棄権したら政府に文句はいえない?

衆院選の投票率は小選挙区、比例代表ともに約54%で、台風の影響もあってか、戦後2番目の低さでした。有権者の半分近い約46%の人々が棄権したわけです。

ところで、棄権は悪いことだとよくいわれますが、それは正しいでしょうか。

棄権を批判する人はよく、「投票しなければ政府に文句はいえない」といいます。けれども、これはどうみてもおかしな意見です。

第1に、もしこの意見を大まじめに法的な意味に取れば、政府を批判する人は、投票した証明書をいつも首からぶら下げていなければなりません。もちろん、そんなことをする人はいません。投票したかどうかにかかわらず、政府に文句をいう自由は誰にでもあります。

第2に、「投票しなければ政府に文句はいえない」が法的な意味ではなく、「投票した人だけが政府に文句をいう倫理的な資格がある」という意味だとしたらどうでしょう。これも成り立ちません。

むしろ逆ではないでしょうか。政府が何か問題を起こしたら、その政府を選んだ有権者こそ、文句をいう倫理的な資格がないはずです。だって、自分が良いと思って選んだ政府なのですから。一方で、政府を選ばなかった棄権者は堂々と文句をいえるはずです。

参政権は読んで字のごとく、国民の権利です。権利である以上、行使しない選択肢もあるはずです。投票を強いるような世論はよくありません。そして棄権しても、政府を批判する資格はあるのです。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22577290T21C17A0MM0000/

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