言葉のダンス

言葉がまとまらない。
意味がつかめない。
文字から意味が抜けて、音がほわほわして、いろいろな形の色が混ざる。
固さや大きさもいろいろで、ふわりふわりとやわらかい動きをする言葉、チクチクカクカクせっかちな言葉、じーっと動かない言葉、それぞれが出会うたびに変わって、何か言ってる。
言っていないのかな。
ただ踊っているのかな。


たぶんわたしの言葉、まとまっていない。
自分の書いた文章が、言葉ごとに色も動きも形もばらばらで、たぶんそれって、ぜんぜん意味のとおった文章が書けてないってことだと思う。
書いて消して、書いて消して、何度やってもぐちゃぐちゃで、うるさくて、めちゃくちゃ。
ぜんぜんなにも伝えられない。
求められる言葉の質感や形がわかっているのに、一向に追いつけなくて、つかめなくて、対応できなくて、くやしい。
何度も考えて、選んで、並べた言葉も、たぶん、なに言ってるんだこいつ…ってなってる。
だって、へんてこだもん。


わたしの言っていることが、ぜんぜんまともじゃない気がする。
あっていないような気がする。
相手の、自分の、言葉を、文章を、つかめていない気がする。


どうやって、読んで、書いて、話していたのか、文字のダンスにぐるぐるとりまかれて、わからなくなっちゃった。

いつも透明になる。
結局わたしは透明なのか。


ついにアタマが壊れてしまったのか、とこわくなる。
こんなこと言って、自分がなにを言ってるのか、わからなくてこわい。
思ったことを書いてみると、ますます何につまずいているのか、わけがわからなくて、不気味になる。
こんなことを大まじめに言ったら、病名がつきそうでこわい。
でも、けっこう大まじめだから、いやになる。
正直に言えば言うほど、自分のバグのようなものがあからさまになって、黙っていた方が自分のためになるような気さえする。


だから「言葉が頭に入ってこないんです」って、そこだけ言うようにしたほうが、変じゃないように思う。
言葉って相手のために、選んで並べるだけじゃなくて、ちゃんとそうやって形をつくらないといけないんだよね。
ふつうまでのスタートラインがあまりにも遠くて、どこから手をつけていいのか。

わたしを染めてくれる誰か
わたしのことがみえるだれか
はやくはやくわたしをみつけて
海のそばで渚のところでは待てないから

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