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進化する「二刀流」 大谷翔平

 前回2017年WBCで某誌に掲載されるはずだった大谷翔平の選手紹介。残念ながら大谷はケガにより出場辞退となり、幻となった原稿を、6年ぶりのWBC開催に合わせ蔵出しします。

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 投げては日本最速の165kmをマークし、打っては3割、20本塁打をクリア。NPBはもちろんMLBにも前例のない、規格外の「二刀流」がWBCの舞台に初めて登場する。
 プロ入り後のこの4年間で大谷は投打ともに年々スケールアップしてきた。特に投手・大谷は完成形に近づいてきているといっていい。昨シーズンの被打率は僅か.184、許した走者は1イニング平均0.91とほぼ完璧に押さえ込んだ。奪三振数は174でリーグ3位だが、1試合平均は前年の10.15から11.19に増えており、もちろんこれはリーグトップ。ほとんど手がつけられないピッチングといっていい。国際大会でも2015年のプレミア12で2試合13イニングで被安打3、奪三振21、無失点と韓国打線を完璧に封じている。今大会はキューバやアメリカ、ドミニカなどの北中米勢との対戦もあり得るが、昨シーズンの外国人選手との対戦成績は60打数13安打、被打率にして.217、奪三振21。WBCには各国のトップクラスが集まるとはいえ苦手意識はない。
 打撃面でも昨シーズンは目を見張る活躍を見せた。とりわけ長打力に磨きがかかり本塁打はリーグ3位、自己最多の22本を記録。17.36打席に1本の割合で本塁打を放ったが、15本以上打っている打者の中では日本人トップ。同僚の中田翔の24.96打席を大きく上回るハイペースだった。昨秋行われた強化試合では打者に専念したが11打数5安打1本塁打の大当たり。今大会は投手登録だが登板日以外は代打もしくは指名打者として出場し打撃でもチームに勝利を呼び込む。
 投手・大谷、打者・大谷ともに今大会、全出場選手中一番注目される選手であることは間違いない。世界へと翔く「二刀流」の進化の過程をしっかりと目に焼き付けたい。

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