見出し画像

Vol.071「物語を面白くするのは「新しい視点の提供」と「何を省略しているか」だ:『葬送のフリーレン』感想」

すこし前、新社会人以来の友人たちとのミニ同窓会に行き、そこで「葬送のフリーレン がものすごく面白い」と教えてもらいました。
単に「このアニメ推しだ」ということではなく、
自分より若い世代で何が受けているか自分の時間を割いて視聴して知るようにしてる
② 特に響いた部分をプレゼン資料などに引用することもある。表現しないと伝わらない
③ 今のアニメはとにかくレベルが高い。食わず嫌いはもったいない
④ 自分を更新したほうがいい。やらなければ取り残されるだけだ。
という話でした。(私の解釈含む)

その後、家に戻ってからAmazon Primeで『葬送のフリーレン』を視聴。全28話を確か二日二晩ぐらいで、ほぼ いっき見してしまった。「早々のフリーレン」とでもいうところです。

「感想をそのうちまとめようかなぁ」ぐらいにと思っていたら、澤円さんがVoicyで、「フリーレンを一気見した、めちゃくちゃ面白かった!」と題材に取り上げられていました。再生ボタンを一時停止し、整理してみます。澤さんのお話を聞いたら影響を受けるに決まっているので、先に書いてから"答え合わせ"してみよう、という趣旨です。

澤円さん『「時間感覚のズレ」は本当に怖い。』

まず全体を通して:支持される物語というものは、「どんな新しい視点を提供するか」「何を強調して何は省略するか」に尽きるなぁ、と感じました。

1.「終わり」から始まる物語。

物語は、世界征服を狙う魔王を倒した勇者一行が、王様のところに戻るから始まります。
通常の冒険モノなら、「王様の元を出発して 様々な苦労を経て ついに大魔王を倒すまで」がメインになるところ、『フリーレン』ではそこをいきなりカットしているわけです。
「え?今から何が始まるの?」と頭の中にクエスチョンが浮かびながら、いっきに惹き込まれてしまいます。

2.「時間軸」の視点。

大ヒットしたロールプレイングゲームを始めとする「勇者モノ」が説明を省略してきた、「時間の経過」の観点です。
勇者たち一行は歳を取らないのか。冒険を成し遂げた少年少女たちは、大人になっても輝いているのか。魔王退治が終わって、モンスターがいなくなって、世界が平和になったら仕事は果たしてあるのか。人間と、エルフやゴブリンやドラゴンが共に闘うのはいいけど、時間の感覚(寿命)は同じなんだっけ...。
これまでのヒット作品がある意味ではごまかしてきたところをつぶさに、メインにして描く。それがこの話を、ものすごく面白くしているのだと思います。

3.「残酷さ」が面白さを増す。

主人公のフリーレンを含め、多彩な脇役たちも、またフリーレンの師匠たちも、純粋さと、冷徹さ残酷さをあわせ持っています。
敵を倒すのに、正々堂々ではなくどうやって確実に倒すか。自分の強さを隠して油断させたり、和平交渉の使者のふりをしたり、ダンジョンに立ち向かうパーティーとして「ここは手を組もう」と言ったり。
いつ裏切るのか、あるいは裏切らないのか。悪人なのか善人なのか。見ている側をドキドキさせます。

4.「わからなさ」を残す。

フリーレンは見た目は少女(年齢負傷)だけど、千年ぐらい生きてきたエルフです。
劇中でも、彼女の言動思考が人間とは違うこと。人が当たり前に持っている感情が、いくつか抜け落ちているのでは、と思わせる行動。敵を倒すのに躊躇しない冷ややかさなどの描写があります。
物語には、①主人公が未完成で純粋で、読み手が感情移入して応援したくなる話と、②主人公がものすごい能力を持つ一方で、何を考えているかわからないところがあり、全面にはのめり込めない、感情移入させない、大きく2種類があると思っています。
『フリーレン』は明らかに後者で、「主人公の魔法使いの正体が、見ている読者側にもよくわからない」というアプローチをとっている。それは惹き込まれますよね。

※その意味で、添付の画像は、ちょっとかわいすぎる。人間の少女的な画風になってしまいました。もうすこし視線や口元がうつろ(無表情)で「何を考えてるかわからない」のが「フリーレン」だと解釈しています。

5.省略する。

これまでの話とも重複しますが、大魔王との戦いを描かない。過去の冒険の仲間たちとのエピソードを小出しにする。彼らの過去や背景を全部は描かない。
物語の終盤で、フリーレンの師匠の師匠が登場するのですが、彼女の強さを直接は描かない。断片的だけども、類推できる情報を提示することで「あぁ、とんでもなく強いんだな」と理解できるように仕向けています。
「いかにも強そうな敵との戦いを瞬殺で終わらせ、とんでもない強さを描写する」といった手法は、物語の王道ではあるけれど、もっと緻密で、静かで、だからこそ ぞくっとするような、素敵な省略の仕方でした。

以上が、『葬送のフリーレン』アニメを見ての感想です。
一言でいうと「作者・制作サイド皆さんの手のひらで、ワクワクさせられ通しだった」です。

+ + +

沢さんのお話は冒頭をうっかり聞いてしまい、時間軸の話をされようとしているところまでわかっています。
なので一瞬、時間軸のことを1番目に書いて、「沢さんと同じだったよ!(オレすごい!)」と言おうか迷いました(一瞬です)。
前回の記事でも書き出しており、ごまかしてもしょうがないのでそのまま考えた順番で書き出してみました。
このあと放送を聴いて、「答え合わせ」してみます。


引き続き、iPhoneの音声入力で原稿たたき台を作成。ChatGPTで誤字脱字の修正を行っています(※)。
「原稿なしで話す練習」を兼ねているので、話の骨子や順序は変えずにアップロードします。

(追記)澤さんの放送、人間とエルフの時間感覚の違い(フリーレンにとっては10年の冒険は短期間)から、「同じ人間なのに(例えば)日本企業と外資系、大企業とベンチャー企業では時間感覚がまるで違う」へと展開。鋭く刺さる、耳の痛いお話でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。



※共有:
この手法=①音声自動入力→②AIで誤字脱字修正、は Voicyパーソナリティ 大手町のランダムウォーカー さん(『毎日10分間の数字で考える習慣』)の放送を聴いて、そのまま真似させていただいたものです。

「自分はいままで何をやってたんだ?」という感じで、すごい時間短縮とストレス低減。
目ざましい業績を挙げている人とそうでない凡人の違いの一つに、「時間の使い方」(行動の優先順位づけ)があって、これなどはその典型例だと思いました。
ランダムウォーカーさん、ありがとうございます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?