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格差社会の中で「自助会」が持つ可能性

先日、久しぶりに自助会に参加した。

一年前に私が初めて自助会に参加した時には、
参加者は私を入れても、せいぜい5,6人程度。
それが今では、毎回20人くらい集まるようになっている。

「ずいぶんと世間にも知られるようになったんだなぁ」

毎回のように参加している人もいれば、
初めて参加しましたという人もいる。

同じような苦しみを抱えた者同士で、
問題を深掘りしていき解決策を探っていく。
たったこれだけのことなのに、
癒されて心が軽くなるんだから、本当に不思議だ。

そんな「自助会」について、
格差社会の中でどういった可能性があるのか、
自分なりに思うところをまとめてみた。

「助け合うのは当たり前」と学校で習ったけど

「困ってる人を見かけたら、ちゃんと助けてあげなくちゃダメだよ」
学校でそう習った人も、多いはずだ。

困った時には、お互いさま。
そんな考えで助け合っていれば、
自分が困った時にも助けてもらえる。

困った人を助けるのは、一見すると他人のためのように見えて、
実は自分のためという一面もある。

言葉は悪いかもしれないが、
恩を売って相手に貸しを作っておくことで、
自分が困った時のための保険になるというわけだ。

特に私はカルト宗教の家庭に生まれたということもあって、
困った人を助られるようにならないといけないと言われて育った。
困った人を積極的に助けておけば徳を積むことができて、
それだけ幸せになれると教えられていたものだった。

ところが、インターネットやスマホが普及する前の時代には
当たり前であった助け合いの精神は、
知らない間にどんどん消えていった。
代わりに出てきたのが、「自己責任」という言葉だった。

「助ける側」と「助けられる側」のバランス

「困っている人がいるんだったら、助けてあげてもいいのでは?」

「自己責任」という、ちょっと刺激的な言葉を見るたびに、
心の中でモヤモヤしたものを感じていた。

格差社会の中で問題になりやすいのが、
「助ける側」と「助けられる側」の固定化が起きやすいという点だ。

支え合うどころか、
いつも同じ人が助けてばかり、
いつも同じ人が助けられてばかり。
そんな状態になってしまっては、
助ける側の人からは不満が出てきてしまう。

そして、その他に問題として出てきやすいのが、
助ける側の人が、自分の常識を
助けられる側の人に一方的に押し付けてしまうことだ。

「そんなの常識でしょ?」
「何でそんなこともできないの?」

何らかの困難さを抱えながらも
必死に何とかしようとしてきた人にとっては、
そういうことを言われてしまうと、思わず傷ついてしまう。

私も心理カウンセリングを学ぶ中で知って驚いたことだが、
人によっては「成長」や「成功」という言葉に対して、
刃物を向けられているように感じてしまう人だっているらしい。

いわゆる健常者と呼ばれる人にとっては当たり前にできることでも、
発達障害の人にとっては難しいことだっていっぱいある。
それにも関わらず、「これはできて当たり前」を押しつけられると、
「どうして分かってくれないんだ!」
と助けを必要とする人からは不満が出てきてしまうのだ。

共感できる部分というのが無いと、
どうしてもコミュニケーションがこじれてしまいやすい。

さらに、「助ける側」と「助けられる側」という
上下関係のようなものもできやすいので、
そういった関係に反発心や嫌悪感を抱いてしまうという人も
中には出てきてしまう。

では、どうすればいいのか?

当事者で解決策を探求するという選択肢

私がたまたま見つけることができた斬新な解決策、
それが「自助会」だった。

問題を抱えた当事者同士が集まって、
自分たちが抱える問題について研究していく。

三人寄れば文殊の知恵という言葉もあるが、
まさにそんな感じで、解決策が思いつきやすくなる。

心理学では「メタ認知力」と言って、
問題にうまく対処できるようにするには
自分で自分を客観的に見つめる能力が重要になるとされている。

ところが、感情に振り回されやすいと、
感情に飲み込まれてしまい、
自分を客観的に見つめるというのが難しくなる。

自助会では、そんな自分を客観的に見つめるのが難しいという人でも、
自分と同じような問題を抱えている人が話しているのを聞くことで、
一見すると他人の話を聞いているようで、
実は自分を客観的に見つめることにつながるのだ。

また、同じ問題を抱えた者同士で集まるため
上下関係というものがなく、説教される心配もない。
話し合われる内容も、みんな同じような問題を抱えているため、
共感もしやすい。

「あらためて自助会って、すごい解決策だな」

いろいろと自助会についてまとめていると、
格差社会の中での新たな助け合いの形という気がしてくるのだ。

生きづらさを抱える人が多いこの時代に、
自助会は多くの人の希望になると信じている。

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