石川哲也

1977年生まれ、神奈川県横須賀市出身。野球を中心にスポーツの歴史や記録に関する執筆が…

石川哲也

1977年生まれ、神奈川県横須賀市出身。野球を中心にスポーツの歴史や記録に関する執筆が得意分野の「文化系」スポーツライターです。気がつけばライターを生業にして20年が経ちました。PCに眠っている、なつかしい原稿の数々を蔵出しします。

マガジン

  • プロ野球半券ノスタルジア

    手元に残った観戦チケットの半券をとっかかりに、80~00年代のプロ野球を振り返るコラムです。

  • 多摩地名の由来

    読売新聞の地域情報誌『よみうりSunTAMArea(サンタマリア)』で2010年より足掛け8年不定期連載していた『地名の謎』、『地名の由来』を蔵出しします。八王子市を中心に町田市、あきる野市、西多摩郡などの知っているようで、実はよく知らなかった地名の由来を紹介しています。

最近の記事

早慶戦を公共放送が生中継するワケ

 2023年秋の東京六大学リーグの優勝決定は、最終カードの早慶戦に持ち込まれ1戦目、4対3で早稲田大学が勝利、2戦目は慶應義塾大学が4対0で勝利、3戦目は先制した慶應が早稲田の反撃を退け5対3、勝ち点を挙げて優勝を果たした…。この結果について皆さんはどのような感想をお持ちだろうか? 慶應優勝おめでとう、早稲田は意地見せた大健闘だ、否々、一番多いのは「早慶戦やっていたんだ」ではないか。  春と夏の甲子園大会がテレビでほぼ完全生中継されることについて「高校野球だけ特別扱いされて

    • プロ野球半券ノスタルジア⑬                         リーグもチームも消滅          「歴史」を語る半券                   

       今回取り上げるのは関西独立リーグの半券。「ナックル姫」こと吉田えりが登板したリーグ開幕戦の半券はすでに紹介したが、その翌日、2009年3月28日に紀三井寺球場で行われた紀州レンジャーズ対明石レッドソルジャーズの両チームにとって記念すべきリーグ初戦のものだ。  球場で試合開始前に購入した当日券。ホームの紀州レンジャーズと対戦相手の他3チームのロゴがあしらわれているが、対戦カードや座席の種別、金額などは記されておらず、日付印が押されるわけでもない。紀州の前期ホームゲーム日程全

      • プロ野球半券ノスタルジア⑫                              チケットのデザインから                      国際問題が垣間見える?

           今回ご紹介する半券は2007年12月に台湾で行われた北京オリンピック野球競技のアジア地区予選を兼ねた第24回アジア野球選手権大会のもの。大会ロゴと予選も含めた参加国の国旗があしらわれた国際大会らしいデザインの全日共通の常備券だ。日付やカードなどは下部に試合ごと印字されるスタイルとなっている。  印字された事項に「中華隊06日本」とあるが、「中華隊」とはチャイニーズタイペイオリンピック委員会の現地での表記。「06」は日本、台湾、韓国、フィリピンの4ヵ国参加総当たり戦の

        • プロ野球半券ノスタルジア⑪                     パ・リーグイベント試合の原点?                     オリックス東京ドーム主催試合

           東京ドームは“プロ野球のメッカ”とも称される、いわずと知れた巨人の本拠地だ。かつて巨人と本拠地を共用していた日本ハムはエスコンフィールド北海道の開場により、今シーズンから主催試合を行うことはなくなったが、ソフトバンクの「鷹の祭典」、ロッテの「BLACK SUMMER WEEK」、楽天の「楽天スーパーナイター」、そして今シーズンは5年ぶりに西武も主催試合を開催。これらのゲームはいずれもオリジナルユニフォームやTシャツなどを配布するイベント試合で、前売り完売の大盛況となる。

        早慶戦を公共放送が生中継するワケ

        • プロ野球半券ノスタルジア⑬                         リーグもチームも消滅          「歴史」を語る半券                   

        • プロ野球半券ノスタルジア⑫                              チケットのデザインから                      国際問題が垣間見える?

        • プロ野球半券ノスタルジア⑪                     パ・リーグイベント試合の原点?                     オリックス東京ドーム主催試合

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        • プロ野球半券ノスタルジア
          13本
        • 多摩地名の由来
          24本

        記事

          プロ野球半券ノスタルジア⑩                      懐かしきガラガラの横浜スタジアム                    ヤケクソの消化試合「2試合共通観戦券」

           横浜DeNAの観客動員が好調だ。8月25日時点で175万7558人で、このペースでいけばコロナ禍前の2019年以来となる200万人の大台に届く勢いだ。動員数だけでいえば阪神、巨人、ソフトバンクに次ぎ4番目だが、他の球団の本拠地が収容人数4万人を超えるのに対して、DeNAの本拠地、横浜スタジアムは収容人数が3万3912人と少ないため、ホームゲームの1試合平均収容率は約95%となり、ほぼ毎試合満員状態となっている。親会社がDeNAに替わって以降、エンタテインメント産業らしくファ

          プロ野球半券ノスタルジア⑩                      懐かしきガラガラの横浜スタジアム                    ヤケクソの消化試合「2試合共通観戦券」

          プロ野球半券ノスタルジア⑨                               AK砲に落合、原、野茂、スター勢揃いの1990年オールスターゲーム

           夏は野球の季節だ。これほど野球をプレーするのに適さない時期はないと思われるのだが、学校が休みになるためか小学校から中学、高校と硬式、軟式、各カテゴリーで全国大会が行われ、社会人も都市対抗野球が行われる。プロ野球は前半戦と後半戦の区切りとなる、オールスターゲームが開催される。アメリカではMidsummer Classic (真夏の球宴)と称されるオールスターゲームもまた夏の野球の象徴だろう。  今回、ご紹介するのは1990年に横浜スタジアムで行われたオールスターゲーム第1戦

          プロ野球半券ノスタルジア⑨                               AK砲に落合、原、野茂、スター勢揃いの1990年オールスターゲーム

          プロ野球半券ノスタルジア⑧                   真夏の球宴・都市対抗応援席の異様な盛り上がり

           都市対抗野球は日本アマチュア野球の最高峰を決める大会といわれる。ただトシタイコーといっても、野球好きでなければピンとこないかもしれない。これが説明するのが非常にややこしいのだが、社会人野球の日本一を決める大会は別に秋に行われる社会人野球日本選手権というのがあって、それとは別に日本の各都市を代表したチームが、日本一をかけて戦う。メジャーリーグが都市に根差したフランチャイズ制を採用しているのにヒントを得て発案された、現在のNPBの起源である職業野球の発足より前の1927年から行

          プロ野球半券ノスタルジア⑧                   真夏の球宴・都市対抗応援席の異様な盛り上がり

          プロ野球半券ノスタルジア⑦                     キミはプロ野球選手長嶋一茂を見たか?

           長嶋一茂といえば、言わずと知れた「ミスタープロ野球」長嶋茂雄の長男であり、ヤクルト、巨人でプレーした元プロ野球選手だ。現在はスポーツキャスターを手始めに俳優、タレントとマルチな才能を発揮している。  最近その長嶋一茂が二世タレントらしい鷹揚な振る舞い? で人気を博しているのだとか。たしかに情報番組やバラエティ番組で目にする機会は多い。平成生まれの世代の中には、元ライトフライ級世界王者である具志堅用高のことをベテランのお笑い芸人だと思っている向きもいるらしいが、ひょっとしたら

          プロ野球半券ノスタルジア⑦                     キミはプロ野球選手長嶋一茂を見たか?

          プロ野球半券ノスタルジア⑥                      懐かしいMLBチケット半券                        シェイスタジアムで熱血応援団長に遭遇!

           1998年9月7日、シェイスタジアムで行われたニューヨーク・メッツ対アトランタ・ブレーブスのチケット半券。スタジアムで購入した当日券で、サイズは日本のものよりも小さく、チームロゴ入りの台紙に必要事項が印字されている。観戦記念というよりは実用性を重視したタイプで、90年代の後半のメジャーリーグのチケットはどこもこんな感じだった。  この日はこのシーズンからメッツでプレーしている現・ロッテ監督の吉井理人が先発するということで、奮発して高い席にした記憶があるのだが、それでも「F

          プロ野球半券ノスタルジア⑥                      懐かしいMLBチケット半券                        シェイスタジアムで熱血応援団長に遭遇!

          プロ野球半券ノスタルジア⑤                                           ナックル姫の登板に1万人超が集まった関西独立リーグ開幕戦

           2009年3月27日に行われた関西独立リーグ開幕戦のチケット半券。  京セラドーム大阪で購入した当日券だが、いわゆる「ぴあ券」といわれる味気ないプリント印字のみ。独立リーグのチケットはたいがいホームゲームで通年使用する汎用券が用意されているものだが、プリント印字の方が経済的なのか? それともシーズン唯一の大阪ドーム開催の開幕戦ということで、このスタイルになったのか? 翌日に観戦した紀三井寺球場の紀州対明石戦は汎用券ながら、チームロゴが入ったものが用意されてただけにちょっと惜

          プロ野球半券ノスタルジア⑤                                           ナックル姫の登板に1万人超が集まった関西独立リーグ開幕戦

          プロ野球半券ノスタルジア④                                            今はなき藤井寺球場                            使いまわし可能な常備券が哀愁を誘う

           今はなき近鉄バファローズホームゲームのチケット半券。  1枚目が藤井寺球場で行われたウエスタンリーグのもの。2枚目は一軍の大阪ドーム内野自由席、3枚目は大阪ドームライト側のレストラン席で観戦した際にもらえる外野席の半券。  2000年代半ばはプリント印字のチケットが主流になってきた時期だが、二軍だけでなく一軍も昔ながらの常備券にスタンプを捺すスタイル。しかもカード別ではなく使いまわしの効く汎用の常備券なのは、赤字球団ゆえの節約か?   ちなみにチケットの日付は2004年

          プロ野球半券ノスタルジア④                                            今はなき藤井寺球場                            使いまわし可能な常備券が哀愁を誘う

          プロ野球半券ノスタルジア③                             超レア半券発見!                                    平成元年セ・パ誕生40周年記念試合

           東京ドームがまだ「BIGEGG」と呼ばれていたころ、1989年11月5日にセ・パ誕生40周年記念して行われた、フレッシュスターゲームとOBオールスターゲームの半券。東京ドームのイラストと、セ・パ40周年ロゴがプリントされた品の良いデザインで、ゲームそのもの希少性も含め、半券としての価値? は高いのではないか。  東京ドームの開場は1988年のこと。大半のプロ野球の本拠地がドーム球場となった今では何も珍しくないのだが、「屋根付き」の野球場は当時としては画期的なことだった。た

          プロ野球半券ノスタルジア③                             超レア半券発見!                                    平成元年セ・パ誕生40周年記念試合

          プロ野球半券ノスタルジア②                         地平を駆けるレオを見た!         ご機嫌東尾「うまい酒飲んでます」

           ベルーナドームにまだ屋根がつく前「西武ライオンズ球場」時代のチケット半券。球場窓口で購入した当日券だが、まだプリンター印字がお手軽ではなかった80年代らしく、カード別の常備券に日付と開始時間がハンコで捺されている。ペットマークのレオとチームカラーを配したシンプルなデザインだが、ホーム側のチーム名が西武ではなく「ライオンズ」と表記されていたり、さりげないこだわりとパ・リーグに新風を送り込んだ新生球団らしいセンスの良さが垣間見える。  どうしてこの試合の半券が残っているのかと

          プロ野球半券ノスタルジア②                         地平を駆けるレオを見た!         ご機嫌東尾「うまい酒飲んでます」

          プロ野球半券ノスタルジア①                          笑顔の古葉監督とダンディーな遠藤が印象的 大洋Vの期待が広がった1987年春

           世の中には野球の観戦チケットの半券をとっておく人間と、とっておかない人間の2種類がいる。  私は前者だ。自分の体感したゲームを何かしら形あるものにして残しておきたいと思うのだ。「乗り鉄」の皆さんは、自分の乗った路線や列車の切符を、下車駅で無効印を貰ってまでも手元に置いておきたいというが、その感覚に近いかもしれない。  そんなこともあって小学生の時から集めたというか、結果的にたまった半券はそれなりの数になった。プロ、高校、大学、社会人の各レベル、日本だけでなくアメリカ、韓国

          プロ野球半券ノスタルジア①                          笑顔の古葉監督とダンディーな遠藤が印象的 大洋Vの期待が広がった1987年春

          ファンにもアンチにもオススメしたい 高校野球映画の傑作『ひゃくはち』

          高校野球を題材にした映画やマンガといえば『タッチ』のようなカッコいい主人公とヒロインが出てきて野球は添え物の恋愛ストーリーか、『ドカベン』シリーズのような、ルールブックの盲点をつくエピソードを取り上げたりするマニアックで泥臭い青春もののどちらかがほとんどだ。  いずれにしても映画、マンガで描かれる高校野球は清く美しい。しかし高校野球なんてもっとあるでしょういろいろと、という向きに全力でオススメしたいのが2008年に公開された映画『ひゃくはち』だ。原作は早見和真による同

          ファンにもアンチにもオススメしたい 高校野球映画の傑作『ひゃくはち』

          進化する「二刀流」 大谷翔平

           前回2017年WBCで某誌に掲載されるはずだった大谷翔平の選手紹介。残念ながら大谷はケガにより出場辞退となり、幻となった原稿を、6年ぶりのWBC開催に合わせ蔵出しします。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   投げては日本最速の165kmをマークし、打っては3割、20本塁打をクリア。NPBはもちろんMLBにも前例のない、規格外の「二刀流」がWBCの舞台に初めて登場する。  プロ入り後のこの4年間で大谷は投打ともに年々スケールアップして

          進化する「二刀流」 大谷翔平