22-23_EPL マンチェスターシティについて②

1-3 分類表の細分化データ
前投稿の分類表の個々のデータを集計、表示するために各々にアルファベットを割り振ったのが以下となる。

上表をもとに全シュートを分類し、頻出パターン上位8つを示したのが以下の円グラフになる。
図はその頻出パターンの上位8つのオンターゲット率、ゴール率を示したものになる。


MCIのアタッキングサードで多くみられる形として、相手フィールドプレーヤーがbox内に多くの人数を割きブロックを固め、その周りをMCIのプレーヤーが囲むという構図があった。そのため、そのブロックを崩す方策として横パスをつなぎながらギャップを探るというものがあった。その過程で放たれるシュートが多かったと言える。
一度シュートしたらそれがセーブされたものでも、クリアされたものであっても連続的にシュートするということはプレーヤーに関わらず共通していた。これがシュート数の多さを形成する一要因となっていた。
続いて、オンターゲット率、ゴール率が高い項目順に並べ、上位8つを示したのが以下の図になる。
ただし、試行数つまりシュート自体が著しく少ないものはランキングから除外した。ここでは試行数が5回以下のものは省略した。

左図がオンターゲット率の上位8つ、右図がゴール率の上位8つ

オンターゲット率の上位には実際100%を記録した「E,G,M,b,c,h」が入るが、これらはそれぞれ試行数が1だった。どれもシチュエーション自体が発生しにくいものであるため、狙うことや再現性は低いと考えられる。
「v」は試行数自体は3で100%を記録したが、これはハイプレスなどがはまった瞬間などの状況が考えられ、奪った時点でチャンスシーンとなる。ハイプレスを採用するチームが狙う最上位はこれになるが、シーンとしては少ないのが現状となることを示した。
 
上記のものを除いた集計表の中で、3/8でスルーボールからのシュートがランクインしている(d,e,f)。いずれもbox外のラストパスであり、そのシーンを考えると一本のパスで相手の背後をついたことになり、パスが出された時点でビッグチャンスといえる。
ただし、それらのGoal率はそれほど高くない。これはビッグチャンスの裏にビッグセーブがあることを意味している。プレミアリーグにはそれだけのGKがそろっていることになる。また、「f」つまりツータッチ以上の要したシュートに関しては得点ゼロになっている。背後をつくことができても、シュートまでに時間を費やしてしまうと相手バックスの戻りもあることを念頭におかなければならないことを再認識できるデータとなった。
 
ゴール率の上位には実際100%を記録した「c,h」が入るが、これらはそれぞれ試行数が1だった。前述の通りで、さらにオンターゲットと同値であり、1試行に対して100%つまりゴールとなった。
「Q,g」はそれぞれゴール率50%で2番目の高確率になるが、試行数は2だった。
「v」は試行数自体が3でゴール率33%を記録したが、これは前述の通り、ハイプレスなどがはまった瞬間であり、奪って時点でチャンスシーンとなるが試行数自体は少ないものであった。
 
特筆すべきはクロスによるパターンが上位にきたことだ。オンターゲットでは上位にスルーボール系が入っていたが、ゴールとなるとその結果が変わった。そのゴール率の差も「K」と「e」を比較するとおよそ20%もの差があった。「K」はポケットいわゆるbox内のハーフスペースからクロスを送るパターンやGKと最終ラインの間を狙うクロスのパターンが考えられるが、それらが有効なゴールを目指すラストパスとなることが分かった。実際、ポケットを使うことを狙ったシーンはMCIに多くあったと記憶はしている。
守備者つまりMCIの対戦チームはこのbox内でクロスを上げさせることは避けなければいけないことも分かった。
 
前出のデータ表で除外した項目はオンターゲット率、ゴール率は高いことは確認できたが、再現性が低いものになると考えられる。ただし、これらを再現すればオンターゲット率、ゴール率が高くなるのかは、試してみることがあってもいいかもしれない。
 
「PK」に関してはオンターゲット率、ゴール率ともに90%を記録。つまり90%の確率でPKを成功させている。
実際10本のPKで、ゴールは9本だった。ゴールを記録したのはいずれも9(MCI)だった。9(MCI)のシーズンを通じた個人の集計値は後述する。
 
最後に、オンターゲット、ゴールがそれぞれ高い項目順に並べ、上位8つを示したのが以下の図になる。図内の数値はパーセンテージではなく、実数値を表記したものになる。

横パスをつないでbox内で打ったシュート「x」が最も多い数値を記録した。これは前述の通りである。
オンターゲットの2.3番目に入ってくる「d」,「e」に関しても前述の、スルーボールからのシュートであり、この高いオンターゲット率を支えたのはbox外からのスルーボールをbox内でシュートしたことによる。
実数値でみた場合の上位には、クロス、マイナスのパス、スルーボールのいずれの一項目は入っていることが分かった。試行数がどれほどであれ、分類関係なくゴールへと換えられるチームであると言える。
 
今回のまとめでは「x」に関して分類表のようにラストパスの供給された場所については触れなかった。これが得点パターンの上位になるとすると、さらなる分類の必要性が分かった。また、マイナスのパスに関しても、レイオフなのかカットバックなのかを分けて集計するとまた違った結果が得られるかもしれないと思わずにはいられなかった。

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