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ch FILES×学校総選挙 「SKY-HIさんとSNSの誹謗中傷問題を考えるオンライン会議」

Tポイントの社会貢献プロジェクト「学校総選挙」とch FILES が主催した「SKY-HIさんとSNSの誹謗中傷問題を考えるオンライン会議」。「インターネット・SNSの誹謗中傷の厳罰化に賛成?反対?」をテーマにした第3回オンライン投票には約7000人が参加。投票に参加した方の中から100名をご招待して、ゲスト・SKY-HIさんとともに行った会議の様子をお届けします。


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■chapter01 投票結果とこのテーマの問題点

…まずは学校総選挙の吉田さんから、今回の投票結果と問題点についてお話しいただきます。

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吉田(学校総選挙プロジェクト) インターネット・SNSの匿名での誹謗中傷の被害は今とても深刻な問題になっています。国は、被害に遭った方がツイッター社などSNSを運営するプロバイダ企業に対して情報開示を求める権利を認めていますが、プロバイダ側も個人情報を守っているので、情報開示は簡単ではなく、拒否されると、裁判を起こし、まず誰が書いたのか特定するところから始めなければいけません。それにかかる期間が3ヶ月〜1年、弁護士費用も60〜70万円と、被害に遭った人の負担になっていました。
そこで、なるべく早く裁判を起こせるように手続きを簡単にする動きはすでに起こっていますが、現状日本では、誹謗中傷した人を直接裁く法律がありません。そこで被害を未然に防ぐための厳罰化という選択肢に対してどう考えるか、10〜29歳まで約7000人の方に投票してもらいました。

結果は、約85%の方が賛成、約13%の方が反対でした。ただ、どちらかを選んだものの、「不安がある」という方が75%以上いて、難しい問題だな、というのが印象的でした。でした。

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…皆さんの意見を聞かせていただけますか? まずは賛成派の方、いかがですか?

たける 僕は厳罰化に賛成です。誹謗中傷を受けて自殺をしてしまった人や、見えない相手からの攻撃で人間不信になってしまう人もいると思います。もしかしたら仲の良い友だちが言っている可能性だってあるし。ひとりの人生を変えてしまいかねない問題なので、抑止力として法律で押さえておくことが大事なのかなと思います。

りこ 私は法律にすることで、誹謗中傷がいけないことなんだ、という認識が強まったらいいかなと思います。

…反対派の方の意見はいかがですか?

りおこ 罰則が重いから誹謗中傷をしない、というのは根本的な解決になっていないと思いました。

いっちー 僕は何が誹謗中傷に当たるのかは定義できないから、法律にするのは反対です。

なな 私もコメントを書かれた人がどう捉えるかによって誹謗中傷かどうかは変わってきて、正しいことを言っていても誹謗中傷をしたことになる可能性もあると思うので、反対です。

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■chapter02 誹謗中傷に対するSKY-HIさんの考え

…SKY-HIさんは今のSNSの誹謗中傷の現状をどう見られていますか?

SKY-HI 惨憺たるものだと思います。インターネットを通したコミュニケーションが発展すればするほどフィジカルでのコミュニケーションが減り、自尊心や自己肯定感を持つことが難しい時代になっているなと思っています。自分を労われなくなった時に人に攻撃的になってしまうというのは実際にあることなので、その攻撃が誰かに向かって、被害に逢う人が増えてきてしまっているんだと思います。

…アーティストという立場上、誹謗中傷を受けやすいと思うのですが、実際に受けられた時の気持ちなどを教えていただけますか?

SKY-HI すごく傷つきますね。心身ともに健康で、仕事もプライベートもうまくいっているとあまり気にならないということもあるんです。でも見るタイミングによっては、言った人にとっては何でもない一言でも、今この瞬間に窓を開けて飛び降りたらどうなるだろうと考えてしまうこともある。僕もそんな気持ちになったことは一度や二度ではないです。人によっては毎日届いてしまう人もいると思うので、そういう種を減らすということは、絶対に必要なことだと思います。

…ご自身の中で、対処のルールなどは作っておられますか?

SKY-HI 以前は、アーティストも一人の人間として、自分が嫌だと思うことは嫌だと言う姿勢でいたのですが、最近はインターネットやSNSとの付き合い方が変わり、SNSに時間や精神を注ぐことがもったいないと思うようになって、結構ドライにスクリーンショットだけ撮って、いつでも訴えられる準備だけしています。

…おぉ! でも大事ですよね、それ!

SKY-HI いつでも訴えられる、という保険を持っておくことが自分の安定にもなったかなと思います。

…『#Homesession』の曲の中で「否定は何も生まない 批判は社会を育てる」という歌詞がありましたが、「否定」と「批判」、「誹謗中傷」の違いをどう捉えておられますか?

SKY-HI「否定」はNOと突きつけることで、「批判」はMORE BETTERを突きつけること。もっと改善できることがあると思います、と伝えるのが批判の前提だと思います。憲法でも野党の仕事に「批判」というのが入っているくらいで、改善のための意見を出すことと否定は、大きく違うと思います。「誹謗中傷」は人格否定。否定と隣り合わせにあるけど、容姿や生まれ育ちなど、本人がどうしようもないことも含めて、その人が持っている要素を否定すること。ただ、批判する時って、感情的になってしまう時も多いので、そこは難しいなと思うところもあります。

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…BMSGのアーティストさんやスタッフさんともSNSの対策の話はされていますか?

SKY-HI 現段階では、アーティストのアカウントにスタッフが入れるようにして、プロモーションのアカウントとして使いつつ、本人が離れようと思えば離れられる環境を作っています。アーティストとしては、SNSを離れるとプロモーションにも影響が出てしまうのではないかと恐れてしまうことが多いので、離れても動かすことはできるから大丈夫だよ、という逃げ道を作ってあげることが一つ。新しいアーティストの場合、個人アカウントは本人たちと話した上で、開設しない方向で考えています。
でも例えばNovel Coreは自分で画像や動画を作るようなインターネットネイティブ。そんなアーティストからSNSを切り離すのは“Be My Self”という理念から逸れるなと思うので、顔色が悪いなと思えば声をかけるようにしています。インターネットでのコミュニケーションが中心になるのは明らかに非健康的なので。今後アーティストの数が増えてきたら、みんなで考えようとは思っています。

…では今回の投票テーマについて、SKY-HIさんのご意見はいかがですか?

SKY-HI 僕は厳罰化には賛成です。今ある名誉毀損罪や侮辱罪って、おそらく相当前に施行された法律だと思うんです。面と向かって侮辱的なことを言ったり、街宣で名誉毀損的なことをしたり、貼り紙をしたり、不幸の手紙を送ったり…そういったものを取り締まるための法律だったと思うんですが、インターネットやSNSにより時代は大きく変わり、誰でも侮辱でき、世界中に広められるようになりました。法律が今の時代に合っているとは思えないというのが僕の考えです。だから厳罰化されることで、みんなが「これはヤバいことだよね」と認識を改めるところから始める必要があるかなと思います。

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…誹謗中傷を法として取り締まる前に何か私たちにできることはあると思われますか?

SKY-HI ツイッターやインスタグラムなど、民営として罰則を厳しくするということはできるのかな、という気はします。例えば3度以上報告があったアカウントの登録アドレスや電話番号では次にアカウントが作れないようにするとか。プラットフォーム側の人たちにも、そんなつもりはなかったにせよ、自分たちが作ったものが人を殺しているという現状は重く受け止めて欲しいなとは思いますし。

…自分の周りで被害を受けている友だちがいた場合、SKY-HIさんならどんな行動を取られますか?

SKY-HI 本当難しいですよね。「自分はあなたの味方だよ」と表明してあげることはもちろんいいと思うんですが、これがフィジカルとインターネット上の関わりの違いで、SNSで傷ついてしまっている時って、周りから何を言われても受け入れられない状況になっていると思うんです。僕は辛かった時に、友だちが家まで来てくれて、「みんはや」(みんなで早押しクイズ)をずっと一緒にやってくれました。僕の場合はそれで救われましたが、人によって違うとも思うので、どうやっても難しい、という部分は正直あると思います。

…テレビなどでも日々芸能人のスキャンダルが取り上げられ、誹謗中傷をエスカレートさせている気がするのですが、情報の受け取り方で気をつけておられることはありますか?

SKY-HI まずは何でもかんでも受け取らない、ということですね。あとは受け取った情報を人に説明できるかどうか。「Aさんは悪い人です」というニュースが出た時に、なぜ悪いかを自分でちゃんと人に説明できるか。良い話でも同じで、なぜ良いのかと説明できるか。受け取る時は人の言葉なので、処理する時は自分の言葉じゃないといけないとは思います。

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…SKY-HIさんにとって、SNSはどんな存在ですか?

SKY-HI なくても良い存在かな。特に必要はないですね。今、若い男の子と仕事をしたりするんですが、スマホをいじったりSNSをいじったりする時間がある時の方が、練習などの効率が悪いんです。眠りが浅そうな人も多くて。でも完全に使えない状況になったら、リアルなコミュニケーションが増えてその場にいる人同士で仲良くなったり、練習に集中できるようになったり、寝る時間が早くなって顔色が良くなったりするんです。SNSがないことによる良いことがあまりに多くて、「これ、なくていいじゃん!」って心から思いました(笑)。時間って24時間しかないからね。


■chapter03 ブレイクアウトルームでさらに考えを深める

続いて、少人数のチームに分かれて議論を深めていきました。SKY-HIさんが各チームを順番に回り、みんなと一緒に議論したり、質問に答えたりしてくれました。 

Aチーム 
それぞれの賛成・反対の意見を出し合った後、「そもそもみんなSNSを何のために使っている?」という話に。「推しが発信する情報をリアルタイムで受け取るため(だからなかなかSNSからは離れられない!)」「友だちとの思い出を残すため」「(それに対して)もしかすると自分にとってはハッピーな思い出の写真も一方では妬みとして捉える人もいるかもしれないから自分を守る術を考えることも大事だよね!」
SKY-HIさんには「HIP HOPのディス(beef)は誹謗中傷にはならないの?」という質問。

SKY-HI 昨今では攻撃的な発言は見直されていて、過去に書いた歌詞に対してアーティストが謝罪する動きも出てきていますね。


Bチーム 
ここでは、誹謗中傷をする側の心理についての話題に。「正義感から書き込む人もいるかもしれない」「自分の生活がうまくいっていないと、逃避として書いてしまう人もいるのかも」「書き込みはしないけど、自分の気持ちがネガティブになっている時は、誹謗中傷の言葉を見て有名人でも劣っているところはあるんだな、と安心してしまう時もある」という声が上がりました。

SKY-HI 誹謗中傷する側の意見を聞いていないので討論はできないけど、今問題になっているような誹謗中傷に関しては、正義とまで思って考えてやっている人はいないんじゃないかな、もっと気軽な気持ちなんじゃないかなという気もします。


Cチーム
このチームは、メンバーからSKY-HIさんへ3つの質問。

…誹謗中傷はどのレベルまでいったら罰されるべきだと思いますか?

SKY-HI 基準は2つ。「人格否定」と「虚偽」じゃないかな。

…ネガティブな感情を発散する方法はありますか?

SKY-HI ネガティブな感情を増幅させるインターネットからは距離を置き、僕の場合だと曲を書くこと。基本的にその方法はオフラインにしかないと思っています。

…若者にとって、SNSが必要ないと思えるまでには時間がかかりそうです。何か良い方法はありますか?

SKY-HI 例えば友だちや家族にも協力してもらって、“1週間脱SNSをみんなでやろう”と擬似的にやってみればいいんじゃないかな。代わりに交換日記をしてみたりね。


Dチーム 
一人に対して大勢の誹謗中傷が起こる心理についての話題に。「自分が書いたコメントに対して「いいね」がたくさんつくと自分の意見は正しいんだという気持ちにもなるのかも」「ネガティブなコメントが多い中、自分だけポジティブなコメントをしづらいなと感じたことがある」「それならコメントがみんなに見られないような形にすれば減るのかも」「コメントを絵文字のみにしたら誹謗中傷する気にならないだろうし可愛い」「投稿までの時間を置いてみては?」などの提案も。

SKY-HI  SNSの誹謗中傷で嫌な気持ちになるのは、伝え方・受け取り方のズレだと思うから、絵文字にするとたしかにその壁はなくなりそう!


Eチーム 
「厳罰化する必要性と言論の自由とのバランス」について話した後、「誹謗中傷問題を小中学校で教育として取り入れていく」「SNSは電話番号登録を必須にする」といった対策案も。

SKY-HI 僕も教育が追いついていないとは感じます。ただ現状の改善を考えた時に、個人の倫理観を育てるのはなかなか難しいので、明確な罰則の線引きは必要かなと思います。法律は人が作るものだから、民主主義であればその法律がある方が人々が救われるかどうかだと思うんです。今は誰もが誹謗中傷は悪いことだと思っていて、それが時に惨劇を起こしてしまうということもわかっているので、厳罰化してもいいのかなと思っています。


■chapter04 SKY-HIさんより、会議に参加しての感想

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今10〜20代の皆さんは、共通意識として誹謗中傷に対して問題意識があるんだなということ、みんながダメだと思っていることでも、その対処の仕方という部分で意見が割れるのを見て、人の数だけ考え方や主張はあるよな、ということはすごく学びになりました。オフラインで救いがなくなった時にはオンラインに温かみを感じると思うんですが、そういう時こそ危なさも増えます。だからまずは皆さんオフラインで、目に映る人を大切にして欲しいなと思います。

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