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東大制作展二〇二三「學藝運動」に行って

東京大学本郷キャンパスで2023/11/16-20の期間に行われている東京大学制作展二〇二三に行ってきた。

トークセッションと制作について、多くの刺激を受けたので書く。

皆様観ていると親切に説明して下さってとても楽しい時間でした。ありがとうございました!

特に好きだった制作3つ

全部の制作をじっくり見られたわけではなく、偏ってしまう部分もあるが以下感想。

1.「本郷補完計画」
二瓶雄太/水上花那/鈴木彩音/中里朋楓/福井桃子/乘濵駿平/ジャヤビクラマ幸一/犬田悠斗/四方璃玖人
普段何気なく通り過ぎる街の中に痕跡を探してみようという新しい視点を生む可能性があるのが、超芸術トマソンや路上観察学を知ったときと個人的に同じものを感じた。展示につきものの会場という環境にあまり支配されず、キャンパス全体を会場として捉え、展示を観た後に痕跡を探しに行くという鑑賞者の具体的な行動まで考えられていて好きだった。

2.「まなざしの条件」
橘卓見/沈有方/李晓彤
普段映像に安心して没入していられるのは自分が映像の中で透明な存在であるからであって、映像の中に自分の存在が認識できてしまうとこんなにも不安なんだということを勉強させて頂いた。映像の中の人物たちのまなざしにさらされたとき、リアルな感覚でゾワゾワした感覚を忘れないと思う。実際こんなにゾワゾワできるのは、見ていない方のモニターにも見ている方の音を入れていたり、他にも私が気づいていない細かいこだわりが沢山入っているからなのだと思うと本当にすごい。

3. 「シャーレの中のX」
平井龍之介/田丸陽稀
シャーレという場面設定がより生き物らしさを感じさせていた。ただ人工生命群が投影されているだけでなく、歪んだマテリアルをとおして映されているのがとても良かった。結局歪なものがいきものらしさなんだろうなと再確認できた。人工生命群の健康状態を記録していくのが以前ICCで観た「かぞくっち」という作品と同じものを見出せた。その作品もテーマは違うが個人的に好きで今回のこの作品にもとても心惹かれたので、人工生命だと理屈ではわかるものに生き物らしさを感じるのが自分の好みなんだと気づかせて頂けてすごく良い機会だった。

トークセッション

伊藤亜紗先生、山川冬樹先生、筧康明先生のトークセッション。「学術と芸術の関係性」をテーマにということだったが、実際は「制作展をご覧になっていかがでしたか?」という質問からどんどん自由に話が膨らんでうねっていって、なんだかんだテーマに沿っていてすごいな〜と思っていた。面白くてあっという間だった。

考えたこと

1)展示について
私自身展示を学科同期としている身のため、考えることがたくさんあった。どうしても展示会場の環境という制約下でやらざるを得ないので、それに導かれるような作品に結果的になってしまうということ、作品とアートはまた違うということ、キャプションなどこれが作品です!(矢印のよう)という分かりやすさをつくって、「展示らしさ」が満ちている形式についてのこと……など、自分が展示を通してモヤモヤしていた部分を扱ってくださったと思っている。

2)工学とアートについて
結構前から提言されているBTC人材について最近読んだり授業で扱ったりしていたので個人的に関連を見出せてホットなテーマだった。トークの中ではそもそも分野って「アート」「工学」のようにパッキリ分かれないよねという観点が話されていたように思う。作っていく中でリサーチのフェーズもあればアートのフェーズもあり、工学のフェーズもあり……とうねうね(?)揺らぎながら扱っていくような感覚だと個人的には理解した。BTC人材もBusiness、Technology、Creativeの3つを持つ人材がイノベーティブであるという考えだが、この3つが説明の際に出てくる正三角形のようにパッキリ分かれているのではないという視点を持っている必要があるのではないかと思った。
伊藤先生が、あまり一般化するのはよくないが工学系の生徒は個を殺していかに再現性を高めるかを叩き込まれているので、その中でアートを教えるのにいろんな言葉を使うとおっしゃっていたのが印象的だった。「作品を作れ」のかわりに「罠を作れ」など、それだけで全く違うイメージがうまれて、言葉の持つ力のすごさを感じた。

メモなど取らず夢中で聴いていた上、ポンポンテーマが切り替わっていって気に入ったものが多すぎるので拾えてない素晴らしい部分がたくさんあるが、このわくわくした気持ちを忘れないようにしたい。
また思い出したら追記しようと思う。

制作展は11/20(月)までらしいのでぜひ!

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