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グレンデールの娘達

   グレンデールの娘達

                     

                          大鳳 万

 あるところに、グレンデールという小さな町がありました。年中曇り空で薄ら寒く、カラスがよく飛び交う土地でした。

そしてグレンデールの一際小高い丘の上のお屋敷には、必ず何代かにひとり、死神に愛される運命の女の子が生まれるのでした。その女の子は黒い髪に黒い瞳、そして左手の薬指に必ず痣がありました。その痣が輪のように細く指を取り巻いているので、それが死神からの婚約指輪だと言われていました。

そんな運命にある娘達のことを、人々は哀れみを込めて『グレンデールの花嫁』と呼んで恐れていました。吟遊詩人も、グレンデールの娘達の歌を作ったほどです。

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