「筋肉は遊ぶ」を前提にコンディショニングする

 ワイワイ、キャーキャーするわけでは無いです。

 例えば車のハンドルを動かすとき、車の進行方向は変わらないけどハンドルが動く、わずかな範囲がありますよね?(説明下手)
 あれが「遊び」というものです。工学の言葉になるようですね。
 wikipediaによると、「接合部などに設けられた隙間や緩み。遊間とも呼ぶ」
 東建コーポレーション建築用語集によると、「機械の作動や取り付けを円滑にする目的で、機械の部分同士を密着させず、その間に意図的に設けた隙間のこと」とされています。
 なるほど・・・

 で、これが人体にも存在しているわけです。

 一番有名なものは「関節の遊び/Joint Play」と呼ばれるものです。筋肉の場合「Muscle Play」と呼ばれます。
 
 人体内部は基本的に、胃や腸などの消化器系、血管内を除き、空洞が無いです。筋肉・神経・血管などの組織は基本的に密集しています。その間をグニュグニュと滑って動いているわけです。ストレッチなんかは、筋肉を長軸方向に伸ばすことが目的になりますが、筋肉は縦方向に伸びる以外にも、横方向に動いています。

 筋肉は骨にくっついている(顔面や手指の一部は皮膚にも付着)というイメージがあると思いますが、いくつかの研究報告によると、筋肉は全てが骨に付着するわけではなく、別の筋肉と横方向の連結を持つことにより力の伝達をおこなっているとされています。The muscular force transmission system: Role of the intramuscular connective tissueより引用

 この辺りは今までは解剖研究で徐々に分かってきたことですが、この考え方を臨床現場で落とし込む方法が、ここ数年の理学療法で盛んになっています。

 それがエコー「超音波画像診断装置」です。

このエコーによりリアルタイムで筋肉の動きを見ることができるようになりました。

 そしてエコーで実際に見ていると、「動いていると思っていた筋肉はほとんど動かない」「伸びてほしい筋肉が伸びていない」なんてことがザラにあります。そして徒手的な操作により、エコーを確認しながら筋肉を動かすと、かなり動かしやすさが改善し、痛みも大幅に軽減することも多いです。

 関節が動かない原因は、筋肉が伸びない・硬い、だけではなく、筋肉の横方向の動きなどが硬いことが原因になっていることもあります。

 そのため、筋肉の遊びがないと関節はストレスを受けやすくなるわけです。必要以上の力が必要になることもあります。

 部分的なコンディショニングをする際には、必ず「可動性/しっかり動くか」を優先的に見ていきます。とにかくまずは、柔軟に筋肉が動いてくれれば良いんです。もっと細かくいうと「筋肉」「脂肪組織」「筋肉と筋肉の間」「神経」です。これらが動くだけでも関節のコンディションは大きく変化します。
 具体的に言えば・・・
 肩関節なら、大円筋・三頭筋長頭腱・小円筋の筋間の動き
 股関節なら、小殿筋の動き
 肘関節なら、上腕筋と長橈側手根伸筋の動き
などなど・・・

 ただし、この辺りは理学療法士の専門性が強くなりますので、なかなかセルフで行うことが難しいです。(すでにトレーナー等に教えてもらっていればできると思います)
 
 最近わかった事は、「どんな方法でも良いから、とにかく筋肉が動くこと」が大事です。マッサージでも、筋トレでも、なんでもです。

 関節は柔らかく動くけど、筋肉に張りがある・・・
 なんて方は、筋肉の遊びが重要になるかもしれませんね。

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