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モダニズム建築を巡る【バルセロナ3】

2回目のバルセロナ

「死ぬまでにやりたいリスト」に「海外で、世界中の人々とゾーンに入って踊り明かす」というというものがあって、今回は主に、それを達成しに行った旅だった。

キゾンバやズークフェスティバルの合間の日々、そして夜のタンゴミロンガ(パーティー)が開かれる前をぬって、私は深く靴ずれして化膿してしまった小指を引きずり、二度目のバルセロナ観光を続けた。

周りから見たらとても滑稽だったかもしれないけれど、私は化膿した指をもつ足でも、その歩みを止めることが出来なかった。
それだけこのバルセロナは、各所に見所があり過ぎた……!

モダニズム建築巡りも、バルセロナでは必須だった。
学生時代、現地の友人に連れられてガウディ建築の代表作は、大体見ることが出来た。
お互い写真を撮るのも撮られるのも大好きだったから、そんな彼と時に奇抜で時に美しい場所で、モデルポーズを楽しむことがメインになっていたような気もするが……。

月日が経ち、今はドイツで働いているその友人に応援され、社会人になって訪れた、2回目のバルセロナ。
懐かしいと感じる光景もあれば、全く初めてのように感じる所もあった。

ガウティ建築はもちろん、今回は彼のライバルとも言われていたモダニズム建築家、モンタネールや、ガウディ建築の「カサ・バトリョ」の隣にある「カサ・アマトリエール」が有名な建築家、プッチの建築も巡ることが出来た。

この分野においては、残念な程に表現するボキャブラリーが出て来ないのが悔しいけれど、写真を中心に、巡った記録を残しておこうと思う。

カタルーニャ音楽堂ーモンタネール

ゴシック地区を代表する「カテドラル」から結構近い場所に、モンタネールの代表作「カタルーニャ音楽堂」は見ることができる。

音楽堂=コンサートホールは、「ホール」が主要な場所なのに、このモンタネールの手にかかると、ホールに繋がる階段から既に主役級の存在感で、バレエの舞台などとして活躍できそうだ。

丸みを帯びた装飾が、いかにもヨーロッパ全体で流行ったその時代ーモデルニスモーを感じさせてくれる。

細部までこだわりを見せる、階段の一段一段も必見だろう。

カラフルな光に見守られている、天国のようなホール

照明が、アール・ヌーボー建築と共通している気がした。彫刻ではベートーヴェンやワーグナーの楽劇の馬も描かれ、音楽の世界で欠かせない巨匠、そしてドイツへのリスペクトも感じさせる

天井には、たくさんの花、花、花……!さすが、モンタネールが「花の建築家」と言われた理由が分かる。

後部座席からの配置も、抜かりないこだわり……!

左右座席の箇所は、たくさんの美しい光が私達を照らしてくれる。歴代の名だたる音楽家へのリスペクトを示したかったのか、Bach,Beethoven,Chopinなどの作曲家の名前が彫られてあった。

階段からホールへと入る、まさにその時……思わず「ワォ……!」と声が出てしまいそうになるだろう。

休憩時の社交場は、数々のスペイン人の音楽家の彫刻を発見。チェリストのカザルスや

ピアニストのアリシア・デ・ラローチェ。同じ時代を生きていないからしょうがないものの、彼らの演奏を、聴いてみたかった……

休憩時の社交場になるバルコニーの柱。同じ模様が、一つたりともない。だからと言って、目がチカチカする訳でもない。どうやって、これらのバランスを計算しているのだろう……!

コンサートの余韻に浸って、カフェやご飯を食べることも出来るよう。3回目の訪問では、フラメンコの演奏や舞踊を楽しんだあと、ここで思う存分、余韻を味わおうと思う。

カサ・リェオ・モレラーモンタネール

広々としていて明るいグラシア通りは、ランブラス通りから続いていて楽しく歩ける大通りだが、この通りもモダニズム建築でいっぱいだ。

一階にLoewe(ロエベ)が入っているカサ・リェオ・モレラは、こちらも同じモンタネール設計の建物。

店内でも、モンターネールを代表する優美な花の装飾を、各所で見ることが出来る。

建物を花で溢れさせた「花の建築家」モンタネールが作った建築物は、他にも「サン・パウ病院」や「ホテル カサ フステル」がある。
このお花で満ちた明るい建築に魅了され、3度目の訪問では、「ホテル カサ フステル」に泊まろうかとも思えて来る。
サン・パウ病院も今回は時間切れで行けなかったから、次回……。

3回目も、やりたいこと、行きたい所満載のバルセロナになりそうだ!

クワトロ・ガッツープッチ

もし私のバルセロナ記事「風の影ゆかりの地を巡る」と「若きピカソの足跡を巡る」と読んで下さっている方がここを読むと、そろそろこんな言葉が聞こえて来そうだ。

「またクワトロ・ガッツ?どんだけ好きなの?」
3回も同じ建物について書くなんてくど過ぎるのは、分かっている。
だから、ここはプッチが初めて建てたレストラン・カフェだということだけ触れておこう。

窓際の装飾も、ガウディともモンタネールとも違う個性を出している。

カサ・アマトリエーループッチ

最初の建築物は「クワトロ・ガッツ」だったプッチの代表作の一つが、こちら。
広々としていて明るいグラシア通りにはモダニズム建築がいっぱいだということは、カサ・リェオ・モレラの所で書いた通りだ。

特にプッチ作『カサ・アマトリエール』とガウディ作『カサ・バトリョ』が隣同士で並んでいる所は特に華やかで、いつの時間に行っても人だかりが出来ていた。
2つ共行ってみるつもりが、時間切れでカサ・バトリョは訪れられなかったから、これまた次回の訪問の課題が出来た。その分カサ・アマトリエールは、じっくり見て回る時間に恵まれた。

インテリアの一つ一つも、博物館で飾られていそうなものばかりだ。

そして、グエル邸やカタルーニャ音楽堂でも見れたように、ステンドグラスと光の共演が、このアマトリエール邸でも印象的だった。

モンタネールは、お花が散りばめられる設計が印象的だったが、プッチはクワトロ・ガッツでもこのアマトリエール邸でも、カラフルなドット柄が目立った。

美しくボリュームたっぷりの邸宅を観光後は、ショコラティエのショップに辿り着く。

このチョコレートのパッケージを描いたのは、アマトリエールから支援を受けていた、チェコのミュシャだった。
「どうしてチェコ人がスペインのチョコのパッケージを……?」
そう店員さんに聞くと、
「アマトリエールがミュシャをサポートしていたんです。だから、このデザインもミュシャにお願いしたようです」
ということ。Win-Winが、昔からこうして起きていた。

大好きなミュシャのデザインがここスペインでも見れたのは、嬉しい驚きだった。
このパッケージが欲しくて、試食した中でも特に美味しかったシャンパンが中に入ったチョコレートを購入。
大人気で、帰国後数日でなくなってしまった。

建物内のカフェでも、このショップで売られているホットチョコレートを飲むことが出来る。

『風の影ゆかりの地を巡る』の記事で書いた通り、ここのチョコレートはある程度の甘さも存在感もあり、それでいて異常にベタつく感もなく、程よくお腹と脳も満たせてとても美味しかった。
今回の旅のホットチョコレート部門第一位はそういう訳で、ここカフェ アマトリエールのホットチョコレートになった。

サンタ・カタリーナ広場ーミラーレス

時代が少し進み、ミラーレスは旧市街にこんなカラフルな市場を建設。

残念ながらシエスタの時間と重なってしまったから、もう一度再訪したい。
待ち合わせ場所に出来るほど、歴史的な建物の中で異彩を放っていた。

モダニズム建築が各所にある、バルセロナ

「この建物を見よう!」
と意気込まずして、なんとなく散歩していても、ふとモダニズム建築に出会えてしまうのも、バルセロナの素晴らしい所だと思う。

例えばタンゴのミロンガ(パーティー)会場を確認しておこうと散歩していたら、会場のすぐ近くにこんなオシャレな建築が……!

このようなことが数日で何度も起こり、私の小指が化膿した足は、引きずってでも止まらなかったという訳だ。

3回目の訪問では更に万全な状態で、今回見られなかったモダニズム建築を中心に、散歩でも穴場もモダニズム建築をたくさん見つけてみたい。

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