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「マグネシウム欠乏うつ」とは? 食べてうつぬけ:“にがり”のすすめ

【「マグネシウム欠乏うつ」??】

栄養精神科医の奥平智之です。今回は、マグネシウムについてお話します。
マグネシウム欠乏でも、うつ状態になります(1)(2)。 
心身のストレスが多い人は、マグネシウムの必要量も増えます。そのため、私は様々な理由で不足しやすいミネラルなので、注意喚起のために、「マグネシウム欠乏うつ」とお伝えしています(3)。しかし、マグネシウム単独でそのような状態になることはほとんどありません。その場合、複数の栄養素の欠乏も併存しているでしょう。
NMDA受容体拮抗薬ケタミンは、治療抵抗性のうつ病患者や双極性障害患者のうつ症状に対する治療薬ですが、マグネシウムは、作用は非常に弱いですが生理学的なNMDA型グルタミン酸受容体(NMDA受容体)拮抗薬ともいえます。また、マグネシウム欠乏が腸内細菌叢に影響を与え、抑うつや不安に関与するという報告もあります(4)。マグネシウム欠乏の併存例では、うつ病も治療抵抗性になる可能性があります(5)。

マグネシウムは、エネルギー代謝酵素などの体内の600種類以上の酵素の働きをサポートしています。特に脳と心臓に多いミネラルで、不足すると、うつ状態やけいれん、狭心症や高血圧、不整脈を引き起こします。

まぶたがピクピクしたり、足がつったりしたことはありませんか?マグネシウム不足が原因かもしれません。マグネシムは、筋肉をリラックスさせる「筋弛緩ミネラル」で、「筋収縮ミネラル」であるカルシウムとバランスを取っています。そのため、マグネシウムが不足すると、筋肉が収縮してけいれんを起こします。まぶたの筋肉が収縮してピクピクしたり、ふくらはぎの筋肉が収縮してこむら返りが起こったりします。また、血管の筋肉が収縮すれば、高血圧になります。

マグネシウムは全身の細胞のエネルギー産生に欠かせないミネラルなので、不足すると、全身の細胞に影響を与えます。エネルギーと聞くと、歩くなどの体を動かすエネルギーだけだと思いがちですが、脳神経細胞を含めた全ての細胞を動かすにもエネルギーが必要です。

また、メンタルに影響を与えるGABAやセロトニンなどの脳内ホルモンの生成にも、マグネシウムは欠かせません。マグネシウムはGABAに作用し、弱いですが天然の抗けいれん薬、抗不安薬、睡眠薬のように働きます。マグネシウムは、心を安定させるセロトニンの生成にも関わります。

さらに、マグネシウムは副腎の抗ストレスホルモンのコントロールをサポートしているので、マグネシウム不足は、ストレスへの対処力を低下させ、メンタル不調を引き起こしやすくなる可能性があります。

現代人はマグネシウム不足です。粗塩ではなく精製塩、玄米ではなく白米が好まれるようになり、土壌もミネラル不足、そして、水銀などの重金属汚染による吸収障害など、さまざまな要因でマグネシウムが不足しやすい環境にあります。

マグネシウム豊富な食材を意識して摂ることはもちろん、吸収を阻害するものは避けましょう。pH調製剤やイーストフードなどの食品添加物、ハムやソーセージなどの加工食品に含まれているリン酸塩を摂りすぎると、それらが腸でマグネシウムと結合して吸収を妨げたり、体内のマグネシウムを尿から排出してしまったりします。そのため、食品添加物や加工食品の摂りすぎには注意が必要です。

また、慢性的なストレスやアルコールで、必要量が増えるということも覚えておいてください。

【マグネシウム摂取に「にがり」】

 マグネシウムを補給するサプリメントもありますが、理想は、食事から十分量のマグネシムを摂取することです。その意味で、にがりを勧めています。にがりに含まれるマグネシウムは、塩化マグネシウムという吸収されやすいマグネシムです。水などの飲み物に入れたり、料理に取り入れたりなど、日常生活に自然に取り入れられるという利点があります。

マグネシウムは、ストレスで消費されやすいミネラルで、メンタルを患う患者さんに不足しがちです。価格もお手頃で気軽に取り入れやすいので、マグネシウム源として、外来の患者さんにも勧めています。

日本人はマグネシウムが不足しているので、飲み物に積極的ににがりを使うといいと思います。マグネシウムは、水分子のクラスターを細かくするので、飲み物の味がまろやかになります。マグネシウムの含有量も、一滴に出る量も違うので、厳密には言えませんが、お茶やお水などの飲み物が、しょっぱくならない程度に、数滴垂らすといいと思います。患者さんには、飲み物だけでなく、毎食のお味噌汁にも入れて、にがりの摂取量を増やすことを勧めています。

日本酒やワインなどに入れても味がまろやかになり、安いお酒も口当たりの良いお酒になります。アルコールの分解にもマグネシウムが関与していますので、二日酔いの緩和も期待できます。
マグネシウムは、食事からも含めて、400~500㎎/日の摂取をお勧めしています。
にがりを口の中に入れると、マグネシウムは粘膜からも吸収されるので、粘膜からの効率的な吸収が期待できます(6)。
マグネシウムの含有量が豊富で、水銀などの有害ミネラルが除外してあり、放射性物質が不検出のものを選びましょう。

1)Tidball, C. S. "Magnesium and calcium as regulators of intestinal permeability." American Journal of Physiology-Legacy Content 206.1 (1964): 243-246.
2)奥平智之.血糖調節障害、コレステロール欠乏、マグネシウム欠乏.栄養精神医学 (12) 精神看護(23)1,94-99,2020.1
3)奥平智之:血液栄養解析を活用!うつぬけ食事術.KKベストセラーズ.東京.2019
4)Winther G., Pyndt Jørgensen B.M., Elfving B., Nielsen D.S., Kihl P., Lund S., Sorensen D.B., Wegener G. Dietary magnesium deficiency alters gut microbiota and leads to depressive-like behaviour. Acta Neuropsychiatr. 2015;27:168–176. 
5)Murck, Harald. "Ketamine, magnesium and major depression–from pharmacology to pathophysiology and back." Journal of psychiatric research 47.7 (2013): 955-965.
6)奥平智之:「栄養型うつ」うつは食事で防ぐ!奥平式うつよけ簡単レシピ.宝島社.東京.2020

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