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若手コンサル転職体験記~総コンからFASへ~

更新箇所

2023/9/13:固定残業手当の設定時間を追記

はじめに

こんにちは、パクリューです。
記事を閲覧いただきありがとうございます。
少し自由な時間ができたため、社会人3年目の私が初めて経験した転職活動について本noteを執筆/公開することにいたしました。
転職を検討し始めた背景から、転職活動の進め方や結果までの概要を記載してるので、これから転職活動を始める方々の参考になれば幸いです。


自己紹介(2023年8月時点)

  • 年齢:20代半ば(1998年生まれ)

  • 職業:経営コンサルタント

  • 学歴:私立理系学部卒

  • 資格:USCPA全科目合格/TOEIC855/簿記2級

  • 趣味:筋トレ、サウナ

  • 特技:ベンチプレス122.5kg

新卒での就活時は、様々な業界/職種のインターンに参加しましたが、

  • 特にやりたい仕事が見つからなかったこと

  • 強いて言うならコンサルティングファームでのインターンが一番楽しく、魅力を感じたこと

  • サラリーマンとしてある程度稼ぎたかったこと(30歳までに1,000万円ほど)

等の理由から、やりたいことが見つかった際にキャリアチェンジしやすそう&比較的高収入なコンサルティング業界を中心に就活を行っておりました。プログラミングやIT系には苦手意識が強く、入社時からシステム導入系以外の案件を強く希望していたため、事業戦略策定やビジネスPMO等の案件にアサインいただき、日々目の前の仕事に全力を注いでおりました。

転職背景

そんな充実したコンサルライフを楽しんでいる中、転職を検討し始めた背景は大きく3つほどあります。

➀現状に危機感を感じたこと

私は研修後から現在に至るまでの約2年間、各種条件の違いはありつつも、1社のクライアントを担当しておりました。数ヶ月単位でクライアントが
変わる同期も多い中、約2年間同一クライアントを担当するのは珍しい方と認識しております。

長く案件を担当していると、嫌でもクライアント企業の業界知識や案件の進め方などには詳しくなり、しっかりとパフォームし評価されていれば自ずと裁量や責任も増していきます。実際に2年目の終盤頃からはチームリーダーという名目の下、自分より職位が上の中途入社の社員を下につけタスクの棚卸しや資料レビューを行ったり、クライアントの対面に立ち積極的に議論を行ったりするような立ち回りで日々の業務に勤しんでおりました。

自分の知識の広がりや裁量の増加に伴うプレッシャーに喜びややりがいを感じつつも、このままでは、「“単にこの案件を長く担当しているが故にこの案件に詳しい人”になってしまうのではないか?」「この案件がいつか終了した際に他の案件でパフォームできる能力が身についているのか?」という疑念/危機感も生まれ始めていました。この感覚を払拭するためには、案件を変えることは大前提とし、新たな論点に出会い短期間で質の高いアウトプットが求められるような環境に身を置いて、更なる経験を積む必要があると考えました。

そこで、次の案件を探すべく、視野を広げて転職も一案とし今後のキャリアを模索し始めました。

➁新しいことにチャレンジしてみたくなったこと

昨今のChatGPTの台頭やコンサル人材大量採用の風潮がある中でクライアントに買われるためには、クライアントが持ち合わせていない経験や専門性を有し、高いフィーに見合うだけの価値を提供できる必要があると考えています。事業会社にもコンサル出身の方が多く在籍するようになってきており、今後は単価の安いコンサルタントは淘汰されるのだろうなと勝手に想像しております。

また、基本的にマネージャー以上になると営業活動効率化の観点から一定のセクター/インダストリーやコンピテンシー/ソリューションの軸における専門性を有する必要があります。当時の私には何の専門性や武器も無く、特化したい業界等もありませんでした。

そんな時に、研修の合間にプライベートで始めてしまったUSCPAの勉強が一段落し、改めて今後のキャリアを考える契機となりました。
元々、USCPAの勉強は
➀英語と財務にアレルギーが無かったこと
➁資格の名前がかっこよかったこと
➂もりおルーティンに憧れていたこと
を理由に始めたため、転職への活用は全く考えていませんでした。しかし、後々調べてみると監査法人や事業会社の経理など幅広くキャリアチェンジに活用できることを知り、その中でも特にFASに興味を持ちました。

そして、M&Aという一つの専門性や重要な意思決定に関与できる点に魅力を感じ、FAS業界にチャレンジしてみたいという気持ちが芽生えました。

➂環境への不満

社名は控えますが、私は今在籍しているファームが大好きです。様々な経験を積ませてもらい、心から尊敬できる上司にも出会うことができました。しかし、「これがまさにコンフォートゾーンなのでは?」と筋肉に支配された脳みそが問いかけるのです。
新卒で入社し、学生から社会人へと育ててくれた今のファームで給与面や働き方にもある程度満足しており人間関係も良好であるにも関わらず、もっと良い待遇や成長機会が他のファームにはあり、自分は井の中の蛙なのでは?と考えてしまうのです。元々M気質なのもありますが、もっと叩きのめされて、もっと成長して、もっとお金を稼ぎたい、という気持ちは常々持っていました。

数年しか在籍していない今の私にとっては、今の会社で経験できることや得られる能力はまだまだ無限大にあるとは理解しているものの、脳筋思考を発動してしまう今の環境(案件、給与、評価制度、働き方 など)に自分はどこか満足できていないのではないかとモヤモヤしていました。

今はまだ第二新卒でも通用する年次であり、最悪キャリアチェンジに失敗しても出戻りすれば良いだろうという考えもありました。自分が“やったことないこと”に対して“やりたい”と思うことは中々難しく、“やってみなとわからないこと“がほとんどだと思います。モヤモヤしていても何も変わらないので、今後のリカバリーが効きやすい今のうちに好奇心を優先してとりあえず行動してみようと思い立ちました。

上記3点を背景に転職活動を本格的に開始することを決意しました。

応募企業

応募先としては、経営上重要な意思決定に関与できM&Aという専門性を磨けるFASと、タイムリーに第二新卒を募集しており元々漠然とした憧れを抱いていた総合商社に決めました。具体的には以下の5社です。

  • DTFA

  • EYSC(パルテノン)

  • KPMG FAS

  • PwCアドバイザリー

  • 三菱商事

新卒での就活以来の面接だったため練習として他の企業も受けようか迷いましたが、入社する気がない企業を受けても時間の無駄だと考えたため結局上記5社に絞って応募を決意しました。

三菱商事はオープン型採用という部門を固定しない形式でしたが、Big4 FASは部門を固定した上での応募になります。
FASは大きく分けて、以下の7つのサービスラインに分かれています。

  1. Strategy:市場調査/M&A戦略策定/ビジネスデューデリジェンス(BDD)等を手掛ける部門

  2. FA:M&Aの実行フェーズにおいて全体統括/進捗管理/包括的なアドバイザリー業務等を手掛ける部門

  3. FDD:財務デューデリジェンス(FDD)/財務会計観点からのM&Aスキーム検討等を手掛ける部門

  4. Valuation:企業価値評価/監査業務に関連するサポート/PPA等を手掛ける部門

  5. PMI:クロージング後に戦略/組織体制/人事制度/システム等の統合プロセスのサポートを手掛ける部門

  6. Restructuring:BDDやFDD/再生戦略策定/利害関係者や金融機関との交渉等のバリューアップ支援を手掛ける部門

  7. Forensic:不正や不祥事の予防/不正会計調査/インシデント発生時の正常化対応等を手掛ける部門 

応募部門の公開は控えますが、私の場合コンサル経験(たかだか2~3年ですが…)を活かせること、企業の意思決定に関与できること、を重視し応募する部門を検討しました。

三菱商事についてはオープン型採用ということもあり、具体的な部署についてはあまり考えていませんでした。USCPAに合格していたこともあり、前職でのクライアントの業界における管理部研修生とかを目指せたらな…となんとなく考えていました。
(管理部研修生というのは三菱商事で働く友人から聞いた制度であり、私のバックグラウンドやキャリアについて相談した際に勧められたものですが、詳細を理解しないまま今に至ります。。。)

エージェント選定

ここまでは自分と向き合い今後のキャリアを検討し、デスクトップリサーチを通じて業界知識を仕入れてきました。しかし、職務経歴書すら書いたことがない私が内定を勝ち取るには、エージェント協力のもと対策や準備が不可欠です。ここでは、私がどのようにエージェントを選定したか書いていきます。

なお、三菱商事はエージェントを使わなかったため、FASへの応募を前提として記載しております。エージェント選定のステップは以下4ステップで進めました。

➀転職サイト/SNSに登録する

私が利用していた転職サイト/SNSは、ビズリーチ/Liiga/LinkedInの3つです。これらは新卒で入社した時点から登録しておりました。各媒体の登録情報をもとに多くのエージェント/企業からスカウトを頂けたため、こちらからエージェントを探す手間が省けて良かったなと思います。また、Liigaは無料のケース対策講座とかも行ってくれるため、都合が合うときは参加してました。

➁スカウト内容を確認する

入社から数ヶ月経つと、ビズリーチやLiigaではエージェントや企業からスカウトが、LinkedInではつながり申請やメッセージが届くようになりました。スカウト内容を確認し、大手の転職エージェントや企業が少しでも気になる求人を出してきた際は積極的に面談をするようにしておりました。

➂エージェント/企業と面談する

コンサルティング業界は人材の流動性が高く、私自身も一生同じファームに在籍することは考えていなかったため、転職市場の情報収集を兼ねて定期的にエージェントや企業と面談を行っておりました。例としてLinkedIn経由でアプローチいただいたロバートウォルターズの方は私の志向や業務内容を踏まえ定期的に求人を送ってくれていたため、無知の私にとっては非常に勉強になりました(いきなり英語で電話がくるのは怖かったですが…)。

また、USCPAの二科目目を合格した時点でBig4 FASからもスカウトいただき、パートナーとカジュアル面談をした記憶があります。社員との面談は“カジュアル面談”という名目でありながらも、後続の選考を考慮している可能性が高いため、ある程度準備して臨むことを勧めます。私も簡単な企業説明や逆質問の後に現在の業務内容や今後の志向を問われ選考フロー等の説明をされたため、「もう面接始まってるのか…?」と感じたのを覚えています。

他にも様々なエージェントや企業(主にコンサル)の社員と面談を繰り返し転職市場の状況や転職の流れを学びました。

➃面談結果に基づき各エージェントを比較/選定する

転職を決意後、これまで面談してきたエージェントから最適なエージェントを選ぶステップに入ります。選定基準は主に以下です。

  • コンサル特化型エージェントか

  • エージェントがFASで一定のキャリアを積んでいるか

  • 面談での印象が良いか

今回、私は応募企業が決まっていたたため、FASへの転職支援実績があるエージェントを前提としました。コンサル特化型エージェントはコンサルバックグランドを持つ人材の転職支援実績を多く有しているため、企業として一定の選考に係るナレッジや企業とのパイプラインを有していると考えました。実際に後続に記載している選考準備では非常に助けられました。

また、FASで実務経験を積んでいるエージェントの方がファームの内情を熟知しており、情報収集の手段として勤務時代の同僚のつながりを利用していることが多いです。さらに、実務経験を有する人からのアドバイスには説得力があることも選定基準とした理由です。

最後に印象ですが、転職活動は今後のキャリアを左右する割と大きなイベントであるため、しっかりと私の志向に寄り添い全力でポートしてくれるエージェントが必要です。とりあえず求人を沢山送ってきて応募を勧めてくるエージェントもいると聞きますが、そういったエージェントは転職希望者ではなく自分自身の利益最大化のために行動している可能性が高いので避けた方がよいと思います(転職エージェントがどういう人間なのか知るためにFacebookやInstagramでアカウントを特定してた時期もありました笑)。

私が選んだエージェントは企業名を出す前から業務経験やキャリア志向を聞いた上でBig4 FASの求人を提示してきたため、キミに決めた!という感じになりました。実績はもちろん、雑談も面白くプライベートの話で盛り上がったのも一因です。

選考準備

私が行った選考準備は主に
➀書類準備、➁webテスト対策、➂面接対策
に分けられます。

➀書類準備

用意する書類は履歴書と職務経歴書です。
履歴書はこれまでの経歴や個人情報を記載するだけなので簡単に準備可能かと思います。一方、職務経歴書はこれまでの業務内容や職務経験を詳細に記載する必要があります。

私の場合は社会人3年目ということで研修後からの業務経験を割と覚えていたため経験の棚卸は楽に進みましたが、定期的に振り返りを行わないと業務の詳細を思い出すのは割と大変なのではと思いました。

また、書類のフォーマットは規定がなく種類もいくつかあります。コンサル出身の方はプロジェクト単位で職務経験を記載する場合がほとんどだと思いますので、エージェント経由でコンサル出身者向けのフォーマットを入手し記載するのが良いと思います。自力でドラフトを作成の上、最終的にはエージェントにレビューを頂きブラッシュアップしていきます。

➁Webテスト対策

次にWebテスト対策です。Webテストが課されるかは応募する部門や職務経験に依存すると思われます。私の場合は1社でWebテストを課され、種類は玉手箱/GAB(計数(図表の読み取り)/言語(論理的読解)/性格)でした。特に対策は行いませんでしたが、不安な方は市販の対策本で対策するのをお勧めします。

➂面接対策

最後に面接対策です。こちらは書類の応募が完了してからエージェントの協力のもとに取り組みました。対策内容は主に回答案の作成とケース面接の準備です。

まず、回答案の作成はエージェントから頂いた面接対策資料に基づいて回答ドラフトを作成し、エージェントにレビューを依頼しました。レビューと修正を数回繰り返し、ドラフトを最終化しました。その後は、回答案を適切な口語表現で話す練習を一人で行いました。

次にケース面接の対策ですが、ケース面接の有無や種類は応募する企業や応募者のバックグラウンドによって異なるため事前に情報収集することをお勧めします。私の場合はケースが課される可能性があったため、市販の書籍や各ファームのレポート/記事をもとに対策を行いました。書籍は有名な「東大生が書いたシリーズ」と「戦略コンサルティングファームの面接試験」を一読しました。私の場合、コンサルで課されがちなフェルミ推定やケース面接は新卒時に書籍や専門講座を通じて対策済であったため一読で済ませましたが未経験の場合は自分で手を動かして問題を解いてみるのも良いかと思います。また、M&Aの流れなどの基礎知識や最近気になったディールについてもある程度話せるよう、おすすめ本をググって数冊読んだり、事例を調べたりしました。

各社のレポート/記事ですが、これは応募する部門の業務理解を深めることを目的としています(関連ケースが出題された際にも役立ちます)。
例として、ググって出てきた記事をはっつけておきます(適当)。
■DTFA
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/mergers-and-acquisitions/articles/basic-ma.html
■PwC
https://www.pwc.com/jp/ja/japan-knowledge/pwcs-view/pdf/pwcs-view201701-01.pdf

選考結果

上記対策の後、各社3回以上面接を行いBig4 FAS全社の内定をGETできました。内定後の面接官からのフィードバックと個人的な仮説に基づくと以下の要因が大きいと思います。

  • コンサルティングファームでの実務経験があること
    (PPT/Excelのショートカットやチャート作成のお作法、議事録作成等の基本動作が身についている)

  • 現職で一定の評価/実績を得られていること

  • USCPA取得による向上心/知的好奇心/自己管理能力の裏付け

  • 若さプレミアム(ポテンシャル採用)

  • ファームの人手不足 等

若手であればM&A未経験であってもポテンシャルさえ評価されればチャンスは多分にあると感じたので、挑戦する価値はあると思います。

次項からは私が面接に向けて準備した回答案の項目、ケース例題(7問)、転職時年収/オファー額、各社の印象(20名以上との面談/面接を経て得た情報/分析結果)、を独断と偏見に基づき記載しております。一部社名や部門は伏せており、内容の正当性を保証するものでもありませんが、気になる方はご購入下さい。
Big4 FASへの転職をご検討されている方には(選考対策、逆質問のネタ、ファーム選びの軸 等の)参考情報として資するかと思いますが、あまり拡散性を持たせたくないため少し高めの価格設定とさせていただきます。m(_ _)m

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