冬の森、眠る熊

気がつけば3月も終わりにさしかかっていて目眩がする。一体この休みに、自分に何ができたというのか。考えるだに恐ろしい。

春。
という季節は、あるいは自分にとっては捉えどころがないものの代表なのかもしれない。冬と春の境目が、二十数年生きてきたけれど、未だによくわかっていない。暦の上での定義に、感覚が追いついてない。気がつけば春の中にいて、気がつけば春のあとにいる。嫌いな季節じゃないだけに、するするとすり抜けていく感じが、もどかしい。もっと手元にあってほしい、その肌理を感じたい、輪郭を捉えたいという欲望の一切を、春は拒絶している。そんな気がしている。

春。
眠っていた生命が吹き出す季節。太陽が目覚める季節。
だというのに、自分ときたら、いっそこれまでの可能性の芽を悉く摘み取っているような気すらする。魂の方は未だにハイバネーション・モードを離れていない。じっとりと暁を待っている。



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