クライミングフォームって、あるようで無いものと思う



様々なスポーツで耳にする「フォーム」という言葉。
クライミングでは「懸垂フォーム」とか、「肘や手首が痛い時にフォームを見直しましょう」というような場面で耳にしますね。
このフォームは、いわゆる「クローズドスキル」なのか「オープンスキル」なのかで話しが変わってきます。

両者の違いは、「外的環境の変化の有無」です。

クローズドスキルは野球の投球、水泳の飛び込み、バレーのサーブなど、常に同じ状況で出来るスキルを指します(※厳密にはランナーの有無等で変わりますが、大まかな分類として捉えてください)。

オープンスキルは、サッカーなど、流動的に状況が変化する環境におけるスキルを指します。

これをクライミングに当てはめるとどうでしょうか。
外的環境はセットごとに変わりますが、流動的かと言われるとそうでもありません。

このような競技特性において、「フォーム」というものがどこまで重要なのか、どこまで考慮しなければいけないのかを考える必要があるかと思います。

ヒトの運動をコントロールしているのは脳です。
これを「運動制御」と呼び、運動の幹的メカニズムを統制もしくは指揮する能力」と定義付けられています。

この運動制御は、3つの因子の相互関係で成り立ちます。

①個体 (運動を行う人)
 認知、知覚など、身体を動かす能力そのもの
②課題
 何をするか
③環境
 どのような場面でするか

この3つが相互作用し、結果的に運動が生じます。

クライミングで言えば
①どの程度の柔軟性や筋力があるか
②次のホールドを掴むためにどのようなムーブを選ぶか
③どのようなホールドの配置、形状であるか

この3つが相互作用し、結果的に運動が生じます。

これを考えた時、フォームを「見た目だけで考える」必要性があるか、疑問が生じます。

私の解釈では、フォームは「今その身体の状態で行動しようとした結果」です。

そのフォームには必ず理由があり、見た目に良し悪しはありません。
なぜそのフォームになっているかを考える前に見た目だけを治そうとすると、おそらく今まで出来たことが出来なくなると思います。
極論、そのフォームだから出来ていた、ということもあります。

これを運動制御で考えると、修正できることは①の個人です。つまり、筋力や柔軟性、身体への知覚などです。
ここに必ず理由があります。この身体機能の幅が広がることにより、動きの適正化にも幅が出来るようになります。

フォームを修正する前に、身体機能を見直す

これが重要であると思います。

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