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 9月13日水曜日、ふじみ野市議会で一般質問を行いました。テーマは、少子化対策です(以下の文章は関連記事です)。

  ふじみ野市を始め、多くの自治体や国が、子育て支援策に強く取り組まれていることには、敬意を表します。また、対象となるお母さん、お父さんからも一定の評価を受けていることと思います。ただ、残念ながら、子育て支援策を強化しても、強化しても、出生数や出生率は、低下していくという状況がみられます。
 私の質問は、こうした現況において、従来の子育ての支援という福祉的政策とは、少なからず異なる視点、出生数、出生率の向上をみすえた包括的な少子化対策が必要との考えから、出生に関する比較可能なデータ、結婚、出産の対象となる若い世代、第一子を産んで、第二子、第三子を産む対象となる世代への考えの理解を通じた施策の現状、また、今後の取組についてうかがうというものです。

【質問】本市の出生数を見ますと、2015年は981人、2022年は、651人となっており、2020年を除き、逐年減少しています。減少率は33.64%、年平均で5.69%です(外国人を含む。日本人のみでは966人から627人。減少率は35.09%、年平均5.99%)。
 同期間の埼玉県の減少率は、22.52%、年平均で3.58%となっています。国の場合は、23.38%、年平均3.73%となっています。近隣東武東上線沿線の朝霞、志木、富士見、川越市と比べても、高い減少率を示しています(すべて日本人の出生数)。



日本人出生数の推移


 また、合計特殊出生率も2015年の1.53から、2021年は1.08と2020年を除き、下降のすう勢にあります。この期間、県の出生率を上回っているのは2015年、2020年、その他は下回っています。
先ほどの近隣自治体と比較してみても、他を下回ることが多くなっています。特に、出生数の減少率は2015年と2021年の期間で29%なのですが、近隣自治体と比較すると、他の自治体は16~22%に比べ、7%以上低くなっております。 こうした「本市の近年の出生数減少と合計特殊出生率の低下に対する評価と対応」について伺います。
【回答】近年の出生数は、令和2年度は、777人、令和3年度は678人、令和4年度は651人となっており、この期間の減少傾向は、新型コロナウイルス感染症の全国的な拡大によるものと思われます。
 合計特殊出生率は、令和3年度、本市は1.08.国が1.30、県は1.22となっており、本市は国、県より低い数値です。

 (所感)質問では、他市や国、県との比較した観点を述べた上での評価を求めましたが、回答では、比較結果に基づいた評価は述べられませんでした。残念な回答ですが、これまで担当部門は他市との比較という視点、本市の特性というものについて考えはあまりなかったかと思われます。今回の質問が、本市の特性をとらえ、その対策をとる第一歩になることを願っています。

続いて、【質問2】   本市の出生率に関係する指標(有配偶率、平均初婚年齢、出生順位別合計特殊出生率、有配偶出生率など)や若者・子育て世帯へのアンケートを活用した対策」についてです。
 出生数の増減率、出生率の推移は、近隣自治体や県平均より低位となっているわけですが、この要因を分析する上で、本市の出生に関係する状況を数値を通じて理解する方法があります。
 出生率に関係する指標として、まず、結婚に関する指標です。これには有配偶率、平均初婚年齢が挙げられます。性・年齢別にみた有配偶率、平均初婚年齢の推移を、他地域と比較するというものです。これにより、ふじみ野市の特性が見える化されるわけです。これらの数値は、出会いの機会、経済状況、就労環境などと関係すると考えられ、数値の改変には、出会いの機会、経済状況、就労環境に関する施策が有用とされます。
 
次に出産に関する指標です。出生順位別合計特殊出生率、有配偶出生率が挙げられます。これらの数値を他地域と比較するというものです。これらの数値は、子育てに関する経済的負担や支援の状況、身内や地域のコミュニティによる支えなどと関係すると考えられ、数値の改変には、子育てに関する経済的負担や支援、妊娠から子育てに関する不安や孤独を解消する施策が有用とされます。
 また、こうした客観的な分析に加え、主観的な分析として、若者・子育て世帯への出産、子育てに関する複数テーマに対するアンケートを通じて、考えや意識の理解をする方法があります。重要度、満足度の高低によって、課題が明確化されます。
 少子化対策にこうした手法を取り入れることは、数年前から、国が「少子化対策地域評価ツール」をつくり、その活用事例の紹介やモデル調査事業を行うなど注目されています。
 これまで述べました、出生率に関係する指標や若者・子育て世帯へのアンケートを活用した少子化対策への取組についてはぜひ推進してほしいと考えるのですが、お考えを伺います。

【回答】
 平成25年から29年までの本市の合計特殊出生率は1.46、母の年齢階級別内訳は、15~19歳が0.012、20~24歳が0.107、25~29歳が0.427、30~34歳が0.548、35~39歳が0.309、40~44歳が0.06、45~49歳が0.002となっています。同時期の全国平均は合計特殊出生率は1.43(この時期は本市のほうが国より当高い)、15~19歳が0.021、20~24歳が0.148、25~29歳が0.423、30~34歳が0.507、35~39歳が0.278、40~44歳が0.054、45~49歳が0.002で、35~44歳の層で、市が国より高くなっています。(注釈:近年のデータをみてみてください。2019年、21年ともに、35~39歳、40~44歳の層の出生率は国平均より下回り、かつ、差は拡大しています(かつては上回っていたのに、今は下回り、さらにそのすう勢は進んでいる可能性))




 平均初婚年齢は、平成30年のデータで、本市が男性が32.3歳、女性が29.7歳、全国平均は男性が31.1歳、女性が29.4歳であり、男性が国平均よりやや高くなっています。
 出生順位別合計特殊出生率(平成25年から29年)は、本市が第1子が0.67、第2子が0.59、第3子以降が0.20で合計1.46であり、全国平均は第1子が0.66、第2子が0.53、第3子以降が0.24で合計1.43となっており、第2子までは全国平均を上回り、第3子以降は全国平均を下回っています(この時期は本市のほうが国より高いため、ここ数年に変化しているとみられる)。
 15歳から49歳までの有配偶出生率は、令和2年のデータでは本市は、63.5%、国は70.3%であり、本市は全国平均を下回っています(略)。
 
本市では、令和2年度から6年度を計画期間とする「第2期ふじみ野市子ども・子育て支援事業計画」を策定する際に、就学前児童の保護者2500人及び小学生の保護者1500人、合計4000人を対象にアンケート調査を実施しました。また障がい児及び医療ケア児の保護者、子育て支援センターを利用している保護者にヒアリング調査を行いました。これらの結果を少子化対策を含む子育て支援策を実施しています。

 結婚、出産に係る支援策としては、結婚に対する支援では、埼玉県が実施している「さいたま出会いサポートセンター」に本市が会員登録していることで、本年7月現在、本市で男性107人、女性76人が会員登録しています。
 不妊治療に対する支援では、独自事業として、夫婦で保険診療として実施した生殖補助医療又は男性不妊治療を初めて行った夫婦には、初期治療分上限5万円を全額助成しています。
 出産に対する一時金の支給では、今年度から実施している国の出産・子育て応援給付事業に加え、10月からは独自事業として、はじめて子育てコンシェルジェ事業を実施します。乳幼児を対象に初めて子育て支援センターに来所した子育て世帯に対し、保護者にヒアリングと子育てコンシュルジェ事業について説異を行い、給付金5000円を支給するものです。

【意見】このアンケートは、就学前児童の保護者、小学生を持つ保護者に行われたとのことですが、少子化対策の観点からは、若い世代、結婚直後、第1子出産直後など、対象を広げることが必要と思います。アンケートの項目では、国が推奨する事業「少子化対策地域評価ツール」で事例が紹介されています。また、京都府のものですが26市町村が、子育てに関係する指標を20個ですが、用いているのも参考になるかと思います。京都府のHPで地域子育て環境見える化ツールとして、公開されていますので参考にしていただければと思います。

 また、国の「少子化対策地域評価ツール」では、「少子化には様々な領域が影響するため、その対策の検討に際しては、多様な観点を取り入れ、分野横断的な検討が可能となる体制を構築することが有効である」とされており、私が視察した京都府宇治市、岡山県奈義町においても、子育て支援部門とは別に、総合的に政策を所管する部門がございましたので、参考にしていただければと思います。

【所感】有配偶率に回答がなかったのは残念でした。データがみつからなかったようです。私のほうで、令和2年の国勢調査データをもとに計算しました(下参照)。有配偶率は、50.2%となります。富士見市は47%、志木市は51%、朝霞市は52%、川越市は49%、県は49%、国は48%です。担当部門の方は日常の業務で忙しく、こうした調査や長期政策などにさく時間は少なく、この点は仕方ないと思います。

 有配偶出生率は、近年注目されている指標です。これは、国の数字ですが、2015年くらいまでは、有配偶出生率は、「出生数」の増加要因でした。しかし、それ以降、出生数の減少要因に変わっています。本市においてもここは注目すべきと考えます。つまり、出生数の主な押し下げ要因になっているのではないかと。少子化の要因は非婚、晩婚というものがありました。そもそも、現役世代の数が減っているという人口要因というものもあります。ただ、2015年以降は、増加傾向にあった有配偶出生率がマイナスに転じ、これが少子化に拍車をかけているというのが近年、指摘されているところです。国でいえば出生数減少率が年平均2%前後であったのが、2015年以降、3%台になった主因と指摘されています(ちなみに押し下げ要因としての非婚は、2010年以降、比率は低下あるいは変化が小さくなっています)。
 
 ふじみ野市の少子化の特性としては、有配偶出生率の低さが挙げられます。若い世代や子育て世代にアンケートをとり、意識や原因を探る必要があります。考えられるのは、女性の働く時間や家事の時間、世帯の収入、将来推定収入、子育て環境(出産休暇など出産、育児に配慮した労働環境や子どもを預けられる環境)などで、パートナーや企業の理解、配慮、資格・技能取得による収入増加、預かりサービスの拡充が有用と考えます。住居費など現金給付をとっている鳥取県では、出生率が向上しており、こうした下支え策も有用と考えます。


 

 
 
 

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