未来掲載短歌 2017年3月号

未来2017年3月号掲載

バス停にて

冬がくる前に届いた手紙から答えはすべて抜け落ちていた
十五分バスに乗ったらもうそこは知らない世界 さらに夕暮れ
揺れるバス揺れるわたくしさっきまでいたところには私はいない
どこまでも知らない町ではないことを角を曲がったセブンで気づく
触れたから崩れてしまう触れてこなければそのまま立ってた、たぶん
かなしみのあらわれである体操を終えて少しは健康になる
距離感がわからないまま十二月 これまでだって生きていたのに
この道と自分で決めて進んだり戻ったりする紅葉踏み踏み
すくうためお玉が欲しいなるはやで すくってくれと声がするから
信号がやけに大きいこの夜に言葉は私を離れて浮かぶ

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