記事のタイトルと中身の乖離:緩和ではなく事実上の空港検疫やめる宣言

あまりにもタイトルのミスリードがひどい。先週のニュースですが、今日もNHKで繰り返していたので、メモとして残します。

政府 陽性率に応じ空港検疫緩和で調整 自宅待機免除も
2022年5月18日 18時21分
新型コロナの水際対策をめぐり、政府は、来月から空港などでの検疫措置を、これまで入国時に行われた検査の陽性率に応じて緩和する方向で調整を進めていて、数値が最も低い国や地域から訪れる人は、ワクチン接種の有無にかかわらず、今後は、検査などを免除するとしています。
新型コロナの水際対策をめぐり、政府は、来月1日から1日当たりの入国者数の上限を、今の1万人から2万人に引き上げる方針です。政府関係者によりますと、これに伴い、空港などでの検疫措置も、これまで入国時に行われた検査の陽性率に応じて、緩和する方向で調整を進めています。
新型コロナ水際対策 入国制限緩和の内容 外国人観光客受け入れは
2022年5月20日
新型コロナの水際対策をめぐり、政府は、6月から1日あたりの入国者数の上限を2万人に引き上げることになりました。また、海外からの入国者に対する検疫措置は、入国する際に行われたこれまでの検査の陽性率など流入リスクに応じて緩和することになり、8割程度の入国者は検査や待機措置が免除される見通しです。水際対策や外国人観光客受け入れをめぐる動きをまとめました。

突っ込みどころ満載の記事です。特に陽性率に応じて緩和って?

しかし今回注目したいポイントは別の点です。書かれていない内容がすごい。次の記事を確認してみましょう。

【速報】政府、来月1日から入国者の上限「1日2万人」に緩和と発表 空港検疫も緩和へ
5/20(金) 15:47
新型コロナの水際対策について、政府は来月1日から入国者の上限を2万人に拡大し、国や地域の陽性率に応じて空港の検疫体制を緩和すると発表しました。 松野官房長官は先ほどの会見で、1日あたり1万人としている現在の入国者の上限を、来月1日から2万人に拡大し、空港検疫の体制も緩和すると発表しました。 入国時に行っている検査の陽性率ごとに国や地域を3つのグループに分類し、▽陽性率が最も低いグループからの入国は、ワクチン接種の有無に関わらず検査や待機を免除、▽次に低いグループは、3回目接種を終えていれば免除、▽残るグループは、検査や待機措置を継続するということです。 それぞれの内訳ですが、▽条件なしで検査などが免除される国はアメリカやイギリスなどおよそ100か国、▽次のグループがおよそ100か国▽検査や待機が継続される国は4か国になるということです。


検疫緩和ではない。4か国を除き検査しない!

つまりこれは事実上の検疫放棄です。それを記事のタイトルでは緩和と言ってごまかし、ほとんどの記事では検疫継続が「4か国」であることに触れていません。(上記「速報」は唯一見つけた4か国の表示がある記事)


ということで、この4か国はどこなのでしょう?陽性率で判断すると言うなら、まず世界の国々の陽性率を見ておきましょう。

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30%を超えている国だけでも、台湾(72%)、オランダ(52%)、スリナム(43%)、モンゴル(42%)、ラオス(39%)、ポルトガル(39%)、スペイン(30%)など。データがないがおそらく超えているのが、ドイツ、ベトナムなど。

どのような基準になるのか、全く理解できません。

そもそも検査陽性率と市中感染率は全く異なるし、オーストリアのように、レストランに行くからすぐに検査、という体制ができているところとそうでない所とは大違いのはずなんですが。。。


最後に、今回の記事とは直接的な関係はないですが、台湾が本当に大変なことになってます。陽性率72% は、あまりの感染者急増で検査が追い付いていない状態であることを示しています。グラフは日本と台湾。

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台湾の感染爆発は、3月初めからで、その時の感染者数は日本の200分の1でした。4月末に日本を追い越し、3週間後の今ではすでに日本の10倍を軽く超えています。短期間でこれほど変化するのですから、検疫をするしないを予め決めておく、という考え方にも疑問ありですね。