見出し画像

BAGNAG 稚内シティハードコア WCHC 胸締める現実を平和の声に変えて歌い続けてきたバンド

SLANGを好きになってから自分は好んで北海道のハードコアバンドをよく聴くようになった。その中で SLANGに続いて大好きだったバンドだったのが北海道稚内のBAGNAGというバンド。

SLANGのレーベルStraight up recordsからBAGNAGというバンドの音源がリリースされるのを知ってまずこの「ニイタカヤマノボレ」のMVを観た。

サウンド的にはニューヨークハードコアでビートダウンパートがあり、メタリックなギターと野太いヴォーカルの歌声と切ないメロディーパートもあり、楽曲の良さと全体の漢らしい雰囲気がカッコよくて凄く惹かれた。

この曲がきっかけでBAGNAGに興味を持ち「日本-NIPPON-」のアルバムを購入した。MVになってるニイタカヤマノボレを始めとして全体的にNYHCサウンドではあるけど、必ずエモーショーナルなメロディパートがあって、ギターも泣きのメロのソロやオブリガートが含まれていてこれが曲を更に感動的にしている。

詩はコンセプトアルバムの様に全編に太平洋戦争で起きた事柄を歌詞にしている。当時のインタビューを読むとこのアルバムは「日本の為、愛する家族の為、愛する者の為、その血を受け継いだ俺たち子孫の未来の為、平和を願い散っていった先祖、英霊の方々の大和魂を知らない来世へ捧げたい。」と綴ってあって、その思いが魂が篭ったヴォーカルとサウンドから伝わってきて、その熱き想いとエモーショナルなメロディとシンガロングが重なってとても感動する。

BAGNAG 日本-NIPPON-

アルバムにはSLANGのKOさん、YUKIGUNIマモルさん、FORCE OUTのNAOさん、THORNのジャイアンさん、そしとあのBALZACもゲスト参加している。

このBAGNAGを通して彼らの歌詞に綴られた内容で自分は太平洋戦争で知らなかった事実を知り学んだ。BAGNAGは北海道最北端の稚内のバンドで、ロシアにも近い。稚内の先にサハリンというロシア領土があるんだけど、この土地がかつて樺太と呼ばれ、日露戦争の講和条約として締結されたこの条約で、南樺太(樺太の北緯50度から南)が日本の領土となり日本人が住んでいた事を自分は全く知らなかった。BAGNAGの曲に「撫子の華」、「真岡へ祈り」いう曲があり、この曲は真岡郵便電子局事件という実際にあった歴史的事実が題材となっている。それを題材にした氷雪の門という映画が且つて公開されていたようだからこの予告も観てみて欲しい。

真岡郵便電子局事件は太平洋戦争後の樺太の戦いで、真岡郵便局の電話交換手が集団自決した事件である。当時日本領だった樺太では、一方的に条約破棄したソ連軍と日本軍の戦闘が、8月15日の玉音放送後も続いていた。真岡郵便局の電話交換手は引き揚げをせずに業務中だった。8月20日に真岡にソ連軍が上陸すると、勤務中の女性電話交換手12名のうち10名が局内で自決を図り、9名が死亡した。

8月15日の終戦後も樺太ではまだ戦争が続いていて女性電話交換手が自決しなければならなかったのはとても悲しい事件であった。命を落とす必要がなかったかもしれないと考えると無念でならない。

KOさんがゲスト参加してる「士魂-北を生きる者たちへ」は、大東亜戦争終戦を迎えた北千島にてソ連軍の侵略から本土を守り抜いた十一連隊(士魂部隊)という隊があって、この島を守っていなければ北海道は無いと言われているそうだ。これは教科書にも載っていない太平洋戦争時代の事実だ。

BAGNAGを通して教科書には載ってない、学校で習っていない太平洋戦争の事を初めて知った。これは彼らが稚内という土地で活動するバンド、そして日本に生まれた者であるからこそ伝えられる貴重な事実なのである。

そういう歴史的事実を知ってからBAGNAGの曲を聴くようになってからは、戦争の為に散っていった人の命の事が自然と脳裏に浮かび涙無しでは聴けなくなった。特に自分は君が為という曲のメロが切なくて泣ける。

BAGNAGは稚内のバンドだからなかなかライヴを観るのは難しかったけれど東京に来てくれた事があって西荻のライヴハウスでライヴをしてくれた。その時は魂の篭った凄く熱いライヴ観せてくれて、もう涙無しでは観られなかった。とても良い感動的なライヴだった。

BAGNAGが東京でライヴした時のセットリスト

BAGNAGは日本のアルバムでは3人編成でユータさんがVo&Baをやっていたけど、その前はMTMさんというVoがいたんだけど残念ながら事故で亡くなってしまった。その後ユータさんがギターからベース&ヴォーカルに変わりBAGNAGを存続してくれた。
そのMTMさんがいた時代の1stは廃盤だったけど限定で再販してくれた。このアルバムは日本とはまた雰囲気は違うけどこの音源もBAGNAGらしさがあってとてもよい。

MTMさんがいた時代の5人編成の時の音源

このBAGNAG自分は暫くハードコアから離れていたので後追いで知ったのだけど2021年11月に解散してしまっていた。紆余曲折あったけど北海道最北端の地稚内で、素晴らしいハードコアを17年間鳴らしていたのは本当にリスペクトしかない。

BAGNAGは音楽も勿論良かったけど、教科書にも載ってない学校でも教わらない自分の知らなかった日本の歴史的事実を学ぶきっかけを与えてくれた存在として自分にはとても重要なバンドである。

BAGNAGの歌詞は一貫して戦争がテーマになっていて、悲しい戦争の現実を綴っているけど、彼らが伝えたい事は二度とこの様な惨劇を起こしてはならない、平和な日本であり続けることへの祈りである。

BAGNAGの日本やMVはサブスクやYouTubeでもまだ聴けるから是非興味を持ったら聴いてみてほしい。

自分はHardcore is more than musicという言葉が好きなんだけどBAGNAGも音楽以上のものを自分に与えてくれたそんなハードコアバンドだったんだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?