長男の『脳波異常』が分かった日のこと。

この話を書くか書くまいか。しばらく悩んでいたのだけれども、同じようなことに悩む誰かの助けになるかもしれないので、少し書いてみようと思う。

長男は小さな頃から、いわゆる『感が強い』子だった。関東では『癇癪持ち』と言うのだろうか。
妻の母から「この子は感が強いなあ。(妻と)同じやわ。(妻にも)飲ませてたから(同じように)飲ませてみたら?」と、『樋屋奇応丸』(関西ではめちゃくちゃ有名らしい)が定期的に送られてきたりもした。

小学生になった今でもあまり落ち着く気配はなく、学校や学童などで友達とトラブルになることが多々ある。
主な困り事としては、
・ちょっとのことですぐに腹を立てる
・我慢ができずに手が出てしまう
・興奮すると(特に、怒りの感情を持つと)人の話が耳に入らない
・空気が読めない発言が多い(周りから引かれるようなことを平気で言う)
・集中力がなく何かに手をつけてもすぐに他の事をし始める
・かと思えば、好きなことには過集中してしまう
・興味のないことはたった1分前に言われたことも頭に残っていない
といったことが挙げられる。

頻繁に学校や学童から呼び出しを受け有給を費消していた妻はとうとう限界を迎え、「絶対なんかおかしいわ。脳に問題ある気がする。1回診て貰った方が本人のためにもいいはず!」と、小学生でも診てくれる心療内科を探してきた。
最初は「子どもなんてそんなもの。そのうち落ち着くから」と言っていた私だったが、妻の言うことにも一理あるかと、同行することにした。

まずは本人が臨床心理士と1対1で会話し、次に親が臨床心理士と話したのだが、「知的レベルは問題なく理解力もある。自分がなぜここに連れて来られているのか、両親が何を心配しているのか、それは自分のどのような言動に起因しているのか、全て分かっている」と言われ、もっと深く調べるために脳波の診断を勧められた。日本ではまだあまり導入されていない最先端の測定器にて短時間かつ安全に脳の状態を確認できるとのことだったので、試すことにした(ちなみに保険外診療のため2万円弱ほど必要となる)。
15分ほどで終了し、その後、結果をもとに親子で医師との面談へという流れだ。全身から優しそうな雰囲気を漂わせる医師から告げられたのは、「脳波が、いわゆる普通の人とは少し違った形で出ています」というものだった。

検査は、与えられた簡単な課題をこなす時に脳の血流がどのように流れるかを測定するもので、いわゆる普通の人たちは『課題前(=通常時)は脳に血流はほぼなく、課題を与えられた瞬間に大量に流れ、課題が終了すると瞬時に血流が少なくなる』が、長男の場合『課題前から脳に血流が多く流れ、課題を与えられても血流は増えず、しばらく経ってから増え始め、課題が終了してもまだ盛んに血流が見られる』という結果が出ていた。
すなわち、普通の人は『脳が疲れないよう、不要な情報を無意識にシャットアウト』しているが、彼は『脳が常に外部刺激に反応しており、自身にとって不要な情報も、必要な情報と同程度に受け取ってしまう』『大量の情報にさらされているため非常にストレスフルな状態(ちょっと触れただけでも不快な刺激として、しかも下手したら我々の100倍などの大きさで刺激を受け取っている可能性が高い)』らしい。
医師いわく「こういった特徴を持つ脳なので、毎日かなり疲れると思いますよ」「ストレスに弱いわけではないけれど、普通の人よりストレスの総量がかなり大きいので簡単にコップが溢れてしまうわけです」「興奮するとなかなかおさまらないのは、脳が刺激を受け過ぎてオーバーヒートしているから」とのことだった。

妻には思い当たることが多々あるようで、例えば『学童で夏休みの昼寝(休息)時間に背中をさすってくれる職員の手を嫌がり振り払っていた』ことや『ちょっと友達の肘が当たっただけで「わざとやった!」と怒り殴りかかってしまう』こと、『宿題を1分したと思ったらもう漫画を読み始める』ことや、『大好きな読書中には「もう時間だよ!」と大声で言われ体を揺さぶられても気づかない』ことなど、気にしていた困り事と診断結果が見事にリンクしていた。
思えば1歳頃、大泣きした後に1分間ほど意識を失うということを繰り返していた時期があったが、あれも脳がオーバーヒートし強制終了させられた状態だったのだろう。

とは言え、すぐに治療が必要なほどではないので、しばらく様子を見ながら長男特有の脳の特徴と向き合うことになった。また、心が成熟するとともに今より落ち着いてくる可能性も高いらしい。
妻は原因が判明し安心した様子で、本人も自身の特徴を理解し「僕はほかの人とは違うんだね。でも、病気じゃなくてそういう脳の構造なだけだから良かったよ」と、スッキリしたようだった(本人なりに、自分が何か精神的な疾患を抱えているのかもしれないと、少ないながらも不安を感じていたようだった。子どもは大人の想像以上に色々なことを理解している)。

今後もまだしばらくトラブルは続くだろうが、無駄に焦ることなく、過大に案ずることなく、彼の成長を信じ見守っていこうと思う。

#個性  #特徴


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?