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彼氏彼女の事情


「秘密」について記録したときに書きました"人生で好きな漫画TOP3"、
その中で唯一まだ触れていなかった「彼氏彼女の事情」は
中高生の頃読んだので、完全に私の学生時代のバイブルです。
今手元に単行本がないので
セリフや表現が曖昧な部分があるかもしれませんが
毎年読んでいるので記憶だけを頼りに記録します。

何がきっかけで読み始めたのかは定かではないのですが、
ちょうど小学生の頃アニメがやっていた気はします。
ただ、アニメは庵野さん特有の空気で
なんかわからんけど気持ち悪い
という印象でした。
漫画を読んだ後に思い出しても
あのテイストはちょっと世界観が違うなと思います。

漫画を読み始めてすぐは
ギャグ要素もあってテンポも良い気楽なボーイミーツガールラブコメかと思いきや
(実際1巻で終わる予定だったのが
人気が出たため続いたと津田さんが書かれていたはずです)
どんどん闇が広がっていって
親の闇まで明かされていって
その連鎖を私(雪野)が断ち切らなきゃ!
という壮大な愛の話に発展していったのが痺れました。

リアルタイムで読んでいた頃はかなり有馬くんの沼にずぶずぶでした。
容姿端麗闇抱え天才男子好きな癖が解放された最初の瞬間かもしれません。

ちなみに、有馬編ラストの13巻が作画もストーリーも1番好きです。
誰がどこから見ても完璧な有馬くんが実は抱えている大きな闇を
雪野と出会ったことで振り払えたように思えたのに、
雪野にも友達ができ、学校祭も満喫し、新しい世界に目を奪われ
「1番狙うのもう辞める」と有馬に言った直後の
闇に飲まれる描写がもうたまりません。
(ここが13巻の終わりです)

あそこではっきりと
前半と後半が区切られているのも好きです。
後半は雪野編で、
徐々に有馬くんの変化、嘘に気付いていく雪野さんが
有馬くんを救おうと立ち上がる。
今読んでも、雪野さんは最高ガールです。

カレカノは名台詞、名場面が色々とあると思いますが
その名台詞は津田さんの"言葉の力"にあるのかなと思ったりもします。

津田さんは単行本の帯や最後のページにも
宮部みゆきさんや北村薫さんなどの小説を読まれていることをよく書かれていたので
読書家であり言葉を大事にされる方なのかなと思いながら読んでいました。

そんな津田さんの"小説のような文章"が随所に挟まるところも
カレカノの大好きポイントの1つでした。
中盤くらいからは漫画を読んでいるというより
挿絵のある小説を読んでいるような気持ちでした。

特に好きでよく思い返す文章が
「坂口安吾の小説みたい
連れてかれてっちゃいそう
冷たい孤独
花びらになって消えてしまうのよ
消えてしまいたい
毎日つまらなくて 堪らないのよ」
というまほさんの中学時代の心情の場面。
坂口安吾さん、カレカノで名前を知りましたが
恥ずかしながらきちんと作品を読まないままここまで来てしまいました。
最後の「毎日つまらなくて堪らないのよ」は
中高生特有の感情で、今読むと心臓がぎゅっとなります。

1番好きで読み返す度に号泣する場面は15巻の
自傷行為をした有馬くんに対して雪野が
あなたを追い込んだ人は私だよ、と言う場面。
「有馬を解放できるのはわたし
誰にもゆずってあげないの それが嬉しい」
「ひとつだけ希望があった
暗闇につかまってグチャグチャになってしまっても僕には壊せないカベも崩せるんじゃないかって
胸のつまる思いで 雪野なら」
はい、ここについてはずっと語れますね。
ここまでの経緯とこの場面の雪野の強さ、有馬くんにとっての光、有馬くんの願い、
色んなものが詰まっていて良さを書ききれません。
本当に、ここまで丁寧に積み上げられていた2人の関係性が相俟って涙涙です。
最後の「あつくなってとけていく」という言葉が
ひらがなで書かれているのもとても好きです。

カレカノの影響は細々と色々ありまして、
例えば、ブレザーの制服を着たい!!という欲がかなり強くなったのですが
残念ながら中学はセーラー、高校からは私服でした…。
あとは公立の進学校あるあるもあって、
各中学でちやほやされてきた人たちが集まるので
結構プライドバチバチですし
自尊心踏みにじられたり逆に調子乗っちゃったりするのを目の当たりにした時
「こ、これかー(嫌だけどちょっと嬉しい)」となりました。
あとは作中の修学旅行で雪野さんと有馬くんが嵯峨野に行っていましたので
私も修学旅行の自由時間に行きました。

1番カレカノの影響を受けたのは雪野さんの勉強スタイルで、
「親には最小限の金銭的負担しかかけたくないの
その中で最大限の勉強をしようと思ってるのよ」
が高校時代のモットーでした。
予備校に通わず大学受験に挑み
第一希望合格という目標も達成しました。
(このモットーは当時の合格体験記にも書いたはずです)
これについてはよく周りから褒められるのですが
雪野師匠のお陰です。ありがとうございます。

雪野さんはまさに私にとって師匠ポジションなのですが、
「世の中は成績で渡れるほど甘くない。
社会で生き抜くには悪知恵や他人を出し抜く能力、
人の弱みを握る才能がいる!」
という考えと
やっぱり男は30から、という意見に大賛成なので
雪野さんとサシで飲みたいですね。

ただ、これほどのカレカノ信者ですが
雪野パパの名言
「高校時代の1日は
大人になってからのひと月よりはるかに貴重な日々」
という言葉に関してはそうでもないかなと。
(私が単に高校時代があまり楽しくなかったというのがありますが)
大人はサイコー!です。
大人で良かったーと思うことが圧倒的に多いです。
勿論中高生の頃はこの言葉を信じて生きてきたのですが、
結果、大人が1番。
でも雪野さんのラストの
「ああ面白かった。疲れたーって言って死ぬのが夢」というのは
まさに私もその通りです。

コロナ禍やらなんやらでマイナスな情報が溢れる世の中になってしまい
2019年までとは全く違う世界に来てしまった気がしているのですが、
それでも私は私の人生を
変なこともいっぱい起きたけど面白かったー、と終えたいと今も思っています。

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