記念撮影するライターについて

新しいライターさんを探していて、ずっと前から気になっていた方にお声がけしてみようと思っていました。

フェイスブックで繋がっていたので、メッセージで送ろうかなぁと思いつつ、最近の投稿を拝見したら、取材で会った演者さんとの記念撮影ばっかりなんですよ。

「◯◯さんのインタビューしました!」
とか書いて、ツーショット公開してんの。
マジかよ!

これはあくまでも個人的な考えなので、絶対悪だとは思わないけど、
わたしはそういうライターと仕事したくないです。

取材終わって、ライターがインタビュイーに
「今日はありがとうございました、ツーショット撮ってもいいですか?」
とか言うんでしょ? 
マジかよ!

これを機に、「なんで取材後のツーショットはダメか」を考えてみました。
わたしなりの答えは「必要ないから」です。

なぜ「必要ない」のかは箇条書きで。

※例外として、すでに出演者と旧知の仲だった場合はぜんぜんよいと思います。
「このアーティストと仲が良い」というのもライターとしての強みですし。

1)出演者にとって時間のムダ

相手はタレント、スポーツ選手、映画監督や小説家、いろんなパターンがありますが、それぞれに多忙の合間をぬって取材時間を作ってくれているわけです。
つまり、ライターとツーショットを撮るために来てくれているわけではありませんし、撮ったところでなんの得もありません。

2)目的が違う

1とカブるけど、出演者が時間を割いてくれる理由は、だいたい「メディアに出演できる」「伝えたいことを自分の言葉で語れる」「宣伝になる」からです。
そして、我々は記事にするために、なんらかの成果物を作るために取材に行きます。
どちらの目的も「個人的な写真撮影」のためではありません。

3)まわりがハラハラする

もし仮に、快く撮影してくれたとしましょう。
でもそれがうれしいのはライターだけです。周囲がどういう目で見ているか気づきましょう。
もしタレントだった場合、マネージャーは「え、あの写真どっかに使うのかな」「いま撮った写真、確認すべきかな」ってそれなりに逡巡します。
編集は(わたしなら)「なに勝手なことしてんの?」「その写真どうするつもり?」「あーマネージャーに謝らなきゃ」とけっこうドン引きです。




以上です。


さらに言うと、そのライターの場合
「今日は◯◯さんの取材しました!公開したらまたお知らせします!」
ってパターンで書いてることもあるの。
いや、公開したら書けよ!

出版関連はいちいち契約書とか書かないけど、本来は「◯◯さんが今日は取材を受けていた」ということも「業務上で知り得た情報」ですので、当然「秘密保持」という義務が生じます。
いや、そういう小難しい話よりも、それを書いてよろこぶ人はひとりもいないから書かないほうがいいよ、という話です。

もちろん、取材した記念を残したいのはすごくわかります。
高いゴハン注文したとき、写真撮っておきたくなるのと一緒。
でも、取材をした記念は、世に出た記事でじゅうぶんだと思うんです。
世間の人たちに刺さるような記事を作ることが、いちばんの記念です。

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ついでに思い出した話をもうひとつ。

はじめてお会いしたアーティストさんに、取材後「記念撮影しましょうよ」と言われて、マネージャーさんが写真を撮ってくれたことが何度かあります。
「せっかくお会いできたんだから」みたいに言われて。

これってかなりレアなケースだと思います。もうこの仕事10年くらいやってるけど、ほんとに数回しかない。

しかもそのうち1回は、その写真がプリントされて自宅に届きました。
「このあいだは取材していただきありがとうございました!」
なんて、アーティストの直筆と一緒に。

たぶん、そのアーティストさんのこと一生忘れない。
ぜったい悪いこと書けない。ずっと応援しちゃう。

若手で売り出し中のアーティスト/タレントに限られるだろうけど、こんなことで記者の心はかんたんに掴める、という例でした。


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