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詩:明けない夜はない

タンポポは
ひだまりのなか
風に揺られ
ゆっくり枯れていく幸せを知っている

かりたての芝生に
寝転んだ猫
空を舞うビニール
いつまでも目で追っていた

部屋の中
あるはずのない時計
カチカチと
音を刻んでいる

春の日の午後
ベランダの向こう
さきほどのビニール
吸い込まれるように消えていった

海月だね

そう呟きながら
さっき使い終えたコップを
台所で何度も洗い直している

身体を折り曲げて
毛づくろいをしていた猫が
ふいに顔を上げ
きょとんとした顔で
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