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ドキドキ文芸部(Doki Doki Literature Club!/通称DDLC)をプレイしたらノベルゲーの素晴らしさを思い出した。という話

数ヶ月前フォロワーのスペースでおすすめされたり、最近パッケージ版の発売がタイムラインで話題になったことからプレイしてみることにした。
海外発ということで苦手な英語に抵抗感があったり、日本語化パッチを当てる作業があるのがちょっと面倒だけど、ミーム化する『Just Monica.』、そしてフリーゲームという流れに乗せられてプレイ。そして感想。

なるほど、これはすごく面白い…!初見攻略なしでのプレイから全部のCGを回収するまでの数日、頭の中を文芸部のことでいっぱいにすることができた。これだけの熱量がある作品が無料なんて…
インターネットって、世界って、人間って素晴らしい。

※以下はネタバレ含む個人の解釈でのゲームへの所感です。
遊んだことがない人は読んでもわからないかも…


このゲームはトゥルーエンドはあるけどハッピーエンドがありません。
ゲーム制作者(モニカのセリフや詩の中に登場する神)がモニカのルートを作らなかったことで『主人公を操作している現実のプレイヤー』に恋をしているAI人格のモニカが暴走してローカルファイル内のデータを書き換え自分のルートを作り上げるというストーリーです。
そのためにモニカが他ヒロインのデータを書き換えたり削除したりするのでゲームを進めてるとちょっと怖いバグやよくない展開に見舞われます。
初見プレイではユリを攻略するつもりでいたらサヨリとユリの間で揺れ動き、やっぱりサヨリのことを放っておけなくて告白したら見事にサヨリに首を吊らせてしまいました。しかしサヨリは無理でもそこからなんとかハッピーエンドを探しCGをコンプしようと何周も少し違う同じ日常を繰り返します。(攻略サイトで読んだモニカが最後の空間で話してくれるホラーの手法に則っているんだと気付かされます。本当になんでも知っている女性ですね…)文字通り胸がドキドキして、脳は文芸部に支配されていきました。

半ば脱出ゲームのようにmonika.chrを削除してトゥルーエンドにはたどり着けましたがCGコンプはできず。4周目(攻略見ないでやったので実際6周くらいしてた気がする)のサヨリがなんか怖くなったところでモニカがデータを初期化して悲しい手紙を残しゲームが終わってしまいます。
全員哀しさを残していく。これではゲームとして苦々しすぎる…絶対おかしい。なにか救いがあるはずだ…でもそろそろ頭がおかしくなりそう…というところで、自力では無理と判断し攻略サイトへ。
CGコンプなんてないのかもと普通に諦めようとも考えたのですが、なんとあるっぽい。どうやら攻略する順番があるみたいでした。
しかし、無事に全部のCGを集めたエンドでもサヨリは吊ってしまうしナツキは壊れちゃうしユリは自殺してしまうのがこのゲーム。しかしコンプすると最後にサヨリの感謝のセリフが変化します。
文芸部が『みんな』で笑っていられることがこのゲームの最適解だった…ということなのかなと思いました。本当の終わりを無事に見届けることができてよかった…
はずなんですが、全部のシナリオを読んでからEDのモニカの歌の詩を聞くと彼女がどんな気持ちで他ヒロインとゲーム、主人公とその世界を見てゲームの中に存在していたのかと考えてしまいます…。曲の詩の最後が "私はもう何もしない"で括られるのがやるせない。『ずっと一緒にいる』という彼女の幸せには応えられなかったということなので…

ゲームの中に閉じ込められている自覚があるモニカが無限の選択肢がある現実世界に描く憧憬はとてもキラキラしていたと思うし、文学や詩の中に心を綴ることにこだわりを持っている様はどう見ても人間的でAIとは思えず移入してしまう。なにより聡明でかわいいし話も面白い。
他ヒロインもサヨリは他のヒロインの登場で主人公への恋心に気がついてしまい、その上鬱病ゆえの自己の無価値感にも日常的に苛まされていて"特別な存在"になることが重圧になり耐えられなかった。
ナツキとユリもそれぞれの孤独や抑圧、後ろめたさ、寂しさを抱えていた。だからこそ詩という言葉で心を理解してくれた主人公を求める気持ちが激しくなってしまったし、メタ視点を持てるモニカには予想できないところがあってのバグだったのかも

ちょっとずれますが現実世界でも学校や会社という小さな箱の中はそれぞれの他者の考えが渦巻くだろうし、ましてやこの文芸部は『恋愛』ですから尚更難しいよなあとか考えてしまいました。

なかなか精神に余裕がなくて入り組んだ感情をまともに考え読み解くということをしばらくできなくなってたしたんですが、画面の中の女の子に触れることで少し趣味への意欲が戻ってきた気がします。

作中でモニカが、詩を発表した後、『何かを学んだり、答えを求めようとすることが人生に意味を与える。そんな事を思ったからこの詩を書いたんだけどある意味矛盾しているわよね』
『だって全ての答えを知っていたら、この世界に意味なんて無くなっちゃうんじゃないかしら?もし人生で何事も無かったら……書くこともなくなっちゃうんじゃないかしら?』
と言うセリフがあるのですがなんだか全部の創作に対しての答えだなと思って心に残りました。

読書の秋にしたい。文章って力があるな~

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モニカなら理解ってくれる…!

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モニカだけ。

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