2021/02/23

春だ春だと周りが騒ぐ。頃合いよく何かを始められるのは、幸運でいて未来への展望や希望に満ちている、そんな限られた人々だけだ。

自分だけには何も始まらない気がしている。根拠のない悲観ではなくて、この不安や恐さには確かな既視感があって、それに気がつくと視野が狭窄していく。

初めてちゃんとした塾に通い、春に反対されながら受けた私立に受かった、やっとの思いで後ろめたさなく通学を許可された高校の単位が手術と入院と無力感のせいで夏には足りなくなり事実上辞めることになった時の不安。道のない閉ざされた場所に一人で置き去りにされるような。目の前に崖が現れるような。閉塞した数年間がパラパラ漫画みたいにめくれていく。静止画を見ている。同じ場面を眺めている。

生きるほどに死を身近に感じる出来事に見舞われる。怖い。現実しか映せない私のカメラは巻き戻しも早送りもしない。リアルな速度で記録だけをしていく。壊れながら、機能を失いながら続くのだ。自分のどこが壊れているのかもわからないまま私は止まれなくなっているのかもしれない。今日は吹雪いていた。

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