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グレーな酒がいちばんうまい/酒の穴(仕事文脈vol.19)

パリッコ:グレーね〜。そもそも我々「酒の穴」自体がグレーもグレーですよね。
スズキナオ:そうですね。「飲酒ユニット」ってなんなんだという。というか、お酒自体がグレーでしょう。いい面と悪い面があるし。
パリ:はい。そもそも酒って、本当に合法でいいのだろうか? みたいな。考えだすとわからなくなりますよ。
ナオ:健康面とか、コロナ禍の今だとリスクもあるし、マナーやモラルの問題もあるし。ただ、10年後はわからないけど、今はまだお酒が日常のなかにある。居酒屋はどこにでもあって、コンビニに行けば大量に売られていて、酒造メーカーだって一大企業なわけですし。
パリ:うんうん。ただ最近で象徴的だと思ったのは、「路上飲み」「公園飲み」が完全に悪事になってしまったじゃないですか。
ナオ:コンビニに「店の前で飲まないでください」という貼り紙があったりします。
パリ:ぶっちゃけ、緊急事態宣言が開けたら公園では飲みますよ。もちろん、まだまだみんなでわいわいとはいかないから、ひとりでですが。
ナオ:広い場所さえあれば、いいじゃないかと思うんですけどね。
パリ:そうなんすよね。それくらい許してほしい。でも、まずお酒が悪人あって、飲食店で提供されなくなり、それじゃあと路上で宴会をする人たちなんかが出てきてしまったから、ぜんぶ丸ごと「悪」にされてしまって。

ナオ:そうそう。本当は、「ここまではOK」、「これはマナー的にもリスク的にもよくないよね」っていうレベルの違いが細かくあるのに、一気に全部がクロとされてしまう。
パリ:世のなかどんどんそういう雰囲気になってきてますよね。
ナオ:グレーが許されないわけですね。そういえばちょっと前に、神戸の山に登ったんですね。山頂にお酒や軽食を出す店があるんですが、市内では酒類の提供ができない時期だったんだけど、そこでは普通にお酒を売っていて、生ビールが飲めた。
パリ:へー!
ナオ:なぜかというと、そのエリアは「園地」といって、町でも公園でもない、まさにグレーな場所なんだそうです。
パリ:おもしろい。そういう場所があるんだ。
ナオ:条例の管轄外なんだそうです。で、グレーだからこそ、めちゃくちゃ居心地がいいわけ。
パリ:ははは。わかる! グレーって、最高なんですよね! そこを言ってなかった。

ナオ:僕たちが探しているのはいつもグレーな場所だと思います。「これはNG」「これはOK」の合間にするりと、ぐにゃりと入っていくような。居酒屋の店内と店外の間を探していったら、チェアリング(編集部註:酒の穴の二人がはじめた、アウトドア用の椅子を持って屋外や好きな場所で酒を飲むアクティビティ)にたどり着いたようなところもあるし。
パリ:そうなんですよね。そのチェアリングがまた、コロナ禍になり、いったんは密を避けられるリラックス法として注目されて、取材もたくさん受けたじゃないですか。ところが昨今は、路上飲み、公園飲みのと一緒に悪のフォルダに入れられて……。
ナオ:翻弄されてますよね。
パリ:その間、我々はずっと椅子に座ってただけなんですけどね。周りの景色が勝手にどんどん変わっていく。
ナオ:ははは。本当にそうですね。
パリ:まさに、グレーな場所から見ていた風景って感じがします。
ナオ:グレーゾーンは広くなったり狭くなったり絶えず変化するから、そこにうまく着地しないといけないゲームみたいな感じ。
パリ:ははは。スーファミの初期に「パイロットウイングス」っていうゲームありましたね。パラシュートで降りて行って目印の丸にすとんと降りられると高得点。
ナオ:的にふわっと着地する必要がある。
パリ:あの的、なるべく広い方がいいですもんね!
ナオ:なるほど。広い公園とか河原とかは大きな的だという。大好きだもんな、そういう場所。
パリ:本当です! なのに今は時代的に、あの的がマンホールのフタくらいの大きさになってる気がします。

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