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影響力の法則

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影響力の法則―現代組織を生き抜くバイブル 著者 アラン R.コーエン , デビッド L.ブラッドフォード を具体的な事例を基に研究しています。
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記事一覧

影響力の法則について(1)

相手に勝ちたがっているのか、良い仕事をしたとほめられたいのか、目立ちたいのか、尊敬を得たいのか、自身が優位に立ちたいのか、早く済ませてしまいたいのか、ラクしたいのか、などなど。これらは、誰でももちうる個人的な目標です。 そして、本来の目標より優先してしまうのです。 アラン R.コーエン 会社は組織化された人の集まりだが、ほとんどの労力が個人的な目標に費やされている。 つまり個人的な目標を組織の目標へ意識を傾けさせることができれば、組織は現状のままでも生産性を飛躍的に向上さ

影響力の法則について(2)

レシプロシティの原則 〜人々はある行為をし、それに対するお返しを受け取っている。 個人的目標というのは、レシプロシティの源泉であり人を動かすギブ・アンド・テイクに必要なものだ。 例えば、あなたが休日を返上してまで納期に間に合わせる努力をした結果、上司から褒められ、その働きぶりが評価される。つまり努力に対する対価が支払われた。 このような双方が求める価値の交換が組織内で繰り返されているはずだ。 こうした行為を影響力として捉えた場合、ある種の法則が成り立つ。

影響力の法則について(3)

組織のマネジメントについて もしも、ワンオペを目指し指導するトレーナー、目標をサポートするフォロワー、心のケアを行うメンター、オペレーションクルーとして職能を評価する制度、貢献に見合う報酬、このようにワンオペが永続可能な仕組みにするためのカイゼンを従業員が一丸となって取り組む組織だったら。 もしも、個人的な目標と本来の目標のギャップをマネジメントして、ゼンショーが食を通じてお客様と従業員、そして地域の物心両面における幸福を目指すビジョナリーカンパニーだったら。 つまりワ

影響力の法則について(4)

企業価値(きぎょうかち、又は事業価値、エンタープライズ・バリュー)とは、企業が持つ有機的一体としての事業の価値を金額で表したものをいう。 wikipediaより 三菱商事のトレーニー制度、野村證券のノルマ名刺集め1日40枚、電通の富士登山研修、鬼十則・・・。 どんなに過酷な試練を与えられるとしても新卒者の憧れる企業であり、優秀な大学を卒業し入社を目指す人間は後を絶たない。 その理由として、大企業で安定しているからなのか、それとも給料が高いからなのか。 おそらく、それらもある

影響力の法則について(5)

企業とは、営利を目的として一定の計画に従って経済活動を行う経済主体(経済単位)である。 wikipedia〜企業 より 企業の目標とは営利目的から生ずるものであり、時に個人の目標と相反する事もあるのは自明だろう。 例えば家庭サービスと残業の判断は働く親にとって悩ましいところだ。このような利害の衝突を解決する方法として、コンフリクト マネジメント5つのアプローチが挙げられる。 1.強制 win lose 2.撤退 lose win 3.鎮静 lose lose 4.妥協 l

影響力の法則について(6)

私たちが直面している大きな課題の一つは、直接権限を持たない他者への影響力である。フラットな組織、グローバル化、そして部門横断的なチームの為に、私たちは新しい挑戦をつきつけられ、また異なる方法や視点を持った人々を動かさなければならず、業務はずっと難しくなっている。  上司、同僚あるいは経営幹部を動かすことが、個人の成功や失敗のカギとして引き合いに出されている。私たちは何を達成したいのか知らなければならないのに、どのように立ち回ったらよいのか、あるいは誰が影響を及ぼさなければなら

影響力の法則について(7)

コーエン&ブラッドフォード モデル 法則1.味方になると考える 相手を理解するには、先入観による決めつけや誤解を排除すること。 そのためには、まず自分から相手が味方になると考える事からはじまる。 法則2.目標を明確にする 自分の目指すものはなんであるか、最も優先されるべきは何か、どこまで譲歩できるか。自分の個人的な欲望と仕事上の要請を混同しないようにする。 法則3.相手の世界を理解する あなたの行為も、その人が何を重要と考えるかによって受け取り方が変わる。相手の目標

影響力の法則について(8)

とある出版社から企画に関する依頼が来た。 近年、電子書籍を先駆けて開始した国内書店より、出版社へコンテンツの提供を要求されたことが発端だ。 まず市場を調査したところ、電子書籍の利用ニーズは通勤途中が最も高く、セグメントは20代から40代のサラリーマンであることがわかった。よってコンセプトは気軽に読めるコミックとした。選んだものは単行本として10巻以上続いている長編コミックであり、20代から40代の幅広い世代に親しまれている作品だ。 だがこの商品選定には問題がある。市場に

影響力の法則について(9)

「電子書籍の売り上げに悪影響を出さずに、紙の書籍の在庫も完売できること」 ここで、私たちが必要なのは直接権限を持たない他者への影響力である。 顧客のカレンシーを見つけることから始める。 例えば「お得感」による影響を検証する。個別のグループ(100人)に購入方法の選択肢を変えて検証を行う必要があった。 1つ目のグループには以下の選択肢を用意した。  1.電子版だけの購入(300円) ⇒ 選択率16%  2.印刷版だけの購入(600円) ⇒ 選択率0%  3.印刷版と電子