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ポケビとブラビの紅白出場はYahoo!で知った

もちろん「一言も連絡がない!」と怒っている訳ではない。もう日本テレビに籍がない人間だから無くてもしょうがないと思っている。まあその紅白出場の手続きを日本テレビでした人間から「こうなんですよ」と一報くらいあったら嬉しかったかなとは思うけど。とても良いニュースだけに。

今回書こうと思っていることは「芸能界とテレビ」の話で、ポケビ(ポケットビスケット)とブラビ(ブラックビスケット)は当時金曜日の夜8時からやっていた「ウリナリ!」という番組から生まれたバンドふたつだった。
コントの舞台としてあった居酒屋でアルバイトしていた千秋が番組で歌うグループを組むことを聞いて”自分が入るんじゃないか?”と期待していたら入れてもらえなくて本番中に本当に泣き出してしまった。(まあひどい話だけど番組スタッフとしては計算通りだった)それに同情したウッチャンが「一緒のバンドを組む!」と宣言してウドを入れて結成したバンドがポケットビスケットだった。(命名はウド。🎵ポケットの中にはビスケットが一つ♪という歌からアドリブでつけられた)そしてメインのグループを凌いでフィリピンのショッピングセンターで歌ったデビュー曲「イエローイエローハッピー」(当時のスタッフの指摘で「ラプチュラスブルー」だったことが判明)はあっという間に視聴者の心を掴んだ。
しかし音楽活動を続けることは簡単ではなかった。番組が「綱渡りをしろ!」など歌を歌うこととは関係ない障害を設定して『できなきゃCDだせない!』とかいろんなことを言ってくる。最大の山場は100万人署名を集めないと解散させる!とか。(つまり千秋の本気をバラエティ的にどうショーアップするか?)というそれまでにはなかったドキュメントバラエティが「ウリナリ!」だったと自負している。署名を集めるために全国の小学生が近所の駅頭に立ったり参加型バラエティの形も作ったとも言えると思っている。
そして仇役としてのブラックビスケット登場!本気のレースをやって武道館ワンマンをやれるグループを決めたり、時には出来上がったマスターテープの破壊までやった。

つまり「芸能界とテレビ」というものを番組と出演者という関係ではなく一体となって作ったものだと思っている。
だから今回の紅白もまずはNHKは日テレに打診したはずだし、その上で裏番組をやっているにも関わらず日本テレビは自分たちの「ポケビ&ブラビ」の出演をOKしたということだろう。
そういえば21年ぶりだということだがその当時は社内は僕が強引に押し切ったと記憶している。

長くなってしまったがこの「ポケビ&ブラビ」だけじゃなく今年70年になったテレビと芸能界は本当に表裏、いやそれ以上のような関係だったように思う。
テレビがなくて人気者になった芸能人がいるか?70年代、80年代のミュージシャンに何人かいる。でもそれもTBSの「ザ・ベストテン」という番組は”テレビに出ない”というニュースにしてテレビに吸い込んだ囲い込んだとも言える。ユーミンは1年に一回だけテレビに出る、というテレビの使い方をした。なんと1992年の年末には「進め!電波少年」がその光栄な番組なったのだが。

今年大変なことになったジャニーズはこのテレビを最もうまく使った事務所と言えるだろう。僕はほとんどお付き合いはなかったのだがある時「エ?そんな要求するんだ?それが通常の関係?」と驚いたことがある。とにかく芸能事務所の交渉のテクニックとテレビ局の甘ちゃんのテクニックには天と地ほどの差があってお話にならない交渉や力関係の現場をいくつも見てきた。

それで僕が電波少年を大手事務所に人気者を出してくれるようにお願いするのではなく新人をオーディションでやるようになるということになるのだがそこで人気者になればもう番組のことは忘れて卒業していくし、本当の勝負はそれからだというのは有吉やいとうあさこを見ていれば明らかなことだ。

まあそんな表裏一体以上の歴史があるんだがインターネットが出てきてそれはそういかなくなった、いかなくなり始めたというのが今年なのだろう。それでBBCで作られたドキュメンタリーがネットを通じて日本で広がりついにはジャニーズ崩壊に繋がるのである。

今年あった「M-1」も全国ネットの番組にすることにこだわる吉本興業の谷さんの奮闘が『M-1はじめました」に詳しいが最後のテレビをうまく使った芸能界イベントな気がする。最近この手で気になるのが『優勝するとこんなすごい番組に出ることができます!』と言っていること。まだテレビの出ることってそんなに価値があるのか?と世間との乖離が気になってしまう。
どちらかというと「優勝するとこんなに番組出なきゃならないですけどすみません」の方が視聴者にはピタッとくるかも。

まあそんな今、そしてこれからの話はともかく「ポケビ&ブラビ紅白出場」は日本テレビの番組でその中で番組企画としてあの手この手で考えてそしてヒットした二組なのだ。
このふた組のプロモーションビデオはとても素晴らしくて、でもレコード会社はそんなに予算がなくてだから正直にいえば番組予算からかなり無理して出して作ったし、そして何よりこのPVのディレクターをやった塩谷祥隆は当時日本テレビのめちゃくちゃ才能がある社員で彼があんな風にクレイアニメやCGや海外ロケでPVを作ったから、そのバラエティ部分との落差で驚きと衝撃が生まれポケビ&ブラビが人々の中に入っていけたというのは間違いないことだろうと思う。

だからメンバーは。ポケビ&ブラビを作ってスターダムに乗せて、そして25年経っても思い出してくれて愛され続けているのはその時一生懸命やったスタッフなしには絶対になかったと思い出してほしい。
このポケビのフレームを考えた星野淳一郎もPV担当ディレクターの塩谷祥隆二人とも天国に行ってしまっているので彼らに届くようにそして一緒にやったたくさんのスタッフに届くようなステージを大晦日に見れると嬉しいね。

僕は見ないけど。

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