P.J's(ジニアスピージェイズ)の 鍵盤奏者,ギタリスト,プログラマー/ ミキシングエンジニア/プロデューサー/DJ

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しずくだうみ
東京のシンガー・ソングライター。だうみと呼ばれがち。
これまでに2枚のアルバムをなりすコンパクトディスク(はやぶさランディングス)、ミロクレコーズよりリリース。
自主レーベルそわそわレコーズからは5枚のミニアルバムをリリースしている。睡眠ポップユニット sommeil sommeil(ソメイユ・ソメーユ)の企画運営でもある。


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11月にリリースしたコラボシングル「夢の淵/罪の淵」に引き続き、「夢」「解離状態」をテーマに4曲を制作。
その制作過程を少し覗き見るような気持ちで、曲をゆるりと流しながらお読みいただけると幸いです。


制作の経緯

しずくだ:
そもそも共通の友人が多くてイベントで会うに至ったと思うんですが、制作の経緯としては私がなんかやりましょうよ〜と言ったので合ってましたっけ……?(笑)

クロダ:
そうだね。だうみちゃんから一曲やりませんかっていきなり連絡もらって(笑)。元々だうみちゃんと作品作ったら面白そうだと思っていたので二つ返事でOKしました。

しずくだ:
しずくだうみの活動としてはライブは基本的に弾き語りでやってきたんですが、ピアノの自信のなさとDTMの下手さと、自分にないものを持っている人と一緒に作りたいという気持ちで近年は人とやるようにしているんですが、クロダさんは曲の明るさと暗さのバランスがちょうどいいのと、変なところで怒ったりしないタイプだと思ったので一緒に作れそうと思って持ちかけました。

クロダ:
変なところで怒ったり(笑)。
でもそう思って声をかけてくれて嬉しかったです。
だうみちゃんの5thミニアルバム「美しい人」がとても好きで聴いていたので、自分と作品を作ったらどういう感じになるのか楽しみでした。


今作の役割分担について

しずくだ:
今回のミニアルバムは、1曲目のインストが完全にクロダさん作、2〜4曲目はしずくだ作詞・歌唱でクロダさん作曲になりましたが実際やってみてどうでした?
私はコーラスワークが結構難しくて苦戦したんですが(笑)、基本的には歌詞がつけやすいほどほどの詰め込みのメロディーでやりやすいなーという感じでした。
次をやるなら実は作っていたしずくだの怪しいメロも使ってほしい……アハアハハハ…….。

クロダ:
最初は1曲だけだったはずがデモがどんどん出来てしまって、じゃあE.P.にしようかって(笑)。
1コーラス作って送ったら10分くらいで歌詞が返ってきて驚きましたね。今まで一緒にやってきた人の中で最速でした。
多分難しいコーラスでごめんなさい(笑)。
でも自分の中でも実験してて楽しみながら制作させていただきました。
だうみちゃんの案の曲も本当はあって、本作には収録されていないのですが、今度はアレンジャーとしていつかみんなに聴いてもらいたいですね。


「夢の淵/罪の淵」MV撮影について


しずくだ:
この曲は暗くて冷たい場所を歩き続けるイメージなので、比較的近場だと川崎の工業地帯が合うかなーと思って撮影しました。
遠出するとキリがないので……(笑)。

事前に工場地帯大好きな方のブログを読んで、それを参考にバスで水江町まで行ってそこから延々と歩いて撮りました。
川崎駅まで戻ったあと、団地好きには大変有名な川原町団地でも撮影して、私の趣味全開だったと思うんですがクロダさん同行してて大丈夫でしたか?(笑) 私は翌日全身痛かったんですが…….(笑)。
この撮影のためにスマートフォン用ジンバルを買って何回か練習して臨んだんですが、ぬるっとしてる映像の楽しさはすごいですね。技術に関しては精進しないとですが、とりあえず楽しい……(笑)。

クロダ:
MV撮りに行きましたね。
普段自分は、影のプロデューサーから「お前の顔だとMVには耐えられないからあまり出るな!」という指令のもとほとんどMVには出ていなくて、撮影現場に行くこともあまりなかったのでとても楽しかったです。撮影中に野良猫にガン見されたりしてましたね(笑)。
撮影している描写を後ろで見ていたのですが、「夢の淵/罪の淵」が彼女にはこう見えてるんだって興味深く感じていました。

しずくだ:
影のプロデューサーこわすぎませんか……。


CD-Rデザインについて

クロダ:
今回、限定販売でCD-Rを製作する上で、私のバンド、Genius P.J’sのアートデザインを担当してくれているemiさんにお願いしました。
自分はemiさんのデザインを信頼しているのですが、だうみちゃんが気に入ってくれて、なぜか自分が「えっへん!」という気持ちになっていました。

しずくだ:
イメージを伝えたらスッと2,3個の案を出していただけてしかもどれもかっこよくて、「こんなに仕事ができる人がいるのか!」と妙に感動しました。
しかも先に提出しなくてはいけないサブスクリプションの提出期限に間に合うように私が突貫工事で作ったジャケットと重ねるといい感じになるようにCD-R版のジャケットのデザインをしてくださって、二人で感動してましたね(笑)。感動しか言ってないな(笑)。

クロダ:
イメージを伝えるのってすごく大変だからスッと伝わることは本当に感動だよね。二人で感動してました。感動しか言ってないね(笑)。


サブスクリプション時代に思うこと

しずくだ:
今作はCD-RのほかにDL販売とサブスクリプション配信で世に放ったわけですが、立場や考え方によって色々思うところがあったりするのではと思って議題にしてみました。
私自身はCDに関しては正直かなり気に入ったものを買う感じで、サブスクリプションサービスはApple Musicを使っています。
Apple Musicは邦楽に強いのが私に合っていると思う反面、プレイリストに関しては趣味が合わないと思う部分もあり、Spotifyの無料版でプレイリストを見て、Apple Musicに戻って聴くという妙なことをしています。
単純にApple Musicはミュージシャンへの還元率が高いので使っているのですが、正直Spotifyに乗り換えるか迷っています。

クロダ:
消費者としての所有欲は正直あまりなくて、コレクター気質でもなく家にもあまり物がなくて生活感が薄いと言われます。
サブスクリプションはApple MusicとSpotifyに入っています。
音楽制作のやり取りで「こんなイメージで!」とURLが送られてくるのがこの二つなので、仕事のツールという意味合いが強いかもしれません。
Spotifyの無料版からApple Musicに戻り……というのは前やってました(笑)。
ミュージシャンの還元率という点では、自分が消費者という立場だと好きなアーティストが活動しやすくする為にという意味で、還元率が高いCDを買うという選択肢を取ります。
サブスクリプションの時代になって、制作費をうまく回収できないバンドやアーティストが特にインディーズでは増えているのを感じていて、それは新しいアーティストの成長の場所を奪っているような感覚もあるので、うまいやり方はないか、トライアンドエラーを続けています。

しずくだ:
Spotifyの無料版からApple Musicの流れ、みんな通る道なんですかね(笑)。

クロダ:
そうかもね(笑)。


今後の活動について

しずくだ:
クロダさんがやっているバンド、Genius P.J'sは去年の11月の渋谷 WWWでの20周年記念のライブが大きなイベントだったと思うのですが、それを経て何か今後について考えたことはありますか?
また、Genius P.J'sに限らず、クロダさんとしての作曲活動としてもこれからやっていきたいことというか、こんな風になっていきたいみたいなイメージはありますか?

クロダ:

そうですね……。11月の20周年イベントはコロナのこともあって本当に色々悩みすぎて一旦自主イベントは休憩しようと思いました。
今後に関しては、以前だうみちゃんと対談した、”私たちは続けていく”の内容にも繋がるのですが、コロナのこともあって、「続けていく」ということの大変さを改めて感じています。その中で自分もそうですが、周りの大切なアーティストにも続けられる環境や知識を伝えてあげられていればいいなと思っています。辞めちゃったらやっぱり寂しいし。
音楽的にはまだまだやっていないことがたくさんあるのでこれまでにやったことがないものへのチャレンジは続けていきたいですね。大きなプロジェクト案がいくつかあって動き始めているので、それを形として皆様にお伝えできるように今年も頑張っていきたいと思っています。

しずくだ:
イベントは本当に難しいですよね。やっぱりどんなにインターネットでなんでもできる時代になってもリアルの力というか目の前で演奏することには敵わないと思います。まぁ私は去年末でライブをお休みすると言った身なんですが……(笑)。
先述の前回の対談で「続けていく」と宣言したのに、この1年は音楽への接し方が迷子になっていた気がします。
私の5thミニアルバムはガチガチのコンセプトアルバムなんですが、今まで実はコンセプトありきで作ったことがなかったこともあって全てを出し切ってしまった感があって燃え尽きてしまったというか、言いたいことがなくなってしまったんです。別に曲にメッセージなんて載せなくてもいいとは思う時もあるんですが。
それでも歌うことは好きなのと、待っている人がいると思うと何か作らねばと思って今回クロダさんに持ちかけてリリースに漕ぎ着けたわけですが、テーマは「夢」「解離」を掲げているんですが実は伝えたいことがなくて、それが裏テーマになっています。自分の中で「伝えたいことがなくてもいい」と思える作品を作りたかったのかもしれません。「伝えたいことがない」とだけ聞くとネガティブなイメージを持たれそうですが、リスナー側もフラットな気持ちで聴けるんじゃないかと個人的には思っています。いつもは伝えたいことが重いので……(笑)。
そしてまたこのリリースで若干の燃え尽きを感じているので、ちょっと人間っぽい生活でもして考える時間を増やそうかなというのが今年の指針です。

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CD-R通販 - Human Experiment Records

微睡:解離 ver2 灰

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クロダセイイチ×しずくだうみ「微睡:解離」

収録曲
1. introduction
2. プロローグ
3. 灰色の街
4. 夢の淵/罪の淵

品番:SOWACD016
価格:1,500円(CD-R)
CD-R特典:ポストカード、しおり

作詞:しずくだうみ
作編曲:クロダセイイチ
M4 Gt.みね
レコーディング協力:藤木和人(ケロケロケロレコーズ)
CD-Rデザイン:emi

クロダセイイチ×しずくだうみ 「夢」「解離状態」がテーマのコラボ・ミニアルバム『微睡:解離』リリース 2021年1月 OTOTOY

クロダセイイチ×しずくだうみ、コラボミニアルバム「微睡:解離」リリース決定! 2021年1月 Roof top

【NEWS】クロダセイイチ × しずくだうみ ミニ・アルバム『微睡:解離』を1/13にリリース決定 “夢”“解離状態”をテーマに制作された作品 2021年1月 indie grab


インタビュー:ひとつに縛られると満足できない――しずくだうみ“都市の周縁”で奏でられる歌 - CDJournal CDJ PUSH 2016年11月

「生きるために音楽を作っている」しずくだうみ、里咲りさと対談 電影と少年CQ迎え2ndアルバムのレコ発ライヴも 2019年1月

「クロダセイイチって何者?ーー命を削って作ったdaokoとのコラボ・シングルを期間限定で無料ハイレゾ配信」2014年12月



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