見出し画像

候補者や政党はどうやって選べばいい?はじめての選挙ガイド~選び方編~

「投票する候補者や政党をどうやって選べばいいか分からない」
「自分が関心を持てるテーマを見つけるにはどうしたらいいの?」
遅くとも2021年にはおこなわれる衆議院選挙に向けて、そんな素朴な疑問を高校生を対象とした主権者教育に取り組む古野香織さんに解説してもらいました!

はじめての選挙ガイド~選び方編~

そもそも、衆議院選挙 って何?

ーーまずはじめに、衆議院選挙とはどのような選挙なのでしょうか?

国会に衆議院と参議院というのがあって、衆議院選挙は衆議院の方の議員さんを選ぶ選挙になります。基本的に衆議院議員の任期は4年に1回おこなわれるんですが、衆議院には『解散』という制度があるので、任期中でも解散が宣言されたら全員が一気に議員ではなくなるんです。
全議員を選びなおす選挙だから『総選挙』と呼ばれています。

ーー前回の総選挙が2017年10月におこなわれたので、どんなに遅くても2021年には次回の総選挙がおこなわれるということですね。

そうですね。今はコロナウイルスの影響や安倍元首相の退任、11月のアメリカ大統領選などさまざまな状況を考慮して、解散するかしないか、する場合のタイミングなどを検討している段階だと思います。


個人を選ぶ「小選挙区」と政党を選ぶ「比例代表」

ーー総選挙の特徴って他にどんなことがありますか?

個人を選ぶ小選挙区制と、政党を選ぶ比例代表制という2種類の選び方があることです。だから、総選挙では投票用紙が2枚もらえます。

まず、小選挙区制とは、全国を295の選挙区に分割して、選挙区ごとに1名を選ぶ方法です衆議院選挙の議員定数は475名なので、ほとんどの議員は小選挙区制で選ばれます。
自分がどの選挙区の候補者に投票するかは住民票の住所によって決まるので、小選挙区はご近所の代表者を1人選ぶみたいなイメージです。

それに対して、比例代表制は政党を選びます。各政党はあらかじめ当選させたい候補者を順位付けしたリストを用意し、比例代表で獲得した票数に応じて、リストの上から順に当選させていきます。人気がある政党ほど、たくさんの人が当選できます。


まずは自分なりの基準を持ってみよう

ーー初めての選挙では、どのような基準で投票先を選べばいいですか?

絶対この基準で選んだらいいよ、ということは無いので難しいですね(笑)。
ただ、基本的には今の政権を支持するか、しないかだと思います。仮に、いま総選挙があったときで言うと、これまで安倍政権がおこなってきたことを、外交や財政、教育、コロナ対策などさまざまな観点から振り返ってみて、「満足してる」と思っていたのか、「これじゃあ足りないな」と思っていたのか。それが一つの評価指標ですね。
一つ一つを考えるのは難しいと思うので、まずは自分が興味を持ったところから評価すればいいのかなと思います。

例えば、国会議員に若い人が少ないとか。実は30代の議員は全体の6%程度しかいなくて全体的に若い人の声が足りていないことは常に問題視されています。それを考慮して、より若い候補者に投票する、というのも一つの基準です。

他にも、女性活躍の面から考えると、衆議院の女性比率は10%くらい。日本に住む人の半分は女性なのに、国会ではその比率が反映されていない。もっと女性活躍を進めたいから女性が活躍できるような政策に積極的な候補者に投票する、というのも考えられますね。
世界的に見ても、日本の政治では若い世代や女性のリーダーが圧倒的に少ないということは以前から問題視されているので、そういった選び方は基準になるんじゃないかと思います。


ハッシュタグは、政党や候補者を知れる方法の一つ

ーー各政党がどんな活動をしているのかという情報はどこで集めるのがおすすめですか?

政党のSNSアカウントをフォローしてみるのをおすすめします! どこの政党の広報もSNSに力を入れているので、TwitterやInstagram、Facebook、LINEなど、主要なSNSアカウントはすべて持ってます。
私の場合は、それに加えて新聞社のLINEアカウントを友達追加してニュースを読んでいますね。LINEだと2、3スクロールくらいで読めてしまうほど文量が少ないので、入門にはお手軽だと思います。

あとは、Twitterのハッシュタグのトレンドを追うのもおすすめです。トレンドに上がる政治系のハッシュタグは、そこからTwitterデモにまで繋がることもあるんです。最近だと、『#9月入学』 や、『#大学生の日常も大事』だ ってハッシュタグがすごくTwitterのトレンドで上がってきて。そういったメッセージって当事者たちにとって切実な問題だから。じゃあ、それについてみんなでTwitterでデモをやろう!と盛り上がったんですよね。

SNSで政治的な話題が盛り上がった時って、政党や候補者の方も結構チェックしているので、そのハッシュタグの内容について、情報を発信したり「これをやります」と宣言したりしている政治家をフォローするっていうのは結構大事です。SNSを上手く使っている政治家っていうのは、最近はすごい時流を制するようになりましたよね。

また、むしろ自分がトレンドを作っていくのも大事だなと思います。自分にしか気づけない違和感って絶対あるから、声を上げてみたら以外と反響が大きかったり、バズってトレンドに上がってきたり。そうすると、大企業とか議員とかも考えざるをえない。話題に乗ることによって、彼らの好感度がアップしたり、注目を集めるような流れになっていくんです。
現に、高校生たちが発信した「9月入学」というワードがSNSのトレンドに上がったことによって、東京都の小池知事や大阪の吉村知事をはじめ多くの政治家がコメントをして、4月下旬には文部科学大臣も「一つの選択肢として検討している」と言及することになりました。

政党の公約や政策を見て興味を持てないこともあると思うんですけど、それはたぶん当然なんです。その人たちの支持者のためにやっているわけだから。それって必ずしも自分の関心があることと合致するわけじゃないと思うんですよね。
だから、自分が興味があるトピックに目を向けさせて、それに取り組むことが政治家にとって得だと思わせる力が必要なのかなと思います。気になることをツイートするだけでも、そこから始まることもあるというか。そういうスタートでもいいかなと思いましたね。


SNSアカウントで政党の雰囲気を知ろう

ーー+αで知っておくと役立つ情報ってありますか?

意外とおすすめなのは「その政党や候補者をどんな人たちが支持しているか」をチェックすることですね。政党名でSNSを検索すると「〇〇党応援」のようにプロフィールに書いている人がいるので、その人のタイムラインを見てみるとか。裏の手みたいですけどね(笑)。

あとは、主要政党だと政党の学生部のアカウントの情報を追うのも良いと思います。学生部には、将来的にその党から出馬したい若者もいれば、なんとなく政治のことを勉強したいくらいのゆるい繋がりもあって。比較的、皆さんと近い年齢層の方が活動をしているので、SNSの発信を見たり、学生部主催のイベントに参加するのも結構面白いんですと思います。党によって雰囲気も異なるので、その雰囲気に共感できるかで政党を選ぶ、というのも良いのかなと。


家族や友達と話して自分の関心テーマを見つけよう

ーー自分が触れた情報に偏りがないかチェックする方法はありますか?

私もそこはすごく難しいなと思います。SNSで面白いと思った人の発信を追っていくと、一見世界が広がっているように見えても、実はすごく閉ざされた世界だったりしますからね。特定の人たちには支持されているけど、別の人たちからはどう見られてるのかという視点は重要です。

そういった偏りから脱するための方法の一つは、オンラインとオフラインのハイブリッドだと思います。私もSNSなどオンラインで情報を集めて、自分はこの人を支持するなと思っても、それをお母さんに話してみると意見が違ったり、友達に「今、こういうことが起きてるよね」と話しても、「え、知らなかった」と驚かれることもありました。
これが意外と大事で、自分が見ている情報や考えを、一歩外に出て確認するというのは、リアルな場があるからこそできると思うんです。自分が興味があるトピックを相手は知らなかったから、実は私興味あったんだ! って気づけたりするんですよね。


まとめ

次回はいよいよ投票当日編!知って役立つ投票所の歩き方を解説します。

▼はじめての選挙ガイド~投票編~は、こちらから!