雪やこんこ!

苦しんでいたらしいお題が上がりましたね。
オノマトペって一般的な物は簡単に情景と音を伝えられるから使う事自体はきっと悪くないんだけど、多用し過ぎると関西人の説明みたいになるんだよね。
「ビャーッと行ってそこ右にグッと曲がってまたザーッと行ったら前にドーンと立ってるビルの脇をシャーッと行って……」
みたいな。(なんなら私も関西人だからこういう説明するwww)

使いどころを見極めて他の説明は文書で出来るのも大事なのかなぁと思って、本来ならオノマトペを使いまくれそうな運動会をわざとお題に挙げました。


個人的には土の匂いから始まるのが好き。嗅覚って凄くて、聴覚や視覚からの情報より印象に残りやすいんだとか言いますし、田舎育ちの私は土の濡れた匂いもよく知ってる。だから、一気に情景が浮かぶ。
⅓残したくらいで主人公がカメラマンなのに気付きました。選手とかじゃなく部外者で来たかと、これもちょっと意外に感じましたね。
個人的には、「こういうの(運動会なのかアシスタントの仕事なのか…)が初めてで自信の無い主人公」がカメラマンという仕事に感じるものや悪戦苦闘する様をもう少し見たかったかも。その設定をもっと文書に盛り込んでも良かったかなーとは思いました!まあこの辺の話はまたそのうち。

 

とりあえず私もお題をクリアしてしまいましょう。正直結構難しいんだけども……。


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お題『美しい冬の情景をいれる』


 備え付けの小さな暖炉の中で炎が弾ける。バランスを崩した炭木が音を立てて崩れ、女はゆっくりと瞼を持ち上げた。気付かぬうちに眠ってしまっていたらしい。部屋の隅の影が濃さを増し日の傾きを知らせる。一体どれだけの時間眠っていたのかと女は僅かに溜息を吐いた。
 微睡みから覚め切らぬまま欠伸を噛み殺す。膝掛けを整え、その上にある刺繍を施した産着を傍らのテーブルに置く。そうして揺れ椅子に深く腰を掛け直した女が大きな腹を撫でれば、呼応する様に掌を擽る胎動を感じた。産まれるまでもうそう長くは掛からないだろう。柔らかな表情で女は何度も腹の膨らみを擦る。その度に愛しさが募り、女は母の顔になっていく。我が子に会えるのが楽しみでならないのだと彼女を見れば誰もが理解するだろう光景だった。
 気温差で曇る窓硝子に小さな物がぶつかる音がした。コンという軽い音は聞き間違いなどでは無い。その証拠にゆっくりと女が立ち上がる間にもう二度、その音は続いた。
 窓を開けるのはいつぶりだろうか。そんな事を思いながらそっと取っ手を取り開けば、その隙間から冷たい空気が部屋に舞い込む。だがその寒さに震えるより早く、女は眼前の景色に息を飲んでいた。窓の外に広がる森は木々や枝葉に雪を乗せ白く着飾っている。森の向こう側に沈む太陽がその雪に反射して森全体が煌めく様はどの宝石の輝きより優しい。雪は未だ止まず、然し明るい空から疎らに降るそれは窓辺に立つ彼女の手の上で小さな水の玉になって窓枠に零れていった。女は寒さを忘れてその景色に見入っていた。
 窓の下から優しく女を呼ぶ声が聞こえ、女は漸く伴侶の姿を見止めた。慌てて手を振る女を、彼は可笑しそうに笑う。手綱を引くのとは逆の大きな掌に木の実を乗せたのを見せるのは、お土産だとでも言いたいのだろう。彼の足元にも森の奥から続く馬の蹄の跡がくっきりと残っているのだが、その情景も矢張り美しい白であった。



(そうして産まれた娘は…雪の様に白い肌で……)


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今回は短めに。敢えて会話も無しで!
浮かんだのが無声映画の様なイメージで、それを文書に書き起こしていったので会話が無いのです……。(そんなもの伝わらんわ)
蛇足かもしれませんが、モチーフは白雪姫です。白雪姫というよりその母、だな。
美しい冬の情景って難しい。矢張り定番は雪かなと思ったんだけど、南国育ちの我々は雪に馴染みがないと書き出してから気付きましたね。なので無理矢理生み出した感がスゲーよ……。
如何ですかねぇ。及第点だと良いんだが……。


さて、次のお題ですねどうしようかなぁ?
そうだなぁ……『ダンゴムシを主人公にお話を作る』。これにしましょう。人外、しかも虫、しかもダンゴムシ。どうなるのか楽しみです、ふふふ。

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