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【連載】無職の父と、田舎の未来について。 /さのかずや「葛藤と敗北、書けない経験、日々の余裕と楽しく続けていくことについて」後編(仕事文脈vol.22)

この記事は後編です。前編はこちら

やっと踏み込んだリアル地域社会、
努力の報われなさ、仕組みと政治

 会社としていろいろ難しい状態になって、札幌のいろんな経営者の方にお話をお伺いした。よくも悪くも自分がこれまで接点を持ってこなかった世界だったので、勉強になったことが多かった。普通にゴリゴリ男社会で違和感を感じる部分もあったが、そういうこととは別に、なんとかやってきた経営者の方々と比べて、自分には「お金を稼ぐ」ということに対する才能がまったくないことを思い知らされた。ある程度わかってはいたけど、少なくともこのまま自分が楽しめることを自然に続けて、うまくいくことは絶対ないな、という悪い方向の確信が持てた。

 これまで自分はずっと無理をしてきた。仕事を成し遂げることが楽しく、仕事を通じていろんなプロと力を合わせることが楽しかった。プライベートでも、趣味か仕事かわからないところに全力を注ぎ、思考と工夫を凝らして楽しいことをしていくことに、すごく充実感があった。なので趣味に打ち込むように、自然と無理をして仕事をしてきた。

 それが、北海道に帰って来てからは何かがずっとおかしかった。無理をすればするほど自分が苦しくなり、それを打破するために趣味か仕事かわからないことで無理をすると、当然仕事にはならないので更に苦しくなった。恨み言のようになってしまうが、地方では頭と身体を使って一生懸命動くことよりも、ベタベタにコミュニケーションを重ねて「隠された正解」にたどり着くことが、一番効率の良い仕事のやり方だと、3年やってみて気がついた。

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