坊やとの会話

坊や

 2007年7月27日、福岡Yahoo!JAPANドームで開催される予定だったソフトバンク対西武の試合は、西武の選手らが搭乗予定の飛行機が故障し、後続の便にも空席がなかったことから移動できず中止となった。
 写真はそれを伝える翌日の読売新聞朝刊社会面。キャプションには「試合中止にがっかりする男の子。おばあちゃんの慰めに応える気力も無かった。(27日午後5時30分、ヤフードームで)」とある。

 おう坊や、がっかりするんじゃないよ。杉内と涌井の先発だもんな。そうか、そうか、松中も見たかったか、残念だったな。ヨシヨシ。
 でもなお兄さ・・・、ん、いいのお兄さんで。まだ20代なんだから、ウン。
 コホン、お兄さんが坊やくらいのころは野球場に屋根がついてなくて雨が降ったら、試合が中止になったんだ。ホントだよ。
 昔、荒木っていう甲子園で活躍したピッチャーがいてね。今で言うと正田みたいな、正田知らない? 桐生第一のだよ。あっそう。じゃあね、田中だよ、マー君みたいな人気者がいてね。
 その投手が3,4年目になってもなかなか登板する機会が無かったもんだから、たまに登板すると満員になってね。5月の連休に家族で横浜スタジアムに見に行ったんだけど、満員で入れなかったことがあるんだ。
 どうだ坊や。だからなんだって。まだ、さらにつづきがあるんだよ。横浜スタジアムは試合開始前に札止めになっちゃったんで、当時はね川崎にロッテがいたもんだから、そっちに行こうということになった。パ・リーグの試合は空いてるから入れるよってね。
 でも、行ってみたら中止。川崎球場は土のグラウンドで前の日に雨が降っていたからグラウンドコンディションが悪いって言うんだ。晴れているのにだよ、お兄さんは悔しかったなあ。ウン。
 川崎球場はね雨で中止になることなんか数え切れなかったんだぞ。屋根もないし、水はけも悪いから。村田兆治の引退試合も最初に予定されてた試合は流れていけなかったんだから。それにビミョーなときはひょっとしたらやるんじゃないかって球場にドキドキしながら電話して「もしもし」っていったら、テープで「本日の試合は中止です」なんてね。ハハハ。
 だから坊やも、ドーム球場ばっかりの時代に試合中止なんて良い経験が出来たじゃないか。 
 当日に用意した弁当やらなにやらでヤフードームは1億5000万円くらいの赤字らしいね。でもね経済効率ばかりを考えて屋根の下で野球をしたり、グラウンドを人工芝にしちゃあつまんないよな。野球は青空の下、土のグランドでやるもんだもんな坊や。そうだろ。
 坊や、人生って言うのは思う通りにいかないのサッ。ウン。白球っていうのはさあ、こうパーンと…、はっ? お兄さんは赤瀬川隼かその関係者かって、いやいや山際淳司を読みすぎただけだよ…。(2007年7月28日)

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