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履修を組むときのために2023【一例あり】

 高校を卒業し、大学生活が始まって、今まで経験してきた学校と大きく違うシステムの1つが「履修を組む」ということだと思う。必修はあるものの、割と自由に組めるようになっているのが大学のいいところではあるが、制約のある学校教育から卒業し、急に自分で好きに組んでくださいと言われると、こういったことが苦手な場合は毎年悩みの種になり得るのがこの履修である。
 このnoteは、大学生全般に一般化して当てはめることもできるが、対象の中心はインダストリアルアート学科の新入生ないし履修が苦手な人であり、そういった人たちが最初に読んで、各々の履修を組むのに活用できることをめざして書くものである。そのために、自分や周りの友人が1年の最初に知っていればなあ…と思うことを交えつつ、まず前半で履修を組むためにどのようなことを考える必要があるのかを述べ、後半で具体的な組み方について例を挙げて説明する。
もちろんこれが正解ではないし、割と長いので全部を読む必要もない。気軽な気持ちで、自分に必要だと思う部分をつまみ食いしながら読んで欲しいと思う。

ざっくりと4年間を考える

 大学を卒業するということは、「卒業に必要な単位数を期限内に取ること」だと言える。当たり前のことではあるが、まずは卒業に何単位必要なのか、ざっくり4年間のイメージを作ってから逆算することが必要だ。

東京都立大学システムデザイン学部インダストリアルアート学科ディプロマ・ポリシー&カリキュラム・ポリシーより抜粋
卒業要件

 つまり、インダストリアルアート学科を卒業するということは、上記の表の条件をクリアして合計128単位以上取るということである。このことを頭に入れて、後半の具体的な方法に進んで欲しい。

自分について考える(得意・不得意・好き・嫌い)

 2年間授業を受けて、大学でよく聞く「楽単」は、本当に人それぞれであると思うようになった。履修を組み、それに従って単位を落とさず進級するには、一度自分がどういう人間なのかを考え、好きなこと、得意なこと、興味があること(またその逆)を軸とした「自分にとっての楽単」を見つけることが必要となってくる。そのために考えるべき大きな軸は、
一般教養と専門科目のバランス
レポートか制作かテストか
の2つだと考えている。インダストリアルアート学科の専門科目は制作を評価するものが多いので、決める上ではこれを十分に考慮すべきだ。

一般教養と専門科目のバランス

 これは自分が大学に何を求めているのかによるものである。大まかに言えば、
「一般教養に興味があり、総合大学のメリットを存分に使って1、2年のうちは専門科目以外のことも勉強してみたいタイプ」か、「大学は専門的なことを思う存分学ぶ場所であるから、一般教養は最低限にして専門科目を沢山取りたいタイプか」で決めることになる。また、次に述べる、レポートに向いているかどうかも関わってくる軸である。
 実際に履修を組み始めてみると分かるが、教養を少なくしすぎると、最悪単位を落としてしまった時に3年になって南大沢と日野のダブルキャンパスに陥ったり、逆に専門を少なくしすぎると、専門性の高くなる3年で沢山取らなくてはならないのでハードモードになったり…ということが起きてくる。それを踏まえると、適度にバランスを取りつつ、自分の特性に合わせて比重を考えるべきだと分かる。

レポートか制作かテストか

 インダストリアルアート学科の専門科目は、レポートか制作物か(またはその両方)であることがほとんどで、一般教養はレポートかテストがほとんどである。基本的に1年では専門科目群の基礎総合ワークショップの大多数を取ることになるので、一般教養や2年以降の専門科目の選択時に考えることが多い軸だと言える。自分の今までの経験と照らし合わせて、調べ物や文章の読み書き、形式に合わせることが得意であったり好きな場合にはレポート評価の科目を多くし、反対にそれらが苦手な場合は制作物やテストを多くする選択肢を取るのが良いのではないか。大学のレポートはプレ論文のようなもので、お作法に則って書くものがほとんどであるから、書くことや調べること、ルールに則って形式を守ることが本当に苦手な場合はその点をしっかり考慮すべきである。勿論未来には卒論が待っているし、形式に則って論理的に文章を書く(アカデミック・ライティングの)練習をするということは大学で学ぶべきことだが、それが辛すぎて単位を落とすというのは本末転倒に思える。完全に避けることは不可能なので、書かざるを得ない機会で頑張って練習しつつ、比重を考えると良いと思う。
 また、専門科目の特性上、余程計画的に進めても、中間期間や期末期間には制作物に追われることになる。そういったことも含めてレポートやテストのバランスを見ることが必要だ。

実際に履修を組んでいく

 これ以降は実際に流れに沿って履修を組んでいく。

具体的に4年間を逆算する

 先ほどの4年間を考える(意識)を、実際に履修を考える計画に落とし込もう。

東京都立大学システムデザイン学部インダストリアルアート学科ディプロマ・ポリシー&カリキュラム・ポリシーより抜粋
卒業要件

 1年間で取れる単位の上限が50単位であることを考慮し、まず各科目群で取らなくてはいけない最低数を考える。
・教養科目(≧6)+基盤科目(≧6) 最低22単位
・基礎科目群:基礎ゼミ(2)+情報リテⅠ(2)+実践英語(8)+理系科目(4) 16単位
・専門科目群:基礎総合WS(≧16)+コア科目(≧40)+特別研究(8) 最低74単位
 128-(22+16+74)=16単位
となり、16単位をこの3つの群に割り振っていく必要があると言える。
この割り振りの時に考えるのが、一般教養と専門科目のバランス、レポートか制作かテストか、の2軸というわけだ。
 年間上限が50単位とはいえ、標準履修課程表に則ると、4年は特別研究(8単位)だけとなっている。またキャンパスの特性上、一般教養は1、2年次に取り切らないと大変なことになるので、南大沢キャンパスにいる2年間をフル単あたりまで(100単位近く)取り、3年で20単位前後、4年で卒業制作8単位に取り組むというのが王道であると思う。また、将来は不確定であるから、早め早めに取っておくのは大切だ。

3年生の仕組み
 
今までに公開されている日野キャンパスの時間割を見ると、3年以降は専門化していくために、今までとは違いメディア科目とプロダクト科目の授業時間が遠慮なく被っているのが分かる。
また、大体がスタジオごとに
前期:演習Ⅰ(2単位)+実習Ⅰ(1単位) 後期:演習Ⅰ(2単位)+実習Ⅰ(1単位)
の計6単位ワンセットで構成されていることが分かる。
つまり、3年生で20単位前後を取るなら、3スタジオ〜4スタジオの授業を取るということだ。
しかし、モーションキャプチャ演習(2単位)とストラテジックデザイン演習(2単位)はメディア領域とプロダクト領域でそれぞれ単独授業として用意されているので、3スタジオ(18単位)+α(どちらか)で計20単位とすることもできる。(2022年度時点)

実践編

ここまででざっくりと4年から逆算して3、4年のイメージを掴めただろうか。
ここからは1、2年の履修を組む手順を紹介する。
1、2年において実際に履修を組むときの手順は
①必修科目を埋める
②専門科目を埋める
③一般教養やその他の授業を埋める

といった流れだ(下図参照)。②③は完全に切り離せるものではなく、一緒に決めていっても良いと思うが、先に述べたように基本的に1年では専門科目群の基礎総合ワークショップのほとんどを取ることになるので、ある程度専門科目を埋めた上で、空いた中で一般教養やその他を埋めていくのが比較的楽な決め方だと考えている。

筆者1年前期の時間割を参考に作成
※実際の科目名を記載する方が分かりやすいのは承知しているが、年度によってあまり変動がなく、大学側が時間割をむやみにSNS等に載せることを注意喚起(ストーカー被害防止等の観点から)していたのでこの形をとった。

この時用意するべきは
・履修の手引き(主にインダストリアルアート学科の卒業要件・標準履修課程表)
・紙のシラバス
・WEB版シラバス(曜日ごと・科目種類ごとに一覧で見られる方)
である。WEBシラバスでおすすめなのは、CAMPASSSQUAREから入れるシラバスではなく、kibakoの各科目の機能欄にある「授業情報」の中にあるURLから飛べるWEBシラバスの方である。このページでは科目種類ごと・曜日ごとに科目を一覧できるため、時間割を組むときに大変便利だ。もっとこのページを学校側は周知してほしい。

①は半ば強制的に埋まるのだが、システムが変わっていなければ1年前期は基礎ゼミナールを第5希望くらいまで提出するはずである。これが不確定要素であるから、希望を出した時間は埋まっていると仮定してこの後の履修を組む必要がある。
次に②で専門科目を入れていく。Kibakoから飛べるWEBシラバスで、科目分類の中の「システムデザイン学部」を選択し、標準課程表を見ながら必要な専門を曜日ごとにに入れる。
それが終われば、③で一般教養を入れる。この時、紙のシラバスでは教養科目群と基盤科目群で授業が分野別に記載されているので、興味のある分野を見つつ当たりをつけておくのがおすすめである。紙には紙の、WEBにはWEBの良さがそれぞれあるので、状況に応じて使い分けるのが良い。
専門でも言えることだが、比較的選択の自由度が高い一般教養は、実際の授業の雰囲気や課題が授業開始1週目で説明されるので、興味のある授業には被っていない限り参加し、きちんと授業を半年間やり切れるのか確認した上で履修を確定すると良いだろう。この時に「レポートか制作かテストか」を指針にすることをお勧めする。

その他について
都立大では夏期集中講座と冬期集中講座が開講されており、長期休暇の数日間で集中して授業を受け、単位を取ることができる。インダストリアルアート学科の専門科目でも、年度によって変動はするが「美術館資料論」「博物館概論B「美術博物館実習」などが開講されている。数日間はハードだが短期間で単位が取れるので人によってはコスパがいいと言えるものだ。こういったものも考慮に入れつつ、年上限50単位を組むといいだろう。ただし、インダストリアルアート学科の集中講座の日程が発表されるのは他学科に比べて遅く、長期休暇に免許合宿やサークル・部活の合宿などと被ってしまい単位を落としてしまうといった例も散見されたので、日程調整には注意が必要だ。

また、余裕があれば前期と後期を年度初めにセットで組んでしまうと、50単位をさらに意識して組むことができる上、後期の履修登録が楽になるのでお勧めしたい。

終わりに

今回のnoteは、インダストリアルアート学科の新入生ないし履修が苦手な人が最初に読んで、各々の履修を組むのに活用できることをめざして書いた。そのために、まず前半で履修を組むためにどのようなことを考える必要があるのかを述べ、後半で具体的な組み方について例を挙げて説明した。
年度によって科目名や履修のシステムが変更になることもしばしばあると思うので、参考になりそうなところがあれば読んで、各々の履修に役立てて頂ければ幸いだ(2023/03/13)。


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