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カバチタレ!相続で、故人の離婚の有無、子どもの有無を調べる

 このコラムは、行政書士の仕事を題材にしたマンガ「カバチタレ!」のストーリーを紹介しつつ、法律を少しだけ学ぶ内容となっております。

 大野行政書士事務所で働くことになった田村、事務所には、補助者(行政書士ではない)の先輩の栄田(さかえだ)がおり、二人でコンビを組みことが多くなる(カバチタレ!第一巻より)。

常盤貴子の主演でテレビドラマにもなった。広島弁だったのだろうか



 ある日、小規模企業経営者の社長男性から二人は相談を受けます。社長には娘がいるが、従業員がその娘と付き合っている。しかし、どうもその従業員は離婚歴があり、こどもがいるという情報が社長の耳に入る、という状況。社長は、従業員が遊びや詐欺目的で、娘と付き合っているのではないかと心配し、二人に、従業員が就職の際、提出した戸籍謄本を見せて、離婚歴の有無についてたずねます。田村は、戸籍謄本に離婚の記載がないことから、「離婚していない」と言い切りますが、後で栄田にたしなめられてしまいます。「客はわしらの言うたことを手放しで信用するもんなんで。専門家の一言は重みが違うんじゃ
 そのあと、栄田の指示で、従業員の戸籍の前籍地の役所に行き、従業員の除籍謄本を取得します(※)。除籍謄本には、離婚した妻の名前や子どもの名前などが記されていました。そう、除籍謄本を調べれば、離婚歴や子どもの有無がわかるのです。戸籍はなかなか動かすことは普通の人は少ないでしょうが、転籍をして、こうした情報を戸籍謄本に載せないようにする人もいます。
 除籍謄本は、相続の際に必要になります。子どもがいた場合、法定相続人となるからです。
 田村は、社長の従業員に離婚歴や子どもがいることを知らせた後、従業員と面談します。従業員の彼女「娘さん」への気持ちを確かめるためです。従業員は、彼女「娘さん」に離婚歴も子どものこともすべて打ち明けており、娘さんはそのことを了解済みでした。田村は社長にそのことを告げると、社長は安堵し、二人の結婚を許します。田村は、結婚式にも招待されました。
 
 ※行政書士は、職務上請求といい、職権で戸籍や住民票の証明書類を取得することができます。ただ、この場合の請求は、依頼者の証明書類ではなく、適切ではないと考えます。相続の場合、遺族が故人(例えば、妻が亡父)の除籍謄本を取得する手続きが行われます。

 私も除籍謄本や転籍地ごとの戸籍を見たことがありますが、その方の人生を垣間見るようでいつも神妙な気持ちになります。会ったことはないけれど、その人の過去の人生に触れる、厳粛な仕事だとそのたびに思います。
 

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