エンタメマーケティング10 CMと音楽

CMと音楽が密接な関係にあるのは読者の皆さんもご存じだろう。

CMからヒット曲が生まれることは、音楽にお金を使わなくなったと言われて久しい現在でも続いている。反対に、音楽の評判が良かったことで売行が伸びるケースもある。

私が最近耳にして気になったCMを例にあげて話していこう。

花王の柔軟剤「ハミングファイン」のCMである。CM曲は2012年にヒットした「カーリー・レイ・ジェプセン」の「コール・ミー・メイビー」だ。

ターゲットはイメージキャラクターに吉田羊を起用していることや、過去のCMから見て30前後の仕事も家事も頑張る女性といったところだろうか。

ヒット曲の起用という事で耳に留まりやすいという利点がある。実際このCMは曲のボリュームを故意にあげて音がかなり響く。つまり曲のイメージと画面の爽やかさで訴える「イメージ訴求CM」であると言える。

しかし、本当にこれで良いのだろうか。視聴者、消費者という立場でこのCMを見てみよう。

まず、この「コール・ミー・メイビー」を選んだことによる効果である。先ほども記述したとおり、ヒット曲の起用で耳に留まりやすく、口ずさみやすい、思い出しやすいという効果がある。それで商品のことを思い出して貰えれば効果は抜群である。

しかし、2012年にヒットした曲であるこれは。現在が2016年なので丸3年間聞かれた音楽ということになる。

つまり、この3年間に「思い出」が出来ているのだ。

それは恋にウキウキした思い出かもしれない、MVのとおり思わぬ失恋をしたかもしれない、嫌いな女のカラオケのもち歌だったかもしれない。

新曲と異なり、既存曲というのは製作側のコントロールできない個人の思いを持っているのだ。それがもちろん良く働く場合もある。

ファミリー向けの車のCMにプリンセスプリンセスの「Diamonds」が流れるのは良い例だろう。既婚者で、現在の幸せにそれなりの満足を得ている、その象徴であるファミリーカーのCMに青春の詰まった曲が使われる。今のパートナーか、別の誰かと、もう過去の思い出として整理するには十分な時間が経過しているだろう。

しかし、今回の商品のターゲットはCMから、汗や匂いを抑える効果から活発な30前後の女性をターゲットにした印象をうける。この世代にとって、3〜4年前の曲はどんな曲かを考えてみてほしい。

社会人生活も十分に慣れ「一年が過ぎるのが早いな」と思い始め、去年のことか一昨年のことか判別つかなくなり始める最初の時期が20代後半。それから3〜4年たったのが今回のターゲットと推測される年代の女性達だ。彼女達は最近やっと時が過ぎる感覚の変化に慣れ始めた頃であり、3〜4年前は最近の出来事と認識し始めたばかりの年齢である。

まだこの曲の「思い出」は綺麗な思い出として昇華されていない、言わば消化途中の思い出を含んでいると言える。

あえて最新ではない曲を選ぶことで得られる「既視感ならぬ既聴感」や「思い出の有効活用」ができていないと、思ってしまう。しかし、耳に留まりやすいCMでのボリューム調整だったため「改めてコールミーメイビーはいい曲だな」と思う効果はあっただろう。今回のCMで聞いたことによってDLした、ストリーミングで聞いたという人はいるだろう。

どんな商品に、どんなCMに、どんな曲がどんなアーティストが合うか。

これはきっとCM製作会社の方々が頭を悩ませているところだろう。そしてアーティストを売り出したい側の方達も。

新曲以外を使う場合は、先にも記したように「製作側がコントロールできない感情がある」という事を留意して、それでもあえて使うのは勿論悪くない。今回のCMもたまたま耳につきやすいので例としてあげただけで、凄く悪いというわけではない。

しかし、新曲以外を使う場合は思い出の有効活用を是非していきたいと思う。

例えば現在の30前後をターゲットにしたCMで「思い出が有効活用」された例としてはアサヒフードアンドヘルスケアの「キレイな間食」で神田沙也加が泣きそうになりながら「美少女戦士セーラームーン」のエンディングテーマ「乙女のポリシー」を呟くように歌うCMだ。商品自体の売行はともかく、あのセーラームーンというアニメの魔法にかかっていたリアルな世代の神田沙也加が、改めてあの歌詞を噛みしめるように歌うというのは、同じ世代の女性にはグッとくるものがあっただろう。

では新曲ではどんなアーティストのどんな曲がいいか。

先にあげたように既存の曲は耳馴染みがあるため注目を集める効果がある。これが弱いのが新曲である。これをカバーするのは歌手の声、曲調の目新しさだったりする。

そんなきっかけで売れたのは「moumoon」ではないだろうか。日焼け止めのCMに「Sunshine Girl」が起用され、大ヒット。商品自体も毎年発売される定番商品だったが、その年の売行は良かったと記憶している。

今、このような効果がある歌手として、筆者がオススメしたいアーティストを二人紹介しておこう。

一人は「関取花」西日本の人間は知っている人も多いだろう。毎年強烈なインパクトのCMを作ってくる「神戸女子大学」の2012年に「むすめ」で起用されたシンガーソングライターだ。もうこればかりは「是非見てくれ」としかいえない強烈なCMがあるので、そちらを参照してほしい。

http://youtu.be/WUJb8cbY-i8

もう一人は「吉澤嘉代子」というシンガーソングライターだ。

キャッチーで耳障りの良い曲と声に、信じられないような突拍子もない歌詞を書く注目のアーティストだ。少女だったことのある女性ならグッとくる、そうじゃなかった人でも耳を傾けてしまう彼女の曲は、ターゲットを絞りやすく、女性向けファッション施設や、菓子類のCMにはもってこいだろ。

http://youtu.be/ncePT1ZJemc

http://youtu.be/Aao5aYvHMR8

客観的で視聴者目線、お客様目線のターゲティングとそれをマーケティングに活用した商品や広告、そして音楽が上手くマッチングすれば、音楽も、商品も売れるだろう。


#音楽 #CM #吉澤嘉代子 #関取花 #曲 #広告 #MUSIC #エンターテイメント #マーケティング

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?