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コロナ禍の観光を考察し、ライターの使命を本気で考えてみた

国のGoToトラベルは新型コロナの感染を広げたレッテルが貼られ、世論的にも再開は難しい状況になりました。
どんどん観光してください、という流れは、緊急事態宣言中の今は懐かしく思えます。

では、その施策のおかげでどれだけの観光業者が希望を持てたか。
あまりそういう記事を目にしないのは、「GoToトラベルを擁護するライターは非国民だ」という雰囲気があるからか、そもそも観光に興味がある人が少ないからでしょうか?

ライターの仕事の一つは、世の中の闇に光を当てることだと思います。
私が思う今回の闇は、感染対策の影響を受ける人たちです。
感染源になったと責められる立場にある人たち、とも言えます。
何が正しいかという議論ではありません。

地域住民が支える観光地

これは地元秋田で新聞記者をしていたときの話です。
皆さんは、DMOという名前は聞いたことがありますか?
まだまだ聞き慣れないかもしれませんが、
Destination Management Organization
「観光地域づくり法人」の意味で、地域の稼ぐ力を引き出す活動をする団体です。世界ではアメリカをはじめ、観光に関しては行政より主導権を持つDMOがあります。
日本の場合、財源は国や地方自治体の補助金が大半で、コロナ以前はインバウンドの集客などが活動の中心とされていました。

秋田県の県北部にある大館市、北秋田市、小坂町、上小阿仁村の4市町村をエリアとする、「秋田犬ツーリズム」というDMOがあります。https://visitakita.com/
設立5年足らずの若い団体ですが、昨年、観光庁の重点支援DMOに選定されるなど、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長しています。

コロナ禍において、秋田犬ツーリズムの仕事は皆無になったかと思えました。
しかし、彼らはある行動を起こしました。
一言で表すと、「地域住民の尻を叩いた」ということです。
もちろん、乱暴なことをしたわけではありません。外からの観光客、ビジネス客を望めない中、一番苦しいときを地域住民で支えませんか?という提案をしたのです。
昨年4月の緊急事態宣言以降、テイクアウトができる飲食店の一覧を作ったり、SNSを使ったスタンプラリーを実施したり。感染対策ポスターづくりも主導しました。

なくしてはいけないもの

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人口が多い地域ではありません。さすがに利益を出せるほどの効果があったとは言えませんが、キャンペーン前と比べて売り上げが倍以上になる事業所もありました。何より、応援してくれる人の声を直接届けたことに意義があります。
ある店主の一言が心に残っています。

「おれの生きがいは、料理を作ってお客さんに食べてもらうこと。おかげで一番大切なものを失わずに済んだ」

厳しい経営の中でも、それを乗り越えるためのモチベーションが必要です。
綺麗ごとかもしれませんが、秋田犬ツーリズムは地域住民とともに、協力金だけでは補えない「心」を届けたのです。
自分の地域は自分たちが守る。
そんな意気込みが、コロナ禍の希望につながりました。

観光地や飲食店は、気概も必要としています。
寿司職人は寿司を握るから寿司職人ではなく、握った寿司をお客さんに食べてもらって始めて寿司職人です。
自分の存在意義をなくしてしまっては、元も子もありません。政府に頼るだけでは解決しない問題が、たくさんあることを知りました。

私たちライターの仕事は、闇に光を当て、救いをもたらすことです。
世間の声は必死で拾いますが、世間に流されてはいけません。それが、最低限の責任だと思います。

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