2学期の始まりにする話 その3 〜習慣を戻す〜

 夏休みはおそらく教員生活の中で最もゆとりのある時期で、(ある程度)心も体もゆっくりし、(ある程度)2学期の準備もし、(ある程度)さぁやるぞと燃えている先生も少なくないことでしょう。

 しかし、2学期の始まりにさぁやるぞと燃えている生徒はどれくらいいるでしょうか?

 そんな子には頭が下がります。が、実際には「あーあ、夏休み終わっちゃったな…」とか「冬休みまで長いなぁ笑」とかそんな生徒も珍しくないと思います。

 そこに、さぁ2学期の行事はこれだ!クラスの成長のために初日からどんどん準備だ!膳は急げだ!うぉぉぉ!…と先生が燃えていたらどうでしょうか。生徒との間に溝ができますよね。

 それよりも、まずは1学期にできていた習慣を取り戻させることを大切にしたいものです。1ヶ月も家で過ごしたのですから、1学期の習慣は忘れられていると考えるのです。せっかくつくった習慣をそのまま忘れられたら、もったいないですよね。夏休み明けの1週間は、エンジン全開ではいかず、ゆっくりと係活動などの基本的な習慣を取り戻すことに力を注ぎたいものです。すると生徒もギャップを感じずに、自然といろいろなことに前向きに取り組むようになっていきます。

具体的には、次のように話します。

①人間は忘れる生き物であることを伝える。

 さて、2学期が始まりましたね。学校生活のことをいろいろ思い出したでしょうか?通学路を忘れて来れなかった人はどうやらいないようですね(笑)ただ、人間はいろいろ忘れる生き物です。何もかも覚えていたら大変です。1学期の嫌なことは忘れ、新たな気持ちでがんばりましょう。

②習慣を思い起こし、できていることは褒める。

 人間は忘れる生き物と言っても、忘れたままではもったいないものもたくさんあります。たとえば、1学期につけた習慣です。朝、登校したら何をしていましたか?全員が机の上を本だけにして、静かに読書を始め、落ち着いた朝を迎えることができていました。窓をあけていた○○と○○、集配係として余裕をもって行動できていた○○、休み明けにも1学期の習慣を思い起こして、しっかりとできていたことは立派ですよね。

③失敗の可能性を予想&予防し、前向きな雰囲気をつくる。

 ただ、いくつか忘れていることもありましたね。何かわかりますか?(何人か指名して発言させる)そうです。誰かは忘れてしまっても、こうやって覚えていたり、気付ける子がいることが集団の力ですね。忘れてしまった係の子を責めるのは簡単ですが、今は少し多めにみましょう。

 さて、今日の動きを黒板に書いておきました。1日の流れを順番に想像してみてしてください。何も考えないとみんなが忘れていそうなことは何ですか?(何人か指名して発言させる)そうですね。忘れていそうなことは声をかけ合い、この1週間で、1学期にできていた習慣を取り戻して、その土台の上に、2学期の成長を積み上げていこう。

 

 忘れていることも認め、受容的な集団の雰囲気をつくり、みんなが前向きな声を掛け合いながら、ゆっくりと、着実に成長していく2学期にしたいですね。  山芝T

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